私が宝塚に出会って、贔屓が退団するまでの話・出会い編
宝塚歌劇団にハマって1年と少しのぺーぺーですが、先日ご贔屓が退団されたので今までの出来事をまとめてみようと思います。ノリと勢いで書いたので悪しからず。全3編の予定です。
タカラヅカとの出会い
私が宝塚歌劇団をちゃんと知ったのは2019年のFNS歌謡祭でのことだった。もともと望海風斗をご贔屓としている友人がいて、なんとなく知っている程度ではあったけれど、それは知識としてだけの話で体験したものではなく、ほとんど知らないも当然であった。番組内でDA PUMPと共にUSAを歌う彩風咲奈が格好よくて、脚の長さがえげつなくて、惚れ惚れしたのを今でもよく覚えている。直後、それに出ていたタカラジェンヌのうちの1人が母校の遠い先輩であることを知り、なんでうちの学校はそれを自慢しないのかと憤慨した。そして、その番組で「黒髪の人」として大バズりした朝美絢の画像を調べては保存しまくった。その流れでタカラヅカ×ディズニーのアルバムも知った。「そばにいて」を聴いて衝撃を受けた。あまりにも美声すぎる。これが望海風斗か、すげえ、と1発で仕留められてしまった。
私とミュージカル
それからしばらくして、高校三年生になると共にコロナが本格化して、全てのエンタメがストップした。私が楽しみにしていたミス・サイゴンも無くなった。まあ受験生なのでどのみち見られないだろうし、しょうがないか、とその一年はのんびりと過ごした。
その年の終わり頃になって、不安定ながらもようやく舞台にライトが帰ってきた。入試を終えて、人生で初めて1人でミュージカルを観に行った。念願だった劇団四季のオペラ座の怪人と、はじめて自腹でチケットを買った赤坂でのthe PROM。とくにプロムはアンサンブルに推しが出ているからと意気込み、当日引き換えの学生チケットを購入し、最前列を引き当てた思い出深いミュージカルだ。
しかし高校を卒業し大学生となった当時の私には、ミュージカルよりもディズニーリゾートという趣味があった。2、3カ月に1度パークに行くことを楽しんでいた私はミュージカルはたまに見る贅沢なものだと思っていた。よくよく考えれば、頑張れば5000円前後のチケット代と交通費しかかからない舞台の方がまだ金のかからない趣味である。あとハイキューと、それに伴ってBurnout Syndromesも好きだった。ファンクラブにも今は退会したけど入っていた。今でも彼らの楽曲は大好きだ。特に初期の曲は鬱っぽい仄暗さがあって良い。最近少し離れてしまったけれど、たまに聴いては元気をもらっている。
宝塚歌劇団を見てみよう
2021年、NHKのBSで宝塚歌劇が不定期に放送されていることを知った。なんだかんだミュージカルが好きで、音楽番組はミュージカルのために録画していたような人間なので、当然それを録画した。そして翌年1月18日、録画したその映像を観た。タイトルは「fff/シルクロード」。私の人生に深く深く刻まれている大好きな作品だ。この時点で私は「望海風斗」「朝美絢」「彩風咲奈」しか知らないミリしらのぺーぺーである。びっくりした。とってもびっくりした。望海風斗の歌声に、タカラジェンヌの美しさに、衝撃を受けた。「なんてこったえらい美人だ」とTwitterに書き込んである。fffも素晴らしかったが、私はシルクロードがいたく気に入った。アラビア風のギラギラの衣装、その後の行末を匂わせる青く美しい恋愛、千夜一夜の紅き美しい王、神々の宴、マフィアとタンゴとチャイナ美人、ラストの彩凪翔の「じゃあね」と歌う紅い唇、黒燕尾。どれも深く刻まれている。あまりにも衝撃すぎて長らく連絡していなかった望海風斗贔屓の友人にラインを送りつけた。たぶん迷惑だった。それから「桜嵐記/dream chaser」「はいからさんが通る」「ピガール狂騒曲」など、把握できる限りNHKで放送されていた全ての作品を録画して、観た。のめり込み方が馬鹿のソレである。「はいからさんが通る」では柚香光の美しさに感銘を受けた。二次元そのものだった。あまりにも柚香光の顔が良くて絵を描いてTwitterにあげたら100いいねを超えた。自分のイラストで3桁のいいねなんて人生初だった。嬉しかったけど、なんかちょっと悔しかった。どうせなら自ジャンルでバズりたかった。まあ良いけど…
ディズニーとミュージカルと
しかしそれからしばらく、私はディズニーとオーケストラに身を捧げていた。ずっと観たかった劇団四季のノートルダムの鐘を人生ではじめて観て、演奏会に出て、パークに行って、演奏会に出た。舞浜に行ってマックだけ食べて帰るとかもしていた。オタクとは頭の悪い生き物である。コロナに罹って、明けてすぐにノートルダムの鐘を観たりしている。完全に馬鹿の所業である。
8月半ばに、2年前に無念の中止となってしまっていたミス・サイゴンを観に行った。人生初の帝劇、生の海宝直人だ。海宝直人は想像よりゴツくて驚いた。繊細に歌うから、もっと細身だと思っていたけれど、がっつり男だった。某テーマパークで、とあるキャラクターを演じていたことをきっかけに好きになった役者さんも人生で初めて生で観た。正直彼のことを舐めていた。良い意味でめちゃくちゃ目立っていた。キムとクリスの結婚のシーンではギリギリまで舞台に残っていたし、アメリカンドリームでは最後に退場する役回りだった。ちなみにプレ初日公演のS席がコロナでの公演中止で金に戻ってしまったのが今でも悔しい。
