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コロナ日記 2022/02/07~16(21)

波、ではない頃、
去年の春とか秋とか年末は、コロナの状況の悪さとそれへの”飽き”がひどく反比例していて、だからコロナに今かかったら「今?ダサっ」とかいうムードになりそうだなあ。やだなあ。とタピオカを飲みながら思っていた。

あと、「コロナはただの風邪!」と言う人たちがいて、風邪を引いている間がどれだけつらいか何も知らないんだろうか。人生への展望が持てない。寝ても起きてもつらい。楽しいものを摂取しようにも、それをする体がつらくてどうしようもない。

そうこうしてるうちにコロナになった。


2月7日(月)〈初日〉

兆候

朝、のどが痛い。
これは嫌な兆候だけど、よく慣れた痛みだった。数日前に鼻の奥がツーンとしてたことがあり、それは副鼻腔炎という、持病みたいな頻発するやつだ。鼻の奥のガイコツの落とし穴みたいな場所に「副鼻腔」はあり、それが夜寝てる間に冷えたりすると炎症になって黄色い鼻水が出たりして、2~3日かけて喉におりていって痰が出ておわる、というのがよくあることだった。鼻布団はこの世にない。鼻は布団から出しておくものだとされているが、本当にそれでいいのか。

熱を測る。規定値を下回っている。

耳鼻科・明日の検査予約

耳鼻科。
「熱は?(36度9分でした)ふんー、のど腫れてますね。そうねえ、これくらいなら風邪かな。でも今ですから、もっと悪くなったり熱出るようなら検査を…ね(はい)」コロナと言わないのは気持ちへの配慮かしら。ミナマデイウナ?

蔓延しきると逆に その言葉が消える ということはあるんだろうか。

念のためコロナの検査を木下グループの施設に予約するが、当日はもう埋まっており明日に。東京都の方針で、今は都民は無料だという。期限付きだが。

耳鼻科では、右の鼻が詰まっているとも言われた。
あ、それ。わかります。右のほうが息しづらいんですよ。これ右と左見比べてみましょう。スコープに巨大な鼻毛が映った。右鼻と左鼻を仕切るなんたら(鼻中隔)が寄ってますね。これは小学生のときに自転車で転んで打って折った。形成外科の先生は鼻に細いヘラみたいなものを押し込んだ。「形成外科っていうのはまあ美容整形を含む分類なんだけど整形外科っていうのは違うんだよね。整形外科は整形しないからね。整形は形成」とは言わなかった。それは今知識で付け加えただけで、当時も今も鼻の穴の奥は鼻の穴ではないような異次元まで通じていて、ずるずるとえー!うそこんなに!というところまで棒が入っていって、血と、鼻水と、黄色い鼻水にまみれた詰め物が一週ぶりくらいで出てきた。これで軟骨は固まった。
「バスケ部の子とかよく来ますよ。試合でね、鼻折って」と言った。バスケ部はこんな痛いことをしているのか、と思った。
あんな痛かったのに、まだ寄っていたなんて!!


耳鼻科の処方箋を隣の薬局に持っていく。
「出せないんです」
「どうして?」
「ほら、”処方せん”って書いてるでしょう」
とは言われなかった。こういう、全然言ってもいないことを一瞬聞いてすぐ目が覚めるということが眠気と一緒に映画を観ていると起こるが、今は関係ない。
毎食後に痰切り・膿出しの薬と、炎症を抑える薬。
1日1回、細菌対策の抗生物質。
うがい薬。
発熱時の薬と、発熱時の薬を飲むときに一緒に飲む胃の粘膜を保護する薬。2つでひとつのバファリン。

おくすり手帳の表紙がホチキスから外れていてはずかしい。

だるいはだるいので、よく眠る。休みの日がこんなことに。風邪のときは何も無理しない。



2月8日(火)〈二日目〉

朝食後のための朝食

朝食後服用、という薬のために朝食をとる。買い置きがなかったのでヨーグルトと、腐りそうになって慌てて作ってあった、りんごをコンポートより頑張ったがジャムまで煮詰めるのを面倒くさがったやつ。

寝て、検査の時を待つ。この「寝」で、治ってしまえばいいのに。

抗原検査

昼過ぎ、木下グループの抗原検査。PCR検査は結果が「翌日中」だが、抗原検査は「30分程度」とのこと。早い。夕方にはアルバイトが迫っているので、わからないことには。

