憧れのキチンとさん
〜憧れと味わいと〜
ピシッと等間隔に洗濯物が干してある様を見ると、ああ、キチンとした人なんだろうなあと思う。
部屋も綺麗に掃除してあって、物は少なく整えられていたりするのかな。
いいなあ。
つい見てしまう格好良いものといえば、柴犬のシュっとしたおしり。歩いている姿は、筋肉質で背筋がピンとして、凛とした感じがする。
いいなあ。
しかし、パグの愛嬌のある顔もなんとも捨てがたい。
なんというか、整いすぎていない味のある感じ。あのゆるゆるのシワにちょっぴり隙を感じるのかな。
完璧だと思っていた人の隙を見かけたときに湧く、親近感のようなものかもしれない。
いいなあ。
生活感のある家だって悪くはない。庭に色んなお花が植えてあったり、生活の道具が雑然と置かれていたりする。お花に混じって、草もけっこう伸びていたりもする。
それはそれで、人が生活しているんだなあって思う。
きっと精一杯生きてるんだ。
いいなあ。
キチンとしたもの
整頓されたもの
憧れ
隙のあるもの
雑多なもの
味わい
味わいについてもう少し。
「じわじわくるもの」というくくりもある。じわじわにも味があると思う。
例えば、エレベーターの手すりに誰かのTシャツが掛けてあったりすると、ああ、今日風が強いから飛んでいっちゃったよね、って出かけようとして張り詰めていた力が一瞬ぬける。
ガードレールのポールに片方の靴下がかぶせてあるのは、ベビーカーの子の落し物?
誰かが拾って落とし主が見つけやすいようにしたのかな、ってじんわり優しい気持ちに触れられる。
掲示板にきみまろさんの記事が貼ってあったりなんかすると、なぜか懐かしい気持ちになって、これはまたお元気そうで、って口角が上がったりする。
そんなほんのちょっとした、じわじわくることが毎日けっこう見つかる。
人の足掻き
人のあわれさ
人のこだわり
人の矛盾
本人は真剣だから。
人から見たら大したことではないように見えても、たぶん大切な理由がある。
必死に生きてるんだ。
いいなあ。
前略
お変わりありませんか。
今日も、お買い得テッシュ5箱パックがいいのか、お肌に優しいソフトタイプを奮発しちゃうのかで一生悩んでいます。
カップラーメンを食べながら、野菜ジュースを飲んだりもしています。
毎日毎日、よく分からないものとの闘いは切りがありません。
悩まなくていいことまで、わざわざ深く考えたがる質でして。
そうはいっても、まずまず私は元気です。
それではまた。
だんだんと暑さが厳しくなってまいります。どうぞご自愛くださいませ。
草々