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27「蜜月旅行でつかまえて㊦」

ティーンズハート「つかまえてシリーズ」の感想をだらだらと綴ります。
私の好きな菊地薫がここにいた。


 あたし、工藤由香。高3の受験生。
 ある日の放課後、見知らぬ人物から、突然、探偵の仕事を依頼されてしまったの。
 しかもそれは、どんなことが起こったのか、事件そのものがまったくわからない事件を解決してほしいという、途方もない依頼だった。
 謎の人物からの指示どおり、あたしたちは手がかりが隠されているらしいバス・ツアーにもぐりこんだのだけど……。
 こんな事件、どうやって調べたらいいの!?
 
秋野ひとみ『蜜月旅行でつかまえて㊦』1994年

いやー、懐かしさもあって、面白かった。
サキのセリフの言い回しとか、このあたりの時代がいちばん好き。
小学生だったわたしは、『ありがとうございます。でも、これ、お面なんです』のくだりに爆笑しちゃって、いつか由香とサキみたいなお姉さんになったら、自分もこんなこと言うのかな、ワクワク!とか浮かれてたアホなガキだったな……。

事件は、小学生の頃に読んだときは、なんか可哀相な犯人だな〜くらいにしか思わなかったけど、改めて読むと、なんで??と疑問しか浮かばなかった。
なんで姉のおこした事件を隠蔽したり、自分の死を偽装したりする必要があったんだろう?
姉が死んでしまって身寄りがないって言ったって、(姉の)お金持ちのパトロンがいたわけだし。理由としては弱くない?
偽装に手を貸してくれるくらいのパトロンなんだから、生活のことなんてどうとでもしてくれたでしょうよ。
実際、その後10年間を夫婦として過ごすんだしさ。
そんなややこしいことする必要があったかなぁ。

何はともあれ、今作の目玉はやっぱ菊地薫。
個人的に、シリーズ後半の探偵のレギュラーメンバーになった菊地さんは、ただ報われない恋に身をやつすだけの片想い要員だと思っているので、あんまり好きじゃない。
いや、好きだけど、不憫。
菊地薫のいいところが潰れてる感じがしてね。
事務所を彩る美男は、もう圭二郎さんだけでいいでしょって感じ。

そんなわたしからすると、今回の菊地薫は、大変美味しかった。
後期の菊地さんは、強くて大人でワイルドな武士、みたいな印象があるけど、当初は違ったよね!今作の菊地さんが本当の菊地薫だよね!
みたいな、謎の興奮。

いや、本当の菊地薫もなにもないのは分かってる。
あくまでも、個人的な意見。
菊地薫に壮大な夢を抱いている、いちファンが騒いでいるだけです。
わりとチャラチャラしてて、女の子好きで(もちろん女の子たちが放っておけない良い男で)、あっさりしてて、普通に遊んでそうな軟派なイメージを菊地さんに抱いてるわけです。
殴り合いのケンカなんて、到底しそうもないね。
ただ、やれば勝っちゃう。そんな男よ。

はあ〜、もうこれ何度でも言うけど、由香は菊地さんとくっついたほうがよかったと思うよ。
菊地さんが将来有望な良い男だから、とかではなく。
ただ単純に、合ってる。
そして二人の性格上、合わないところは、永遠に歩み寄らないでしょうね、みたいな淡泊なとこもぴったり。
いい意味で気の抜けた、ラフな感じというか。由香がつまらないことを必要以上に思い悩んだりしない、良い関係が成立したと思うんだけどな。

菊地薫についてなら、いくらでも語れる。
由香との関係もそうだし、圭二郎さんとの仲についてもね。
まあ、それは今後にとっておくことにします。


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