柿取り
【秋のばあちゃん】
①柿取り棒
柿の木というのは、あんなに背が高かっただろうか。小学生の頃の私が、ものすごく見上げる高さだったと記憶している。
そんな高い木の柿を取っていたばあちゃんの腰は、全然曲がっていなかったんだと思う。
柿を取るときは、竹の棒を使って、枝ごと折り取る。
竹の先端を割り、そこに木の棒か竹を固定する。柿の枝を上手く挟み込めるようになっているのだ。
たわわに実のついた枝は、重さで落ちてしまうこともある。柿を拾うのは私の仕事だった。
②九州場所
記憶の中のばあちゃんは、だいたいいつも若い。
11月なら、テレビで九州場所を見ながら、洗濯物を畳んでいたりする。学校から帰った私も、何となく相撲を眺めていた。
行司の声が響く。ばあちゃんは「帰ったね」とだけ言って、あとはあまり話をしなかった。
③おわりに
子どもの私には、なんとも言えない味だったけれど、ばあちゃんは干し柿が好きだった。だから、柿を取るときも、竹の子掘りのときのように活き活きした感じだったのかもしれない。
そして、実家のあれは渋柿だったんだな。今になって分かったこと。
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