
石丸伸二さんの言葉を別役実調で書いてみる
都知事選
2024年7月7日(日)、東京都知事選挙の投票日。
告示から2週間の選挙期間が終わり、結果は、投票締め切り20時即、現職の小池百合子 氏 当選確実、と報道された。
総勢50名以上が立候補し、N党(そういえば今の名前はなんなのか)による候補者の多数擁立+選挙ポスター枠の変則利用(実質転売)、別の立候補者は裸に近い女性のポスターを貼る、苦情が来て、剥がす、また顔を出さない立候補者何名も、などなど、悪い意味で話題を振りまいたスタートだったが、途中からはあまりサプライズもなく、
結果として1位:小池百合子291万票、2位:石丸伸二165万票、3位:蓮舫128万票。
4位:田母神俊雄はそこから100万票離れて27万票、X(ツイッター)で何度もトレンド入りしたひまそらあかねは7位10万票、という結果だった。
(もちろんどこをどう見るか、の問題で、これは自分の興味による切り取りですが)
自分のX(ツイッター)タイムラインはほとんど蓮舫さん勢なので、なのでというか、その話題ばかり。割合的に合わんですね。
「エコー・チェンバー」という言葉があって、もとは音楽制作のために反響音を録る部屋のことなのだが、SNSの状況の比喩になった。自分と似た意見のひとばかりフォローして、同じ意見の反響ばかり聞いてそれを「一般」のように思いこむこと、などなど。
また似て非なるワードが「フィルターバブル」で、これはあらゆる検索エンジンやSNSが、使用者の好みを把握して表示結果をカスタマイズしていくから、そうした事前フィルターが類似した人たちだけで固まって、見ている景色が泡(バブル)の中に閉じこもってしまうこと、などなど。
(これも間違ってるかと思うので、ちゃんと調べてください)
そういえば過日(2023.05.24)、ceroがニューアルバムを配信開始した夜、世界のすべての人がセロ聴いてる、みたいなタイムラインになったことを思い出した。
まあツイッターがもう、メイン画面はフォローしてない人までどんどん表示させてくるから、よけいそうなるんだけど。
本題。
8日の朝になって、タイムライン、石丸伸二さんの答弁がずっと怖い、と話題になっていた。とくにTBSラジオでの番組
「東京都知事選挙 開票特別番組 『開票LIVE 2024 〜カオス!東京で何が起きていたのか?』 」
(出演:荻上チキ、プチ鹿島、能條桃子、武田砂鉄
中継ゲスト:津田大介{「ポリタスTV」}ほか)
での、中継4分弱のやりとりに、パワハラ、モラハラ、しかもひいてはそれによるカリスマ性醸造テク、が見える、とのこと。
番組が、出演者名で見ない人にわかったわかった!そういう狙いだろ、わかったよ!と言われそうだし、そのあっちとこっちで固まってしまうのがどうにも意味ない現状なのだけど
それは置いといて、
こういう会話でした。↓
別役実 調に書き起こしてみる
先日、不条理劇の大家 別役実(べつやく みのる)先生の戯曲が上演されていて、
見ていると、不条理というのは、クソリプのことだったのか!?
と蒙を啓かれたような気持ちになった。
それとは全然関係ないんですが、試みに、上掲の問答を書き起こしてみました。
そして、別役実戯曲のように
役名をおなじみ「男1」「男2」・・・とし、
語尾を
「・・・・・・。」
多めにしてみたものがこちらです。
別役っぽいでしょうか。どんなものでしょうか。
※最初、石丸さんを男1にしてましたが、男1は巻き込まれる側が多かったはずなので修正しました。
ーーーーーーーーーーーーーー
男1 それでは、今回出馬された石丸伸二さんと中継がつながっていま
す……。石丸さん、こんばんは……。
男2 こんばんは……。
男1 よろしく、お願いします……。
男2 よろしくお願いします……。
男1 さて……まず石丸さん、今回の都知事選挙、手ごたえを感じたと、
先ほど発信もされていましたが……特にどんな点、手ごたえを感じた
選挙だったんでしょうか……?