初宝塚と、運命との出会い
そんな年の10月のとある日、Twitterで回ってきた「宝塚歌劇団雪組貸切公演」という文字が目に入った。へえ、まあ貸切公演なんてよくあるか、落ちるだろうけど応募してみよう、と応募して、応募したことも忘れていた頃に当選のメールが届いた。A席の右端の方。決して良い席だとは言えないけれど、ヅカオタでもない私にはちょうど良いだろうと思い、買ってから2度ほどしか使っていないオペラグラスを鞄に入れ、わざわざイヤリングを新調した。
そして運命の12月1日、私は学校帰りに有楽町へ向かった。かなり浮かれていたのだろう、18時開演なのに16時半には日比谷シャンテに着いていた。当選してすぐに買ったけれど読み終える気のない4冊ある原作の第1巻を捲りつつ、タリーズの1番安いドリンクを啜って時間を待つ。斜め後ろの席にやたらと声の通る、高校時代に有名だった先輩にそっくりな女性が座っていたことを何故だかよく覚えている。煌びやかな舞台、衣装、全員美人、そして、特に目を惹く数人のタカラジェンヌがいた。主演の彩風咲奈と元から知っている朝美絢はもちろん目を惹いたが、彩風咲奈の近くにいる美人がとても気になった。順桂と名乗る彼は作中でもまあ顔の良い役らしく、女によってこられたところで「私には妻と子がおりますので…」と控えめに、しかし綺麗な声で言った。なんだあの人、と思いつつも見ていると、朝美絢の師匠役である片目の隠れた美人、黒牡丹が出てくる。この人はパンフレットを見た時点で「この人美人だなー、黒牡丹さんか」となんとなく認識をしていた人が動いて喋っている。めっちゃ美人だった。そしてすぐに死んだ。あんなに良い役なのに、序盤で死んだ。そして、中盤から出てくる日本人記者もめちゃくちゃ美人だった。ちなみに今挙げた全員、顎がシュッとしている系の美人だ。わかりやすいにも程がある。
そして2幕の中盤、なんだか暗くてたくさん布がある場面で、私は運命に出会った。過激思想テロリスト、順桂である。この布の場面で順桂はソロを歌うのだが、その意志の強そうな、覚悟を決めてしまったような表情と歌声に衝撃を受けた。と同時に「この人たぶん死ぬ」と直感した。私の好きになったキャラクターは結構な確率で作中で死ぬ。だからキャラクターの死に対する直感はまあまあ鋭い。頼むから死ぬなと願いつつ、でも死ぬとこ見たいとも思いつつ、舞台の進行を見守っていると、西太后と朝美絢の行列の前に爆弾を持った順桂が現れた。ああ、頑張れ順桂、と思ったのも束の間、順桂が投げた爆弾に向かって、ゆっくりと女の子が飛び出してきた。一瞬脳裏によぎる「妻と子がおりますので」という台詞。そしてその予感の通り、順桂は女の子を庇って爆死した。その瞬間、私は彼が大好きになった。女の子を庇って爆死した順桂のことが大好きになってしまったのだ。まあまあな期間推し未亡人をしているが、死んだ瞬間に恋に落ちるのは初めての経験だった。順桂が死に、その死を引きずりながらも話は進む。国の行末を憂う若き国王、日本に亡命する彩風咲奈、それを助ける美人日本人記者、絶対に男の人が演じていると思った程の演技力の伊藤博文、ぼろぼろ泣く朝美絢。どのシーンも素晴らしかった。しかし失礼ながらこの辺りの記憶が朧げである。なぜなら、作品が終わった後、華々しい音楽と共に真っ赤なスーツを着た綺麗な人がせり上がってきたからだ。あまりにも綺麗で、誰だろうとオペラグラスを向けると、レンズの向こうには死んだはずの順桂がいた。いや、順桂を演じていた和希そらがいた。そこで私は和希そらに恋に落ちた。ここでやっと本人に恋したのである。真っ赤なスーツを煌めかせて、美しい声で希望に満ち溢れた歌を歌っていた。そこで記憶がすっ飛んでしまったのだ。そして男役群舞。蒼穹の昴を調べた際にこの衣装が出てきて、あまりにも素敵でネイルに落とし込んだほど大好きな衣装だ。金色の薄い衣装がふわりと舞うのがとても美しかった。そして、彩風咲奈と朝月希和のデュエットダンスと、パレード。
公演が終わって、ぼうっとしながら電車に乗り、必死で和希そらについて調べた。それまでシルクロードは何度も見ていたけれど、見たことのない顔と名前だった。最近雪組に異動してきたらしい、とその時初めて知った。宝塚界隈で「ご贔屓は花束を持ってある日突然あなたの前に現れる」とかいう言葉を聞いたことはあったが、「爆弾を持ってあなたの前で爆死する」とは誰も教えてくれなかった。正直な話、私は朝美絢に沼るつもりだったので、完全にノーマークの和希そらにハマるのはとんだ誤算だった。しかし、和希そらというタカラジェンヌを知れて、とても幸せな帰り道だった。
ヅカオタへの道編に続く
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