抗原検査は、コロナ初期にたくさん見せられたあの「鼻の奥に綿棒ごしごし」を、自分でやるのだった。なぎなたのように長い綿棒。液の入った容器。リトマス試験紙みたいなのがセットされた平たいやつ。のセット。
きのう昔の形成外科を思い出したとたんにこれで、そして右の鼻は奥まで入らない。左でごしごししてみるが、こんなん怖いから人にやってもらわんと手加減してちゃんと結果でえへんちゃうの?それを液につけて、振って、しごきながら取り出して、液のほうには蓋をして、蓋の持ち手はスポイトの先っちょになってるから逆さにしてリトマス試験紙みたいなやつのほうに垂らすと、じわじわ浸透していって、それを囲む平たいやつには1- 2- とラインが書いてあって妊娠検査薬みたいや!妊娠は早く知りたいけどこれでもう結果見れちゃったらわたしはどうしたらいい?

袋に入れて提出して、提出箱の下の袋にはゴミを入れて、どうにかまちがえずにやりとおした。あとは連絡待ち。

検査結果

1時間もしないうちにメールが来て、結果が届きました。マイページを確認してください。とのこと。メールのリンクを踏んで、マイページへ行って、最新の検査結果を確認、をクリック。

 陽性 でした。」

現場であんなにすぐ見れちゃいそうだったのに、ネットを介したとたんこの何クリックもさせる感じは、なんなのか。


「陽性の方は必ずご覧ください。」

「【重要】再検査をご希望の方へ
本検査の結果はあくまで数値判断のみとなり陽性と確定したわけではございませんが、感染拡大防止の観点から公共交通機関のご利用は控え、なるべく早く最寄りの病院・クリニックなどで再検査を受けてください。」

そうして発熱相談センターに電話をかける。パンクしているかと不安だったが早めに出てくれた。午後3時。
抗原検査で陽性と伝えると、改めて医療機関での検査をしてもらいたい、それで陽性が出れば保健所の管轄に移る、自宅の住所から公共交通機関を使わずに行ける3か所をご紹介する、が、満員のところもあるので少々お待ちください、こことこことここ。電話で予約を入れてから行ってください、抗原検査で陽性だったと伝えてください。お大事になさってください。ありがとうございます。

さいわいにも、家から5分くらいのクリニックの予約が取れた。
夜の6時半。
アルバイトは休ませてもらうことになった。

クリニック・再検査

仮眠して、クリニックへ向かった。この道路を歩くのでも、できるだけ人と離れた方がいいのだろうし、ましてクリニックに上がるエレベーターでうっかり人と一緒になってしまったがこれはどうするのか。自宅療養になったら一歩も家から出ない、とか聞くが、この時間帯のトワイライトゾーンはどう処理していくのか。
だって「濃厚接触」なんて誰ともしてないのだから、誰かにうつしているかも!? がないのと同時に、○○からうつったかも!? もない。ふわりふわふわ空気感染、しててもおかしくないのかも。かも。かも。

入口から別になっている「発熱外来」で受付し、熱を測ると38度7分だった。うそー。午前中まで37フラットだったくせに受診前に急に張りきってなんなのこれ。先生は早口で「まあ抗原検査で陽性出てる、これからPCRもう一回やりますけどまあ確定でしょう。であなたは、前にうちにアレルギーで来てるね、その時も強めの抗アレルギー出したんだけど、20年前くらいに喘息の既往歴があると。そうなると肺にいって肺炎ってこともありえますから、急変ね。だから気をつけてください。これも取っときましょう」そういって、冷蔵庫に貼って町内会の予定やお手軽レシピを挟んでおけるみたいなクリップ風のものを出したので、人差し指を噛まれにいった。クリップはパルスオキシメーターらしかった。

「95%ですね。低いね」
あと5%だけど、マックス130%だったりするんだろうか。わからない。

それから血液を採取して、2本分。看護師さんがカポッ、カッ。とカートリッジを交換するときに、こっちにプッシュされてきて血管に空気入ったら怖いなあ。と思うがいまどきそんな機構になってるわけはなかった。PCR検査は唾液で、これを溜めるのは人一倍速いのだがものすごく泡立っている。だから「この線まで」と言われた線をはるかに超えてはいるが泡がはじけたら減るから実際どこまできているかわからない。

会計した。血液検査が高かった。
「あと明日中に…基本は結果が出るんだけど、いま業者も混んでるからどうなるかはわからないんで、わかっといてください」

濃厚接触とは

ここまでで、発症? してから1日半も経過していた。「濃厚接触」たらいうものに当たる人は、まあいないのだけど、マスク外してないし。
でもこれでさっきのPCR検査が陽性になって、そこで保健所の管轄になって、そこから濃厚接触の人に連絡を取りますとなったら、2日とか2日半とか3日も遅いわけで、「さっ、先に言ってくれれば!!」ということにならないのだろうか?

