薬剤師のお仕事、夢と現実
こんにちは。はるかです。
今週のはるまき交換日記をお届けします。
前回のまきこの日記はこちら⇩
まきこも私も、進路を決めたことには、親が大きく影響しています。
子供は少なからず、親の影響を受けるのは当たり前。
でも、だからと言って、自分の人生の失敗を親のせいにしてはいけない。
最終的には自分自身で薬剤師になることを決めた私たち。
もちろん、期待に胸をふくらませて、薬剤師として働き始めました。
でも、タイトルからもわかる通り、夢と現実には少しギャップがありました。
今週は、薬剤師になる前に描いていた薬剤師像と実際に薬剤師になってから感じたギャップについて、
私、はるかが感じたことをお話します。
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まきこも紹介してくれた通り、私は大学を卒業してすぐに、地元の総合病院の薬剤部に入局しました。
その病院は、私の実力とは見合わないほど大きな病院でした。
私は、そこに就職できたことを誇りに思っていたし、
自分はこの病院でキャリアを積み、定年までこの病院に勤め続ける。
それが、薬剤師としての、確固たる地位を確立できるものだと思っていたので、自分がその病院を退職するなんて、思っていませんでした。
しかし、最後の1年間は特に、理想と現実のギャップ・大きい組織であるがゆえの決定の遅さ・上に従っていれば定年まで安泰と思っている上司の多さに悩まされ、
逃げるように病院を飛び出しました。
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どんな薬剤師になりたいという夢があった訳ではなく、
薬剤師という資格を取ることに必死だった私が、病院薬剤師になることを決めたのは、5年生の病院実習がきっかけでした。
6年制の薬学生の私たちは、5年生の時に、
2.5ヶ月間の病院実習・2.5ヶ月間の薬局実習を行うことが決められていました。
そしてここで、今では師匠と呼ぶにふさわしい、ある薬剤師と出会い、
その人の言葉で私は、
薬剤師って素晴らしい仕事だ・私は病院薬剤師を目指そうと決めるきっかけになりました。
その言葉とは、
“僕が薬剤師になったばかりの時は、病棟に薬剤師が行くようになるなんて、想像もできなかった。でも、それが今では当たり前になってるよね。
これから先、今薬剤師の仕事として認められていないことが、薬剤師の仕事として認められるようになったら、ステキだよね。”
私は、この言葉にとても共感し、
これこそが、薬剤師のあるべき姿だと思いました。
そして、病院薬剤師になれば、自分も、尊敬するこの薬剤師のように、やりがいを持った、かっこいい薬剤師になれるのではないかと思い込み、
私は病院で就職することを決めました。
私が勤めた病院は、県内では大きな病院だったため、
最先端の医療が学べる楽しみ・他のメディカルスタッフと関わりあうことのできる喜び・患者さんの治療に貢献できるやりがいなど、
大きな期待を持って入社しました。
私はその病院で、計4年間働きました。
確かに、自分が期待していたことは出来てはいたのですが、
どれも表面的なことだけのような気がしていました。
本当に治療に貢献できているかと言われれば、NO。
2年目からは、薬局でのお仕事だけでなく、先輩と一緒に、病棟での薬の管理・患者さんへのお薬の説明も任せてもらうようになりましたが、
その先輩と全く気が合わず、困っていました。
仕事以外では、仲良くお話出来るのですが、仕事のことになると全くでした。
病棟のことで、決定権があるのは先輩。
そのため、
こういうところを変えてみたらうまく行くのではないか
こういうことを他のスタッフに提案してみたいんだけど、どう思いますか?
