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『完全版 ピーナッツ全集』に日曜版はカラーで収録されているのか ~ネットで見つからないから調べる


なんだか最近、ネット上で本を探していて、その本の欲しい部分の情報がのってない、ああ載ってない、ということが多い。

けしてネタバレ、というほどでもないようなこと。


『完全版 ピーナッツ全集』にカラーはあるか?

おととしから、ついに日本でもスヌーピーのマンガの「完全版」全集が出て、無事最終巻まで刊行された。

(『完全版 ピーナッツ全集』全25巻+別巻1 河出書房新社 2019~2020年)

のだけど、
ここで気になるのは、「サンデー版」の収録形態

スヌーピーのマンガ『ピーナッツ』は新聞連載で、
平日は基本4コマ(のちに変わるが)
日曜は複数コマの形式だった
そして、この日曜版が、フルカラーなのだ!

はたして、カラーで収録されているのでしょうか???

Amazonにも、出版社のページにも、書いていない。。。



これまでの 日曜版カラー収録の本

日曜版をカラーで刊行したものは、すでに角川書店から
『Sunday Special Peanuts Series SNOOPY』全10巻がある。これは今も手に入りやすい。

が、これが収録しているのは’81年~2000年(最終回)までの20年分(1冊に2年分)。
日曜版の連載が始まったのは1952年からだから、実は全然カバーしきれていない。

というわけで(なのか知らないが)、のちに角川文庫で
『SNOOPY COMIC ALL COLOR』全5巻が出た。

50's~90's、というわけで、分量的に全収録ではなくよりぬきスヌーピーさん。
それに版型も小さいわけで・・・
作者のシュルツ氏は、新聞のマンガはサイズが小さいと不満を言っていたのだけど・・・
(※なお文庫版は、サンデースペシャル版とはコマの配置が違う。コマの配置の可変性については後述


そして、’70年代(+’80年)の日曜版を全て収録したのはこちら。
復刊ドットコムから復刊されている。

ただ、フルカラーなのは各巻(年)さいしょの6本くらいまで。以降は一色カラー、モノクロ、とつづく。

また、その別巻として出た『ピーナッツ ジュビリー』
(原著は'75年刊だから、全集の期間の半ば。ややこしいですね)
には、’52~’73年の日曜版がよりぬきで収録されている。こちらは掲載分はフルカラー。


まとめると、日曜版をカラーで読めるのは

'50,'60年代よりぬき → 『SNOOPY COMIC ALL COLOR 』(角川文庫)
           &『ピーナッツ・ジュビリー』(復刊ドットコム)

'70年代すべて(カラーでの収録は一部のみ)
          → 『スヌーピー全集』全10巻(復刊ドットコム)
'80年代~'00年まですべて → 『Sunday Special Peanuts Series 
              SNOOPY』全10巻(角川)


ということのようです。


そして『完全版』

河出書房新社版は、新聞連載を時系列に完全収録。

日曜版をカラーで収録・・・してなさそうなムード。

ヒーローもののアメコミを見ていると、色付けはたいてい絵を描いた人とは別のアーティストが担当している。だからアメリカのマンガ界では、日本のように作者本人が色付けまでやるのは、普通ではないのかもしれず、
となると、日曜版のカラーリングもシュルツ氏のものではない?・・・ならば、完全版で省かれてもいいか。
むしろその方が作者の手を離れた時点のすがたが見えていいか。

そんなこといっても、新聞に発表されたのはカラー版である。

悩みますねえー。

悩みませんか?


そんなわけで、カラーで収録されているのかどうか、知りたいのに、検索しても、わからない。

検索の仕方が、わからない。

物知りさんブログの引っかけかたが、わからない。

ネットショップの売り場ばかり、ばかり、ばかり・・・・・・


※追記

といっていても仕方ないので、買って確かめた。

『サンデースペシャル』6巻と、『完全版全集』21巻。
年代を見てください。どちらも1991-1992ですね。

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結果からいうと、『完全版』に収録の日曜版はモノクロ!!