なる。

なるが、今はそういうことは気づいた人が、気づいてしまってまだがんばる気力体力のある人が、がんばってください。ということなんだろう。



2月9日(水)〈三日目〉

この日は夜7時にクリニックから陽性の連絡が来るまで、
「陽性だろうなあ」
という態度で家の中にいるしかなかった。アルバイトは休み、この先の予定の相手にも、抗原検査で陽性だからおそらく、と伝えていくことになった。それにしても宙づりは宙づりだった。咳が出始めたが、これもまた副鼻腔炎の流れからはいつものことで、よくわからなかった。

朝、体温は37度6分。基準値は超えているが、昨日のクリニックでの38度7分はやっぱりハリキリだったのか。なにに対して?

睡眠と体のコリ

風邪のときはいくらでも寝られる。もちろん寝苦しいこともあるが、健康なときの昼寝と違って、いくら寝ても夜もまた眠れる。それが風邪~体調不良~を見分ける個人的な指針のひとつかもしれない。

昼寝をすれば夜中に眠れないのはどういう訳だ
                  井上陽水「東へ西へ」

しかし寝入るまでの時間はそれなりにかかるから、それまでラジオを聴く。馴染んだ声を聴く。月曜深夜の伊集院さんのラジオと、爆笑問題さんのラジオをアーカイブで。土曜のオードリーさんもあり、さかのぼると2人のコロナで前回は「平成ノブシコブシのオールナイトニッポン」、前々回「アンガールズのオールナイトニッポン」になっていた。そして今週はコロナ明けかつ、若林さん第一子誕生報告というてんこ盛りの会だった。全部聴いた。手玉が尽きた。

体温は37度フラットに戻っていた。でも、微熱か。

体が凝っている感じがあるが、これは体調不良のせいなのか、たんに寝すぎなのか、わからない。骨盤を立たせて座るのがつかれるのでだらっとしていたら、腰が痛くなった。背筋をしてみた。すごく楽になった。腰にストレッチパワーが溜まっているのを感じた。ストレッチではなくとも。

差し入れ

姉が東京に来ていたので、救援物資を「置き配」してくれた。
・ウィダーインゼリー的なもの
・食パンとかクロワッサン
・インスタントおかゆ・雑炊
・インスタントみそ汁
・カップスープ
・ポカリスエット
などをお願いして、でかいポリ袋2つパンパンに届いた。ありがたい!

ウィダーインゼリーは、実はもうウィダーインゼリーではないのだが、インゼリーって言っても誰もピンとこないよなあ

検査結果

夜の7時ごろ、クリニックから電話が来た。「検査結果ですが、ええ、陽性でございました」「あーはー」「ではあとは保健所のほうからご連絡がいくと思いますので、お願いいたします」

保健所からの連絡は、その日のうちには来なかった。
が、クリニックの電話より先に、SMSで、厚生労働省から連絡が来ていた。

こちらは厚生労働省です。

■療養中の方が関心の高い事項について、以下のリンクをご覧ください。
https://~~

■接触確認アプリ COCOAをお持ちの方へ
以下のリンクよりご登録をお願いします。(アプリが起動します)※24時間有効
https://~~

ネタバレか?


ウーバーイーツ あるいは電話番号を持つことが市民の証

ウーバーイーツを登録した。

これまで使ってなかったのは、楽でも結局、追加料金払うんだから。ってだけのことだが、今回はライフラインになりかねないので、使えるようにしておかないと危ない。それに先だって、電話番号を取得しておいたのが効いた。
何を言ってるかと思われるだろうが、こないだまで、電話番号を持っていなかった。ポケットWi-Fi生活。正確にいうとIP電話アプリの「050」ナンバーはあって、でもそれだと「0120」も「0570」も、まして「119」にかけられない。らしい。「119」にはかけたことがない。でもいざかけたときにダメだったらおしまいだ。一人暮らしだから。