と相談すると、
勝手にやればいいじゃんの一言。
同じチームなのに、1人1人の対応が違ってしまうと、他のスタッフ・患者さんに迷惑をかけてしまう。
私は先輩の決めたことに従うようにしました。
そのため、病棟の雰囲気に深くとけ込めず、表面上の会話ばかり。
医師の治療方針を完璧に理解できるような関係性は出来ていなかったので、患者さんの役に立っていたのかと言われると△。
最先端の薬には触れていたけど、全てきちんと治療方針を理解できたかと言われれば×。
病棟のスタッフが仕事をやりやすいように、貢献できていたかよ言われたら×。
しっかり関わる時間も、勉強する時間も、忙しくて取れなかったと言えばその通りです。
先輩の言うことを聞かず、自分1人で突っ走っていれば、先輩も認めてくれて、ついて来てくれたかもしれません。
しかし、その勇気を持つには、私は若すぎました。
結局は自分の努力不足のせいで、全て中途半端の状態でした。
もっとちゃんと仕事がしたい、もっと深く関わりたいと思い、
4年目になった時に、新規一転、違う病棟を担当させてもらえることになりました。
そこでは、一緒に働く薬剤師の仲間は誰もおらず、1人で1病棟を任されました。
現場のスタッフと話し合いをし、良い方向に変えていこうと努力しましたが、
私のやり方は、全部空回りでした。
1人で任されているとは言え、私は決定権のない一般薬剤師。
何か物事を決めるときには、もちろん上司の許可がいるので、関わりのある上司に何度も相談していました。
でも、安泰を求めるからなのか、現状維持をしろ・時間が出来てから考えろ・他の人と足並みをそろえろなど、発展的な話はできませんでした。
現場は動いています。問題を抱えています。薬剤師が何かをすれば、もっと働きやすくなるし、患者さんにもプラスになるはずです。
現状維持で、見て見ぬふりをすればラクですが、
良い方向に持って行きたい・みんながもっと仕事がやりやすくなってほしい・自分がそこにいるんだから、何かに貢献したいと思うと、放っておくことはできません。
結局、
問題がある→現場で話し合う→私には決定権がないので、薬剤部に戻り、上司と話し合う→解決法なし→自分たちが出来る範囲でやるorあきらめる
こんなことを繰り返していると、何のために働いているのか、何のために薬剤師になったのか、分からなくなりました。
薬剤部で、病棟のことが分かるのは私1人。他の仕事をしていても、問題は全て私に降りかかって来るのは当然。
決定の遅い薬剤部にイライラする病棟のスタッフは、薬剤部の代表で来ている私を責めるのは当然。
私のやり方が下手だったのだとは思いますが、
若かった、希望に満ちあふれていた私は、
学生時代に会った、あのかっこいい薬剤師と自分のギャップに悲しくなりました。
でも、ここで定年まで頑張るんだ!と決めていた私は、
夜も眠れないほど自分を責め、悩み続けてしまいました。
結局、自分の健康を守るため、自分を肯定できるようになるため、人生はやり直しができるはずだということを信じ、退職することにしました。
***
薬剤師としての正解の道・世間の常識は、
☑このまま病院にいて、コツコツキャリアを積むこと。
☑仕事なんだから、辛いことがあって当たり前。
☑ガマンして続けていれば、いつか大きなことを成し遂げられる。
☑1度手をつけたことは、最後までやり遂げること。
私もそうだと思い、辞めることを何度もあきらめました。
そして、イヤなことがあるから辞めるなんて、自分はなんて弱い人間なんだ。
こんなことで、薬剤師としてのキャリアを断ってしまっていいのだろうか。
このまま続けていれば、いつか変わる日が来るかもしれない。
仕事を辞める=履歴書に傷がつくのではないか。
でも、今になって思う。
昔の私に伝えたい。
逃げていいんだよ。
そこにいることが全てじゃないんだよ。
新しい道があるんだよ。
人生は何回でもやり直せるんだよ。
辞めるという決断ができたこと・新しい道を選ぶ勇気を褒めてあげよう。
責任を持つことは大切。
でも、自分がいなくなって回らなくなる会社は、いつかダメになる会社。
自分の健康を損なってまで、仕事をすべきではない。
後任の人が困らないように、引継ぎの資料を作り、関わった方にはお礼を言うという、最低限のマナーは行い、
私は、今まで自分が正解だと思っていた人生の道から外れ、新たな人生を歩み始めました。
***
まきことの、この交換日記。
昔の私たちにいたら、教えてあげたいことを書きたいね。
それが、悩んでいる誰かの、助けになるといいね。
と思って、始めたのも1つの理由。
私は今、セブにいて、薬剤師とは離れた形で生きています。
この決断力・行動力を褒めてもらえることが多くて、嬉しいのですが、
私にできたのだから、誰にでも出来ると思います。
私は弱い人間です。よく泣きます。すぐ凹みます。
でも、自分の可能性を追求すること・自分の心がときめくことを選択することは、絶対にあきらめないという、強い心だけは持っています。
この交換日記はまだまだ続きます。
今人生の選択に悩んでいる人の心にも届くといいな。
***
そして、来週はまきこからも
今回の私のような話が聞けます。
前の話を読んでくれた方は分かると思いますが、まきこの実家は薬局を経営しています。
そこに就職してしまえば、将来は安泰。経営者になる道も出来あがっています。
でもまきこは、学校を卒業してすぐには、実家に戻らなかったんです。
幼い頃から、親の薬剤師の姿を見ていて、
私よりも、“薬剤師とは何か”を分かっているまきこ。
そんなまきこが描いていた薬剤師像・実際に働いてみて感じた現実って何なんだろう?
来週のまきこのお話も気になりますよね。
まきこの話が聞けるのは、来週の日曜日です。
みなさん、首を長くして待っていてくださいね。
まきこ、楽しみにしてるよ☆