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風とカメラとぷかぷかと。−第3回−

風とカメラとぷかぷかと。
─NPO法人ぷかぷかで生きる人たちとの交流記─

ー第3回ー

2019/08/27 「再訪」

初めてのぷかぷか体験から一週間、僕はまたこの場所にやってきた。
気持ちの中に生まれたこのモヤモヤがなんなのか確かめに、と言ったら聞こえがいいが本当は先週食べ損ねたパンが食べたかっただけ。
先週撮ったアートイベント用のポートレートも確認してほしかったしね。

15:00をまわったところだったので人の気配はあまりなく、まさに緩慢な午後といったところ。
ベーカリー店内に入ろうと扉に手をかけると同時に中から「いらっしゃませー」の声。
なんだ?
このパン屋は把手にセンサーでもついているのかい?
気持ちいいじゃないか。
よし、いらっしゃいまセンサーと勝手に名付けよう(笑)

入ってすぐ左のパンが並んでいる棚に近づく。
「パンはこちらです!」・・・うん、見えてる。
でもそこはこちらも大人、きちんとお礼を言う。
そこへすかさず「どれにしますか!」
・・・うん、ちょっと待って、聞くの早いよね(笑)

ああ、でもこのやりとりには体温を感じる。
なんかいいな。
このやりとりをもっと楽しみたいと思った。


そしてレジ。
お金のやり取りはスタッフさんが担当。

「360円です!」
おう?
いきなり右側から値段が告げられる。
この前しゃべりまくってた青年だ。
カウンターの中ではさっきの青年が丁寧に袋に詰めてくれている。
むむ、なにやらカードのようなものも入れている。
なんだ?

一緒にアイスコーヒーも注文。
今度はカウンターの奥で女性がアイスはない、ホットしかないとオロオロ。
なんだか厨房をバタバタさせてしまった。
悪いと思ったが暑い日だったのでホットコーヒーは頼まず手持ちのお茶を飲む。

ベーカリーの前のテラス席でPCを開こう。
この場所でぷかぷかさんたちの気配を感じながら文章を書きたいと思ったのだ。
うむ、我ながらカッコいい思いつきだ(笑)

が、さっきパンを袋に詰めてくれた彼がガラス越しにジッと見てる。
気配を感じるどころの話ではない、これぞ凝視ってやつだ。ガン見だ。背中がモゾモゾするくらい。

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いやいや、でもこれこそがぷかぷかさんではないか。臆することなくジッと見る。
彼らのストレートな行動を見せつけられると胸の中に清々しい風が吹くのだ。

そういえばさっきのカードはなんだろう?
手書き?かな?
なんだかわからないが胸がホッとする。
「ありがとう」って書いてある。
こちらこそありがとう。
思わずそう、つぶやきたくなる。
パンを買って癒やされるなんて思ってもみなかったよ。

そこへ理事長さん登場。
写真を褒めていただく。
嬉しいですな。
そして帰りの会とやらに誘われる。
ベーカリーの2軒お隣の「アート屋わんど」に全員集合。
ふむ。
とりあえず進行役がいるみたいだがまるでカオス。
全員が好き勝手にしゃべっている(笑)

進行役の「いい一日でしたか?」という質問に対してある女性が答える。
「外販で、久しぶりだねって言われました。覚えていてもらってうれしかったです。」
「きれいな声をしているねって言われてうれしかったです。」

・・・・・・。
なんだろ。
チクッとした。
「覚えていてもらってうれしかったです」
「きれいな声をしているねって言われてうれしかったです」

人間はこれだけのことでその日がいい一日になるということを僕は完全に忘れていた。
うまく表現できないのだけど、自分に対しても他人に対しても求めるものが多すぎて日々の満足度が相対的に下がってしまっていたかもしれない。
あの女性に教えられた気がする。
もっと、もっと、もっと。
そうやって自分たち自身を追い込んでないですかね、現代人は。

そんな具合に本日もぷかぷかにはいい風が吹いておりました。
来てよかったな。

続く。


−本日のパンとカードー

アールグレイのメロンパンと見た目もかわいらしいウサギパンをチョイス。
どちらもお世辞抜きにおいしい。
ご来店の際は是非。
カードも手書きでいい雰囲気。

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