それで現代がいかに電話番号を持っていることが市民社会の市民であることの証明かというと、なんでもまず電話番号を打ち込んではショート・メール・サービス、で確認コードを送信、受け取ったらこちらに打ち込んでください。なのだった。それで各種プレイガイド、Web明細サービス、懸賞、前澤じゃんけん。は知らないが、ともかくキャリア契約の電話番号が必須だった。ウーバーイーツも勿論。
登録できた。
少し前ならできなかった。少し前のままここまで来ていたら、もうキャリア契約をしに行くことも出来なかった。

初ウーバーは、もう時短営業の閉店間際だった。早めの、軽めのおかゆの晩御飯からもう小腹がすいていた。クレープを頼んだ。なんのエッセンシャルなフードでもない。配達が完了しました、と通知が来て玄関のドアを開けると、紙袋に入ったクレープが置いてあった。

「サンタさんだ!!!」

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2月10日(木)〈四日目〉

平熱

朝起きて体温を測る。36度6分。平熱だ。昨日の37度フラットでも平熱くらいな気分だったが、改めていまの感じと比べると、ちょっとボヤッとしてた気がした。今はしゃっきりしている。体の輪郭が、よくわかっている。よくわかって立って、歩いて、座っている。

保健所から連絡が来る前に、治るのか? どうするんだ、これ。

保健所からの連絡

アルバイト先に連絡しようにも、ぎりぎりのところで保健所がこない。保健所が来なくて嬉しいのはレストランだけ。ネズミがチュー。屋根裏チュー。路上でチューときて、路駐、路チュー、路上のチューチュー、3つとも見られるのは歌舞伎町でキマリ。
しびれながら楽天モバイルの専用アプリ「Rakuten Link」をひらくと、こう書いてあった。

Rakuten Link 以外からの着信履歴は本アプリには表示されません。

きみはどうしてくれるんだ。

しかし、まだ着信はなかったようで、昼頃に電話が来た。
保健所でございますが。あっ。ありがとうございます。それでございますね、陽性、ということでございまして、ええ、発症が2月、6日となりますとですね。えっ6日ですか。はい、そう伺っております。(なぜ?)6日、ですとそちらから10日後、2月16日までが自宅療養期間となりますので、お願いいたします。はい。(宿泊療養の選択肢はないのか、残念ながら、とかもないのか…)食料品ですとか、パルスオキシメーター、などの必要品がございます場合は(しかし1日短くなったからいいのか)、ウチサポ東京のほうで承っておりますので(ナニ東京?)、ご案内をメッセージでお送りしておきます、ご覧ください。はい。それでは以上となりますので、どうぞお大事になさってください。はい。ありがとうございます。

自宅療養以外の選択肢がある、あるから保健所の通知を待っている、というつもりだったのだけど、もう一瞬でふつうに自宅療養だった。これだけ感染が増えて症状が軽い部類であたりまえなのだけど、一瞬の口ぶりで世界観は出せるもの。もちろん自宅療養。

雪に閉ざされたウーバー

さて昨日「サンタさんだ!!!」と叫んだバチがあたったのか、雪。
都内も日本内もあちこちで雪が降る。そうしてみるとウーバーイーツはサンタさんではなくて、ソリがない。いきおい「現在ご注文いただけません」という店だらけになる。というか、家の目の前の店からもう、そうだった。

お持ち帰りで注文

不謹慎なおすすめ!

家の中の物資であさごはん、ひるごはん、ばんごはん。

エアコンが壊れている

寝ている部屋は、羽毛にくるまって鳥さんの気持ちだから寒くなかったが、いちおう暖房を炊いて少しでもいい感じにしようと思った。そうしてみると、いつまでも冷えた空気を運んできた。
ただのすごい換気扇じゃないか。
まったく、暖まらない。去年の夏に買って、初めての暖房だったのに・・・。もしかして冷房専用なのか? 夏に買ったから?

羽毛にくるまって鳥の気分、鳥の体感温度、なんて言っていて、でも自分の肌は肌感で感じることってないのだけど、手が荒れているときに何かを触ると、触ったものじゃなくて「荒れている指先」の感触しかしなくて、触感って皮膚の一番先っちょよりもうちょっと下にあるのか! ってびっくりする。


快調らしき兆候 あるいはいやな咳

夕方ごろ横になっていると、これはもう夜は眠れなさそうだ、という予感を得る。そのとおり、夜はなかなか寝付けなかった。
体調不良が睡眠時間を相殺しなくなってきた。健康体になってきた。すっかり。もう。
つまり、健康体になってきた。すっかり。もう。

