テレイドスコープ
雨が降る勤労感謝の日。御徒町へ行ってきた。大切な姪っ子ちゃんに、誕生日プレゼントを買いに。
2022年のゴールデンウィーク、僕はお袋を連れて富士山を見に、シェアカーを借り中央高速を走って河口湖へ行ってきた。あまり天気は良くなかったが、若干曇天の空に、雲を被っていない全体が美しく大きくそびえる富士山を拝むことができて、僕はとても感動した。お袋もその小旅行でうれしそうにしていた。
その時、たまたま通った道にハーブ庭園という観光スポットがあった。入場無料だったので寄り道をした。
とても綺麗に花々やハーブや木々や噴水が配置されている、手入れの行き届いた庭園だったので楽しく過ごした。そこには様々な品種のチューリップの花壇があって、テレイドスコープが置いてあった。
…… テレイドスコープというのは、万華鏡(カレイドスコープ)の仲間だ。よくある色の着いたガラス片やビーズなどのパーツが入った万華鏡とは違って、水晶やガラスの無色透明の球体が嵌め込まれている。それで風景などを見ると、どんな陳腐な景色や物でも光の屈折で美しい世界を眺めることが出来る。
僕は設置されていたテレイドスコープを手にとってお袋に「これでチューリップの花壇を見てごらん」と渡した。
お袋はテレイドスコープ越しに花壇を眺めて歓声をあげた。「わぁ〜、何これ!すごく綺麗だわ!孫(姪っ子ちゃん)にも見せてあげたい!!」
帰りに庭園の中にある土産品やハーブの化粧品などを売っている店に入って、テレイドスコープが売っているか探したが無かった。店員さんに訊いたら「置いていないんですよ。そんなに感動していただけたのなら、オーナーに商品として販売できるよう提案してみますね」との事だった。
「お袋、僕はテレイドスコープの小さいのを持っているよ。売っているところも知っているよ」「そうなの!? 孫ちゃんにぜひ見せてあげたいわ!」
…… そういうわけで、現在に至る。僕が持っているのは、金属で出来ていてとてもシンプルなものだから、小学生女子の姪っ子ちゃんにはもうちょっと子供が喜びそうなキレイな装飾や色がついた物を買ってあげたいと思ったのだ。
御徒町と秋葉原の間のガード下にある、ものづくりの町『2k540(にーけーごーよんまる)』に手作りの万華鏡屋さんがあるのだ。僕は風景写真をスマホで撮っていい感じに加工したりしてインスタに上げるのが好きだったから、そのいい雰囲気の空間を撮りに行った数年前に、テレイドスコープを見つけ購入して持っていたのだった。
お店の人に親切に対応してもらいながら、ピンク色の革で包んであるテレイドスコープを選んでプレゼント用に購入した。さて、小学生の姪っ子ちゃんは喜んでくれるかな?
姪っ子ちゃんのママである僕の妹が、親父の訃報で気持ちに余裕がなくなりヒステリックになっている。姪っ子ちゃんは少なからず寂しさや不安を感じているのではなかろうか。
だから心を込めて、美しい世界を見ることが出来る誕生日プレゼントを渡したい。手紙を添えて。
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