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【ヤクルトー中日】元スポーツ紙記者ハムやんのここが勝負の妙味!(2021/06/20)

共に交流戦を勝ち越した2位タイのヤクルトと4位中日のリーグ再開第3戦は、両先発の投げ合いとなった。ヤクルトは2年目に入り着々と力をつけてきている奥川、中日は勝ち星から2ヶ月遠ざかってはいるものの大崩れの少ない勝野。序盤から両者制球に難を見せながらも得点を許さない展開が続いた。

流れに乗り始めた奥川とペースが上がりきらない勝野

立ち上がりから左右のコントロールに苦しんでいた奥川は、中盤から代名詞でもあるスライダーが右打者のインコースに決まり始める。これでリズムを掴んだのか4回5回をしっかり抑える。6回こそ際どいコースのスライダーのボール判定に苦しみ、2死満塁のピンチを招いたが好調堂上をセカンドゴロに仕留めて無失点で切り抜けた。

対する勝野は高めに抜けるストレートが目立った。3回2死二塁の場面では、1ボール2ストライクと追い込んでいた塩見への4球目が内角高めの速球が抜けてデッドボール。続く青木を打ち取り事なきを得たが、制球に苦しむシーンが多々見られた。7回1死までヤクルト打線をノーヒットには抑えていたものの、3回、5回、6回と四死球を起因としてスコアリングポジションに走者を進めるなど、ラクな展開ではなかった。

ここがポイント!「継投の判断」

決して好調とは言えない両先発だったが、6回までスコアボードに「0」を刻み続けた。

7回。試合が動き出す。まずは奥川がプロ入り後最長イニングのマウンドにあがる。とはいえ6回を終えて74球。余力はあったはずで、7回も10球で三者凡退に退けた。

その裏。ノーヒットノーランの可能性を残す勝野も簡単に2人を打ち取り、大記録まであと7人まで迫った。

ここでヤクルトベンチが動く。勝野に対して全くタイミングの合っていなかった8番古賀に代打宮本を送る。その宮本は初球のフォーク系の球を見送ると、2球続けてきた落ちる球をセンター前にキレイに弾き返し、この試合初めてスコアボードに「H」ランプをともした。

勝野にとってこれが103球目。初ヒットとはいえ、前述の通り3度ピンチがあっただけに、さすがに疲労感はあったはずだ。ここで一度、阿波野ピッチングコーチがマウンドに行くが、中日ベンチの判断は続投。対するヤクルトは、代打として好調のベテラン川端を送り込んだ。まだ84球の奥川をスパっと替える判断を下したのだ。

直後、川端は勝野のスライダーに合わせるように一振り。今季1号の決勝弾をライトスタンドに運んだ。

調子は良くないなりに好投を続け、終盤で初安打を打たれた先発投手を続投させた中日与田監督。未来のエースに更なる経験を積ませる前に、目の前の勝利にこだわったヤクルト高津監督。投手出身の両監督のジャッジが明暗を分ける試合となった。

ちなみに高津監督は8回表にセットアッパーの清水が1点差に詰め寄られるなど内容がよくないと判断すると、ランナーを背負った場面で梅野を送り込んで火消しに成功している。指揮官の2度にわたる大きな決断でチームを勝利に導いた。

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