でも咳は出る。
でも咳って、これまでの症状の流れでいうと実に自然で、いつも副鼻腔炎になったときのやつだった。「鼻の奥がツーンとして鼻水」→「喉痛」→「鼻水がどんどん粘り気を増して黄色く」→「おさまってきたが痰は出る」→「咳も出る」→「おわり」くらいなコースを通っていく。咳は終盤なのだ。でもコロナのイメージだと、咳はコロナの真っただ中だわね。
どうなんだわね。


2月11日(金)〈五日目〉

真の平熱

朝、熱を測ると36度1分だった。きのう「平熱」と何の気なしに言っていたが、そもそも自分の平熱を知らなかった。基礎体温? はかっていなかった。たぶんこれが朝の平熱なんだろうして、じゃあ36度9分でも、高かったのか!

喉の、左側(つまり炎症を起こしている副鼻腔の直下)が腫れた感じのするのと、鼻水がある。
それから鼻をかむときなどにうまく通らず、いきおい耳抜き、のようなことになり、それもうまく抜けず、しばらく耳がぶわーんとした状態になること、多々。

ウーバーは復活していた。助かる。助かる。TASKAL、という社名に変えたらどうか。

リモートバイト

アルバイト先に作業の引継ぎをリモートで。そうしたらよりによって、こんな日に待ち構えて、自分が普通にやっていてもわからない事態が発生しており、自分が普通にやっていたら「ああ!?」「んだこら」「だれだよオイオイオイー」「(舌打ち)」「(チュウゥゥ~)」「(ポンッ)」と、なるところだった。リモートでも、その気配は濃厚に出してしまっていた。さらにリモートが終わったあとも、まだまだトラブルがあったようだった。

日々の業務からシステム設計をしていかないといけない。アルバイトはシステムだ。システムを整備してしまえばいくらでも平気で休めるはずなのだ。
「お前の代わりなんていくらでもいるんだからな」(ジャンプ編集部)
「だから今はゆっくりおやすみ」(やさしいジャンプ編集部)
ぜひ ぜひ ぜひ。

ウーバーのラーメンは出前のラーメンとはちがう

あーらよっ出前一丁。とばかりに配達員さんがラーメンの具材全部のせを運んでくれた。1580円。こらあ豪儀ですが店で食べたら3倍は旨いよ。

不思議な気分になったのは、麵・具とスープは別々になっていたことだった。松屋風にいうと「セパ盛り」、で、説明書きには麵と具を入れて90秒くらいチンしてください。と書いてある。これで麺がスープになじむし、配達中に冷めた分も温まるようだ。
でも、チンできなかったら???

と、ここがつまりウーバーイーツの前提が家であるということなのかもしれない。ラーメンの出前というと雀荘、とか、出先の場所を思い浮かべてしまうのだけど、ウーバーイーツは家が基本であると。。。
ちょっとだけ、旧来の出前とは意味合いが違うのだと。

それはそうと「この、出前のラップってずっと変わんないな。全然進化しないのな」と天狗(斉木しげるさん)に言われていたサランラップ
(シティボーイズライブ1999年『夏への無意識』より)
は、やっぱりウーバーイーツでも大活躍している。出前のラップを見るたび、この名作コントを思い出す。この大傑作を生みだした三木聡さんは、『大怪獣のあとしまつ』を撮り、目下炎上している。冬の風が吹いている。


2月12日(土)〈六日目〉

平熱

朝、起きてから朝ごはんも食べて、ごはんを食べるとむわっ、と体温が上がるのがわかるので(ヒートテックとニットで密閉しているから)それも落ち着いたころに測って36度3分。
これも真の平熱。

昨日からひきつづき、息をするには問題ないが耳抜きは支障が出るような鼻水のつまりがあり。何度か耳がぶわーんとなり、少し平衡感覚も乱れる。したいことができなくなるほどでもないので、放っておく。

ネタ書き

ってこれもう全くコロナと関係ないが、夜にアイデア出しのリモート会議があるのでそれに向けてえんえんと案出し。紙に。フリクションペンで。これは楽しい。終着点が、この人数で・予算で・時間で……とまだ定まり切っていないので無責任に、話のフックとか、勝手に全体のムードとか、前提となる一本の、スジ? みたいなものを探って出していく。こういうお題は初めてで、うわ! それ面白いな。というものすら正解ではないかもしれない。うわ! それ面白いな。という状態が3階部分に作られるための、土掘って埋める地中梁、みたいな???

