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風とカメラとぷかぷかと。−第6回−

風とカメラとぷかぷかと。
  ─NPO法人ぷかぷかで生きる人たちとの交流記─

ー第6回ー 

2019/09/29 「偏見」

今回はぷかぷかではない場所でのお話。
人によっては怒りを覚えるかもしれません、先に謝っておきます。
でもとっても大事なこと。
そして僕のように障がい者福祉と縁が無かった人間には非常に気になること。
ずっと誰かに聞いてみたかったことをぷかぷかで働く知人にぶつけてみました。


「衛生面ってどうなってんの?」

とても聞きづらかったこの問い。やっと聞けた。
今までも区役所や図書館や路面店で見るたびに気になっていた障がい者の人たちの販売するパンやクッキー。買うことが何かの助けになるかもなんて思いながらもなかなか手を出せずにいた最大の理由が僕の場合はこれだった。

だって鼻をほじりながら歩いていたりする人を見たことあるし、駅のトイレでも手を洗わずに出ていく人も見たことがある。
さらにひどいことを書くと、知的障がい者なんだから消毒のことなど理解できないんじゃないか、とすら思っていた。

でも全然違っていた。

その知人はベーカリーの厨房で
ぷかぷかさんたちと実際にパンを作る仕事をしている。
監督者というよりもぷかぷかさんたちが働きやすいようにサポートしているとても信頼の置ける人だ。その知人曰く、「は?なんの問題もないけど?普通の飲食業と同じだよ。」と、拍子抜けするようなあっさりとしたお答え。
調理器具も調理台もしっかり煮沸消毒、アルコール消毒をしてるし、ぷかぷかさんたちもマスクをして、髪も隠してちゃんとやってるよ、と。
消毒の大切さもみんなきちんと理解して、やらなければならないことは間違いなくやっているよ、と。
そしてそんな僕に怒るでもなくこんな話もしてくれた。

あるぷかぷかさんは、とてもきれい好きで作業台に水滴が一滴でも付いているときれいな布巾ですぐに拭かねば気が済まない。
またあるぷかぷかさんは、作業台の縁に対して調理器具が曲がって置いてあるとまっすぐに直さなければ気が済まない。

ふむ。
なるほど。

これは彼らの不器用さを示すエピソードであると同時に、実直さを示すエピソードでもあると思う。
もちろんぷかぷかでは効率第一などと言ってそれをいちいち咎めたりはしない。
それこそ時にはあえて調理器具を不規則に置き、
ぷかぷかさんたちと一緒にその器具を直したりしながらコミュニケーションをとっている様子も話してくれた。
当然ルールはあるのだろうがきっとぷかぷかのそれにはかなりの幅があって、それぞれがその中で可能な限りストレスの無い状態で日々働いているのだろうということが想像つく。

話が逸れた。

つまり、不器用なほど実直な人たちが、その実直さを発揮してきちんと調理しているものが不衛生であるはずがないのだ。
まして、そんなぷかぷかさんたちを温かい目で見守ってサポートしているスタッフさんが側にいるのだから何の問題も無いだろう。
問題なのは偏見をもって遠くから彼らを見ていた僕の感覚だ。
いい加減障がい者だから、そうじゃないから、って感覚を捨てなければと思う。
情けないぐらいその感覚が染みついてるんだよ。


「衛生面ってどうなってんの?」


よくもまあこんな恥ずかしい質問をしたものだと自分に呆れる。
愚問でした。
反省。
でもしょうがないじゃん、知らないんだもん。
なんて開き直ってみたりもする。

でも今日からは、そんな偏見をもった人に出会ったらビシッと言ってやるんだ。
「は?なんの問題もないよ。そんな偏見、捨てちゃいなよ」って。

思い切って聞いてよかったな。
呆れることなく丁寧に話をしてくれた知人に感謝感謝。

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