男2 ん、ごめんなさい……。どのくだりの話をされてらっしゃいま
す……。
男1 あ、さきほどぶら下がりの中で、今回の選挙、自分たちはがんばった
と……走り切ったというような話をされてたと思うんですが、特にど
ういったところに力を入れて、どんな手ごたえをお感じになりました
か……?
男2 手ごたえの話じゃないですよ……それ……。自分たちが、できること
を全部やったと、いう、意味です……。
男1 はい、それが……。
男2 何かの反応ではなくて……自分たちの実感の話をしました……。
男1 はい……。ではどんな点に手ごたえを感じたんでしょうか……。
男2 て、手ごたえ……? 手ごたえって言えるんですかね、それ……。
あの……なんだろう……自分たちでこれをやろうと決めて、それを
実施した、実行したと、いう……。まあそれを手ごたえと言うのか
な……でも手ごたえってもっと反応のことを、言うかなっていう気が
します……。
男1 あ、そうですね、反応……。
男2 なんか……違うニュアンスで訊かれてます……?
男1 あ、いえ……今回自分たちは全力を尽くした、それはおそらく票に
つながったというふうにお感じになっている点はあるかと思うんです
が……その手ごたえ……あるいはこういったような政策は届いたなと
感じる点、あるいは課題だなと感じた点などはいかがでしょう
か……。
男2 んーと……届いたかという意味では、あのー……極めて大きいのは、
知名度の差、ですよね……。
男1 はい……。
男2 どう考えても……。その意味で、まあ、それはわかってたので……そ
の不利な、状況で、できることを全部やってきた、っていう、ところ
です……。で、いかんともしがたいその環境の話なので、その環境の
中にいる主体としては、限界がある、っていうことだと思いま
す……。
男1 んー……。鹿島さん、これ……。
男2 それはメディアの話であって……私から何か言うのも、変かなって
いう気がしてます……。
男1 はい……。砂鉄さん、いかがですか?
男3 この石丸さんの『覚悟の論理』って本ちょっと熟読させていただいた
んですけれど……あのー……ま、メンタルが強いですねというふうに
言われて、なんでメンタルが強いかって言われたというと……相手の
問題は、どうなっても私は知りませんよと割り切れると、いうところ
に書かれていてですね……ちょっとこう……政治をやられる方からす
ると、相手の問題がどうなっても私は知りませんよというふうに言わ
れると……ちょっとギョッとしちゃうなという、ところも感じたんで
すけども……この中、選挙戦で色んな立場の人とお会いして、お話す
ることがあったと思いますけども、この、御本に書かれたことってい
うのは……特に考えとしては、変化はないですかね……?
男2 ん……? どういう点をギョッとされたんですか……?
男3 ん、あのー……。
男2 そんなにおかしなことを言ってるつもりがなかったんですけど……。
男3 あ……そうですか……。
男2 どこに違和感を覚えられました……?
男3 まあ、僕自身が違和感を覚えたのは、まあ……政治ってのはいろんな
意見を受け止めて考えを変えていったり、考えを強化してったり、
っていうことの繰り返しだと思いますけれども……相手の問題がどう
なっても私は知りませんよっていうふうに、言い切れるっていうとこ
ろが自分のメンタルの強さだっていうふうに言われると……なかなか
そこに対して意見を届けるっていうことが難しくなっちゃうんじゃ
ないかなっていうふうに思ったんですけどね……。
男2 失礼ですが、本当に熟読されました……?
男3 熟読しましたねえ……。
男1 めっちゃ付箋貼ってますね……。
男2 あの……そういうふうな、思いでは、言って、いません……。
男3 ええ……。
男2 はい……。自分の責任の、範囲を、定義すると、いう意味において、
その話をしてます……。で、政治において、意見のやり取りをすると
いうのは、当たり前ですよね……。それを否定はしてないはずで
す……。
男3 んー……。
男2 え、否定してましたか……?
男1 石丸さん……あの……はい、予定したお時間となりましたので……。
男2 熟読、されたなかで……。
男1 また……あの……お話聞かせてください……。ありがとうございまし
た……。
男2 あ、もう終わり……?
男1 はい……石丸伸二さんはこのあとまた別の、メディアのインタビュー
が待っているということで、ここまでのお時間ということになりまし
た……。さて、ということで……
了