そして夜は会議。
全員、咳をしていた。

(陽性は自分だけ)


2月13日(日)〈七日目〉

平熱

朝の測定36度3分。基礎体温がわかってきた。

いよいよ健康体でもって、まだあと今日を入れて4日間、家から出ずに何をすればいいのか。
脱出ゲームか?

ウーバーで料理じゃないものを頼む

家でお紅茶やおコーヒー、なんていう嗜好品をたしなむようになったので、そこに入れる牛乳がなくなってしまった。近くのローソンからウーバーさんをしてもらった。レジ袋の口を結んだものが置き配されている。ほんとに、おつかいをしてもらったという感じで、配達完了後にアプリに表示される「チップはどうですか?」は、お駄賃か。しかし駄賃とはずいぶんないいようだなあ、昔から。

そして なにもない

そして、あとは家にいるだけなのである。なにもない。書くことはなにもない、家の中からコロナを取り去ってしまえば、そこにはプライベートしかないじゃないか。プライバシー。うちのなかのバカンス。。。

アマゾンで、置き配、にすると宅配ボックスに入れられてしまうので、きわきわでよけながらドア前まで持ってきてもらって、本が届く。
ひたすら『デザインのひきだし』を読んだ。第45号は特集「表面加工」。本の表紙やお菓子の箱、紙質だけではない「表面」の「加工」あれこれをどっぷり解説してくれる。ツヤツヤのラミネートやらキラキラのホログラムやら、表面に塗るニスにも種類がたくさんあって、見栄えも、傷防止効果なども千差万別。初回特典付録(ってこれが無いバージョンもあるってことなのか)は、本誌で紹介した加工を88例入れた見本冊子。

丁度、ローソンからウーバーされたアイスケーキの外箱が、表面加工が豪華である。
見当をつけると、全体が柔らかくすべすべした感じなのでマットPP加工、商品名とエンブレム部分は浮いてるからエンボス、さらにエンボスの部分だけグロスタイプのニス塗り、飾り柄は箔押し(金)、という感じか。
このお菓子、高かったし。

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2月14日(月)〈八日目〉

平熱

36度1分。毎朝9時半ごろ届く「HER-SYS」の健康観察入力も、ちょっと忘れて11時くらいの入力になる。
それくらい平常。
だが一応、「10日間経過、および症状が治ってから72時間以上経過」が要件なので、昨日か今日あたりからやっと72時間のカウント開始なわけだ。

ホン・サンス監督『それから』(2017年)

もうこうなったらというわけでアマゾンプライムで映画を観る。

この前『偶然と想像』(濱口竜介監督)をみて、すごーい。と思ってそうしたらWOWOWで今月は「ベルリン国際映画祭特集」をやるのだけど、そこで放映されるホン・サンス監督の『逃げた女』(2020年)が、内容紹介の感じを見ていたら、あ、この感じ、似てるんじゃないか? と思い、そうしてとりあえず見られるなかで新しめのこれを観たら、はたして似ていた。
それはどうも、横ではなく縦のつながりで、どちらの監督も、エリック・ロメール監督(1920~2010年)を念頭に置いているということらしい。ただアマゾンプライムでエリック・ロメールは全部いま配信やってない。

『それから』は、ひどくミニマルなようで、面倒な仕掛けのある映画だった。あらすじ、というものを書いてしまうのはこれは違うんじゃないか。
映画の語り方が、時系列を単純にわからせたくないと言っているから。

冒頭、朝早くから会社(社長をしている小さな出版社)へ行く男が朝食をとっている。妻との何気ない会話。朝早くから大変ね、痩せた?夜も遅くて、いやいや。女ができたんでしょう。と、そこで男の、なに言ってんの?というようなあいまいなうすらわらい!
はたして、会社へ出ていく道のシーンが、そのまま同じ暗さで(この映画はモノクロだ)、酔っぱらって帰ってきた夜になる。女と一緒のおっさん。家よってけよ。帰りますって。そのやけに楽しげなこと。
それから、なんだかわからないがおっさんがランニングをして、息を切らせたあと泣いてるシーンがあったり、妻から「私の勘違いだった」みたいなメールが来ていたりしたあと、会社に新しく女性社員を迎えるというシーンが来る。
どうも別れたらしい。

そして、この新しい女性社員と、前のいちゃついていた女性社員とが、これが絶妙に顔が似ていて、いやこれが日本人の自分がアジア顔を見分けられないのはどうかと思ったけど、ぜったいに映画側が仕掛けている。

