「どうせタレント議員」と侮ったの?
杜撰な誤報騒動だ。驚いた。
共同通信は「生稲晃子参議院議員が2022年の終戦記念日に靖国神社を参拝していた」と配信した記事について「誤った報道だった」と訂正、編集局長が「おわびします」とするコメントを発表した。
2年以上前のこの記事が注目されていたのは、いまは外務政務官を努めている生稲議員が出席した世界文化遺産・佐渡の労働者追悼式に韓国政府が代表者を出席させなかったから。記事によると韓国外務省は「韓国側が追悼式への不参加を決めたのは、諸般の事情を考慮したものだ」としているが、生稲氏の“参拝報道”が影響したとの見方が広がったのだ。
生稲氏と林官房長官が「国会議員に当選後は参拝したことはない」と明確に否定したことで共同通信はあらためて事実確認をしたのか、なんとも杜撰なものである。
生稲氏は2022年7月の参院選で初当選。つまりこの終戦記念日は当選直後だったことになる。あくまでも想像だが、共同では「何?あのおニャンコ議員も早速来ていたの?よし、一覧に入れて!」程度だったのではないか。そしてそのノリは「所詮は当選ホヤホヤのタレント議員だし」と無意識に侮っていたのではないか。これが大物議員だったなら、しっかり本人や事務所、最低でもほかの議員に確認するだろう。
それにしても、靖国神社に来てもいない生稲議員について「来ていた」と報告した現場の記者は何を考えていたのだろうか。思い込みか?幻を見たのか?あるいは他人の空似か?そのあたりがあやふやだったなら、確認すべきであるのは当たり前すぎて、本社の上司もまさか「ほんとか?見間違いではないな?」などといちいち全部を疑うことはしない。報道の現場とはそういうものだ。
「タレント議員」とは呼ぶが、「弁護士議員」「会社員議員」「秘書議員」とは呼ばない。あ、「世襲議員」はあるのか。つまりそこには「政治の世界で苦労したこともなくその能力もないだろうに、知名度や地盤というゲタを履いて当選した」というやっかみ半分の気分があるのではないか。まさかその生稲氏が2年後に外務政務官になっているなんて想像すらしていないのだ。
いろいろ情けないことになっているぞ。
(24/11/26)