残念でした。しかし元原稿の様子を知れるということでは嬉しくもあり。

そして、上に書いた各種カラー日曜版の書籍とも、共存していくのでしょう。



さすが『完全版 全集』 書誌情報の詳しさ

『完全版 全集』の体裁に関する疑問は、巻末の「付記」にだいたい説明されていました。

本全集について
●The Complete Peanuts(Fantagraphics Books、2004-2016年刊)の日本語版です。

原著は足かけ13年かかって発行されたらしい。それを2年で一気にそろえられた私たちはうれしい。(海外情報を仕入れて2004年から待ってた人はつらい)

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日本版の装丁は川名潤さんですが、原著(デザイン:Seth)を尊重しているのがわかりますね。

ついでにいうと、この原著では第26巻にあたるものが、日本語版では市販されず「全巻購入予約特典の 別巻」になってしまい、
いま現在、何万円というプレミア価格で転売されているので、そこはとってもやな感じである。

さて、『ピーナッツ』という漫画の体裁について。

●平日版は横1段作品(掲載媒体により、コマを縦に配列することも)、日曜版は半ページ・フォーマット(新聞紙面の半ページに掲載される、原則3段の漫画)です。

とくに驚いたのが

●日曜版は原則として3段構成ですが、配信先の紙面によりコマの組み方が変わったり、タイトルのある1コマ目や1段目すべてが省かれることがあるため、1コマ目がなくても、あるいは1段目がなくて下2段だけでも、話が成立するように描かれています。

なんと、日曜版の上3分の1は、なくても大丈夫なように描いてあったのです。すごいですねー。
でも、漫画作品を作者以外がそんなふうに取り扱ってよいとは、どんな文化なのだろう。それは・・・

●『ピーナッツ』は、配信会社のユナイテッド・フィーチャー・シンジケートが全米の新聞に配信する漫画のひとつとして、1950年10月2日より連載が始まりました。

という、この「配信会社」がカギなんだろう。
作者シュルツの伝記に説明があったので引用します。

一九〇二年、「ニューヨーク・モーニング・ジャーナル」紙の三十三歳の花形オーナー、ウィリアム・ランドルフ・ハースト――大男で小声という、彼自身が漫画のような人物――は、独創的なアイデアを思いついた。それは、自分の新聞に載った連載漫画を他の新聞経営者に売り、アメリカの百の都市で同時にそれを発表して収入を得る、というものだった。
 後に配信(シンジケーション)として知られるようになるこの大量販売システムによって連載漫画は国民的習慣となり、日曜版に掲載された漫画は家族の団欒に欠かせないものとなった。配信社(シンジケート)――アメリカ合衆国とカナダのあらゆる村や町や市の新聞に、漫画や記事や写真を配信する代理業者――は、地方新聞の独自性を定義し直すことになった。「ニューヨーカー」誌の批評家ロバート・ベンチリーが一九三二年に嘆いたように、どの町であれもっとも人気のある新聞というのは、全国のニュースと地元の記事がバランスよく配置された新聞ではなく、「配信された連載漫画『ガンプス』を載せている新聞なのである」。
(『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』85ページ)

たとえば朝日新聞の「ののちゃん」が地方新聞にも買われて、載っている、というのと違って、そもそも掲載する新聞社以外の会社が権利を持って、配信しているわけだ。
話をもどすと、おそらくいろんな紙面に買われるので、その場のレイアウトに沿って変更を加えられる場合があった、それに対応して、特に日曜版はフレキシブルな構成にしていた、ということらしい

そして、全集21巻の序文(トム・トゥモロー)には、こうある。

平日版の作品は連載開始以来、一貫して定型の4コマで描きつづけてきたシュルツは、この(※←1992年)数年前よりコマのサイズを変化させ自在なコマ割りを行なうようになっていた。ずっとこうしたかったんだ、と彼は教えてくれた。でも、とうとう配信会社にフォーマットを変更したいと切り出したときには、許してもらえるだろうか、と懸念したという。
(xii, xiii)

配信会社、というビッグな編集部との、力関係があったのだなあ。

『ピーナッツ』がとっくに大成功している’80年代後半になって、やっとフォーマット変更を申し出たという。。。


索引もついてる

それよりすばらしいのは、さすが全集という「索引」
この巻の登場人、登場物、を、すぐ検索できる。

Brown, Charlie【ブラウン、チャーリー】 は、もちろん大量のページになるが、
toast【トースト】 なんていうのも。これはセリフの中に「トースト」が出てきている。絵だけのページはさすがに拾ってないか・・・と思ったが、
cactus【サボテン】 は、なんと計22ページに登場。絵だけでも、拾ってます。

すばらしき索引。



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調べ、おわり。




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