だからそこから、新しい社員と社長のおっさんが心の距離を縮めるのと、前後して前の社員との痴話ゲンカなんかがシーンではさまってややこしく、そのあと社長の妻が会社に来て新しい社員をビンタして修羅場になって、そして大事なところなのだが、社長が言う、
前の社員の子とちょっと…あって…この子じゃないよ…この子は今日から働きはじめたんだから。
というのが、ウソかホントかよくわからないのである。

アマゾンのあらすじやブログの感想には「出勤初日に妻がやってきて」と書いてある。だけど、どうもそんな気がしない。
出勤初日に浮気相手と間違われた不運な女性、というのがアマゾンの公式見解らしいけど、
実際浮気がはじまっていたが社長の言い訳で(初日からそんな関係になるわけないだろ)丸め込む船に乗った女性、乗せられた女性、のような気もする。

だからその微妙な違いを、時制のずれたシーンの挟み込みと、人物の表情と間で真意を読むべき、みっしりした会話シーンとで、描いて混乱させてくるような映画で。いや混乱しなくても十分面白いんだけど、そこでお互いの嘘の了解仕合いが入るから、こっちも嘘だったのかどうかわからなくなるのだ。

あきらかに、クズ、と呼ばれるたぐいのおっさんなのだけど、1対1の会話シーンばかりなこの作品では、1対1の親密な対話が多いから、「クズ」という客観目線にいたらない。たのしい。

前の女性社員、がオダウエダの小田さんに似ている。

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ホン・サンス『正しい日 間違えた日』(2015年)

もう一本観ちゃう。

これは2時間のうち前半が「間違い」バージョン、後半が「正しい」バージョンとでもいうべき(実際、タイトルが出る)、同じ時間を2回やる構成だった。2回やるほどの面白さをギュっと詰めこんだ話では、ない、のだが、芝居は自然な感情でやってるから、見れちゃう。

芸術系の映画監督が、地方都市で特集上映がありトークのためやってくる。連絡ミスで1日早く来てしまった監督は、担当の女性職員(だっけ?)を「かわいいな。いやいや気をつけなきゃ」と思ったりしたあと、観光名所の旧跡で見かけた女性をナンパする。
それでつまり、前半と後半で監督の言動が微妙に違い、ナンパの成否が別れるというかこれただの『やれたかも委員会』じゃないのか! というつくりですが、監督には妻子がおり、決定的な分かれ道としてはそれを隠したまんま行こうとしたのが「間違い」、やれそうなとき正直に言って、お互いの人生の孤独を埋める恋、みたいに涙したのが「正しい」ルートということになる。別に今は倫理観を議論する気はない。
困ったのは、『それから』ほど緊密な会話シーンではないので、後半になって、どこが変わってるのかもうあんまり覚えてない、ということだった。

でも会話シーンだけで描く、そのホン・サンスと濱口竜介と、源流としてのエリック・ロメール。そしてそれは小劇場の会話劇でもある。城山羊の会とかね。あ、じゃあ城山羊の会もエリック・ロメールでもあったのか?

監督役が、グランジの遠山さんに似ている。

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自宅療養期間の確認

何日まで家にいなければいけないのかわからなくなってきた。
あの10日に連絡をくれた電話一本、それ以降、あなたの自宅療養はここまでですよ、という表示をみていないので、「16日まで」だったはずだけど本当だろうか。
そもそも「まで」っていう言葉のあいまいさ、「16日に入るまで」なのか?「16日いっぱい」なのか? そういうのってあるわね。

だから自分の区の保健所に電話し、代表からこういうのの管理のほうにつないでもらい、お忙しいところ本当にすみません。訊いてみると、「えーと検査の結果が出たのが9日。では9日がゼロ日目ということに・・・」あぶないあぶないあぶない。「いや7日には症状があって、最初の電話では6日からと言われました」「あっそうですか。症状が出た日が、えーと、はい・・・。では、6がゼロ日目で7,8,9・・・」数えている。

6 、7,8,9,10、11、12、13、14、15、16日
ゼロ、一、二、三、四、五、六、七、八、九、  十日目

「では16日が十日目ですので・・・」「17日からは外に出ていい!」「え、それがまあ13、14日くらいから症状がもうなければ、ですね。今、いかがですか?」「ええもう昨日くらいから平気で・・・」「そうですかあ(笑)」「まあ念のため16日まで家にってことですね」「そうですねえ、よろしくお願いいたします。お大事にしてください」はい。


