「Left Out In The Cold」 ~Sparksの詞を訳す①~
スパークス、という兄弟ポップ(ロック)バンドがいまして。
すでに結成50年を廻ったおじいさんバンドながら、今年、全作曲を手掛けたロック・オペラ映画『アネット』、活動歴をそうそうたる著名ファンの証言を交えて振り返るドキュメンタリー『スパークス・ブラザーズ』が公開。
そしてまもなくサマソニ来日、と、回顧ではなく いままさに一番おいしいといって過言ではない状態であります。
(まんまと上記2本の映画でファンになった新参が書いているだけなんですが)
『アネット』はレオス・カラックスの9年ぶりの新作、『スパークス・ブラザーズ』はエドガー・ライトの初ドキュメンタリー。という、ミュージシャンズ・ミュージシャン~アーティスツ・ミュージシャン。
毎回新しい作風に変化するため、
CD屋で置いてる棚が違いすぎる! アンタらはサイコーなのに、全貌がわからなすぎる! おれがドキュメンタリーをとって、サイコーさを伝えてやるよ!!
という感じでエドガー・ライトがメガホンをとったとか。
いやあサイコーですね。
それで、ここで何をするかといえば、スパークスの曲の歌詞を、訳していく。
それだけです。
やりたいだけなんです。
もちろん誤訳だらけです。
参考にしないでください。
曲をどうぞ。曲を。聴いてみてください。
Left Out In The Cold (寒空にひとりぼっち)
アルバム『A Steady Drip, Drip, Drip』(2020)の7曲目。
MVもあるので、アルバムのメイン曲なのかも。
それでこの内容・・・・・・!?
いきなり「ユニクロ」と「東京」というワードがとびだします。
MV
公式MV。若干ショート版。
公式リリックビデオ。フル尺です。
元歌詞(リンク)
※元の歌詞を引いてくるのは著作権的にどうなのかあれなので、リンクを貼っておきます。
※8/25追記 勝手に翻訳を発表するのだって著作権的にはあれですが。ファンだから…という言い訳しかない。
この「Genius」(ジーニアス)というサイトが一番上に出てきて、ユーザーによる注釈・解釈なんかも書き込まれていて便利そうだ。
※リリックビデオと若干違ったので、ビデオのほうに合わせてあります。
書きなおし追記 ※8/25
えー、そもそも根本的な歌の導入口をすっかり見落としておりました。
このタイトル「left out in the cold」。
これ、訳は「寒空にひとりぼっち」としました。これは、歌の中のストーリーとしては一応成り立つんですが、それはあくまで単語ごとの直訳として、であって。
英語文化圏の人が聴く場合はこれ、「のけ者、蚊帳の外」という意味の慣用句なのだそうです。
寒空にひとりぼっち・・・そんな状況、たしかにのけ者、蚊帳の外、村八分、ですね。
「冷遇」、というのはどうだろう。
だからきっと英語圏の人がこの歌を聴くときは、
「仲間外れにされた心理を歌った曲がはじまると思ったら、ユニクロとかウィニペグとか、本当に寒い場所にほっておかれてる人の話を聞かされる」
という、仕掛けがあるのではないかと。
(もちろんスパークスは慣用句の意味もこの中におさえてあり、両方が合わさっていくのが妙味ですが)
この「スパークスを訳す」シリーズ記事でとりあげたいくつかの曲と同じく、慣用句や通例の意味合いをバラして、言葉通りの意味に一旦してしまう・・・という歌詞のパターンでした。味わっていただけたら。
訳してみた
ユニクロが僕の雇い主
東京の弁護士
調査主任で
ウィニペグが僕の住まい
死ぬほどの寒さで 情け容赦ない
完璧なリサーチへ
そして今 僕は寒空にひとりぼっち
寒空にひとりぼっち
発売まで ずっと待ち
ロングダウンジャケット、オーバーコート
スキーキャップ、グローブ、メモをとって
ロングダウンジャケット、オーバーコート
まだ 寒さを感じますか?
このへんは ほぼ完璧
このへんは まだ半璧
ウィニペグの気候だと
完璧さのために 雇われてる
1から10で どれくらい防いでる?
このへんは もう妥当
それで今 寒空にひとりぼっち
寒空にひとりぼっち
発売まで ずっと待ち
ロングダウンジャケット、オーバーコート
スキーキャップ、グローブ、メモをとって
ロングダウンジャケット、オーバーコート
スキーキャップ、グローブ、メモを書いて
ロングダウンジャケット、オーバーコート
スキーキャップ、グローブ、メモをとって
ロングダウンジャケット、オーバーコート
まだ 寒さを感じますか?
今 寒空にひとりぼっち
寒空にひとりぼっち
ひとりぼっち
ほっとかれて
そして今 君は寒空にひとりぼっち
寒空にひとりぼっち
発売まで ずっと待ち
ロングダウンジャケット、オーバーコート
スキーキャップ、グローブ、メモをとって
ロングダウンジャケット、オーバーコート
寒気は通さない
もっと良かったころもある
僕はネットで投資家をする
落ちるのも 早くて
豪奢な家もあったし
軽い夏服を着こなしたし
それも全部 昔のことで
そして今 僕は寒空にひとりぼっち
寒空にひとりぼっち
寒空にひとりぼっち
いつかまた僕も温まるだろう
いつかまた元に収まるだろう
いつかまた僕も暖まるだろう
きっともう一発
いつかまた僕も温まるだろう
いつかまた元に収まるだろう
いつかまた僕も暖まるだろう
きっともう一発 あるだろう
いつかまた僕も温まるだろう
いつかまた元に収まるだろう
いつかまた僕も暖まるだろう
きっともう一発
そして今は 寒空にひとりぼっち
わからへん
1)you're
「Now I'm left in the cold」の繰り返しが多いんですけど、3番を過ぎたあたりで1回、「Now you're left in the cold」に変わるんですよね。昔話のくだりは全部自分のことなんですが、寒空にひとりぼっちなのは「君」になる。
この英語の「You」に、君、あなた、って以外の呼びかけ的な意味が、どんなのがあるのか? わからない。単純で使用頻度の高いワードほど、いろんなニュアンスもってるからなあ。
2)リサーチの方法
そもそもリサーチって、アンケートかもしれない。
ひげそりやJOYのように、道行く人に防寒具を試してもらっている……。
ひとりぼっち、と思ってたのは、MVの様子を見たせいで。
3)主人公と、舞台
むかしはネット投資(オンラインでベットしていた)で儲けて、マンモスマンション
(…タワマン、と訳しそうになったけど、日本でいうマンションはapartmentだそうで、マンションは豪華な邸宅、という意味がメインのよう)
も持ってたけど、
いまはユニクロの防寒具を、カナダのウィニペグで試している。という主人公の歌。
アラスカとかじゃなく、ここウィニペグなんですね。
どれくらい寒いんだろう。なぜウィニペグなんだろう。
めっちゃ寒いからでした。
ユニクロの防寒着で、そこまでやるの???
つまり、スパークスのギャグを、どこまでくみとれるのかという話でもあるわけです。
※↑ 8/25追記 まさに「left out in the cold」の慣用句性を読めてなかったわけです。
4)韻
employerとlawyer、I'm livingとunforgiving、coldとsold、overcoatsとnotes、perfectとimperfect、airとfair、perfectionとprotection、betterとbettor、mansionとfashion、
そういった韻が 跡形もなく。
俺も泣く。
あなたも泣く。
※その後、少し、無理やり、韻のところをいじってみました。
では今回は以上です。
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