2月15日(火)〈九日目〉

平熱

朝、36度1分。

ホン・サンス『夜の浜辺でひとり』(2017年)

ホンサンスさんほんめザンス

きのうの、『それから』『正しい日~』とも出演していたキム・ミニという女優さんが、「ホン・サンス史」的には重要なようだった。
『正しい日 間違えた日』(2015)で出演後 不倫関係になり、2016年6月にそれが報道されたのち本妻に離婚訴訟、2017年3月のこの映画の記者会見で関係を認め、2019年に離婚ならず、そのままの状態で今まで来ているらしかった。
そうして2020年のキム・ミニ主演『逃げた女』でベルリン国際映画祭 銀熊賞の監督賞受賞。

いいんだそんなことは。
と言いたいが、『夜の浜辺でひとり』は映画監督と不倫スキャンダルが起き ほとぼりが冷めぬあいだの女優が友人のいる海外でぶらりしたり、韓国に戻って旧友と飲み語ったり、果ては当の監督と再会したり・・・? する話、キム・ミニ主演。なので、ものすごいタイミングでやってるよなあ、という当時の感じを感じてみるのはいいことだろう。

『それから』の評論家のおっさんも出てきて、どうも『逃げた女』にも出てくるらしい。常連俳優が多い監督らしい。

ホン・サンス『クレアのカメラ』(2017年)

キム・ミニとイザベル・ユペールのダブル主演で、69分。短くて助かるなあ、というのも、2人がカンヌ映画祭のために滞在している期間だけであっという間に撮ったということらしい。

その年のホン・サンスはなにもなかったんだろうか。

社長から唐突にクビを言いわたされた映画広告会社社員(キム・ミニ)は、帰りの航空券の日取りまでカンヌをぶらぶらしている。そこへマジカルな存在感を持ったイザベル・ユペール(友人の監督作を観に来た)がポラロイドカメラ片手にふわふわゆらめき、件の社長、その恋人(?)である映画監督、そしてその監督とパツイチあったらしいキム・ミニとの触れあいのなか、それぞれの心境に変化を起こしていく・・・。

また不倫か。と思いながら、2日で4本観ているほうが悪いのだが、でもこの69分は、ちょうどよかった。いい。ホン・サンス作品は、不倫したおっさんが泣く、というシーンも多いんだろうか。


2月16日(水)〈十日目〉

平熱

朝、36度2分。


2月21日(月)〈十五日目〉

おわりに

そうして16日の夜にも、17日の午前中にもこの日記は更新されなかった。21日になってもなお朝9時半の「HER-SYS」は届く。もはや入力はされない。しかし、保健所から一人暮らしの身を気遣う連絡が入るわけでもない。
治ってるからだ。

や、治ってるし、13日くらいから非常に良好な状態の入力(平熱・吐き気なし・腹下しなし・目まいなし・等々)がつづいたので大丈夫とは思ってくれてるだろうが、「治りました」という申し出のボタンもないし、あちらも「入力がありませんが!」と言ってもこない。

治った。

いまは無敵なんだろうか。

今日、散髪をしてもらった。美容師さんが「3回目のワクチン来ましたか?」と言った。「まだですねー。というかこないだ罹りまして」と返した。10日間の自宅暮らしは、最終的にとても楽しかった。公休。(しかし折角の時間をホン・サンス4本にあててよかったのか)。そんなことを言ってると
「わたしも1月の下旬に・・・」

夫さんからの感染で、夫無症状、わたし有症状。ということなり。家籠り。美容師さんなので入っていた予約は全部キャンセルになってしまい、申し訳ない、それに(おれと違って)自宅暮らしは苦痛だった、とのことだった。

コロナの数だけ人生がある。なんじゃそりゃ。もっと違う言葉があるべきだけど、コロナへの感想は人それぞれで、あっ、そう、それが「分断」と言われているあれなのでした。「多様性」?「分断」?


いまは恋愛映画の旗手、とよばれている(のか)今泉力哉監督のドキュメンタリー作品『たまの映画』(2010年)で、知久さんの親父さんのエピソードがある(うろ覚え)。健康オタクで、自宅で電解水まで作り、家族各自にさまざまな健康的指導をし、100歳まで生きる! と豪語していた親父さんは、交通事故で即死だった。そのときの知久さんが感じた

「ありゃりゃ」

が、なにか活動の根本にあるような、ないような、みたいな話。


コロナで、わたしは何にも変わってない。


終わり


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