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ロクブンノイチガール 3

突然だが、中学の同級生に、白銀(しろがね)くんという男の子がいた。
名前通りかっこよくて性格も良く、スポーツも出来て勿論モテる。しかも頭もいいので弁舌さわやか、生徒会長まで務めたという、どこの少女漫画から転生してきたかというほどのヒーロー仕草だった。
私はクラスの中でも目立たない方と言うか、意図的に気配を殺して生活しているようなところがあったのだが(厨二)、白銀くんはそんな私にも気さくに話しかけてくれた。今週のジャンプ読んだ? とか、何か怖い話してよ、とか。
なぜか彼の中で私は怖い話担当になっていたようで、時々そんなことを言われた。それで私は、では今日は眼球注射の話をするよ、などと言っては白銀くんを恐ろしがらせた。
私がとっておきの怖い話をする前に卒業を迎え、別の高校に進学したので白銀くんのその後は知らない。でもそれから後も、多分今でも、笑顔がすてきで怖い話が好きな誰かのヒーローなのだろう。
私の少女時代の、リア充と友好的になれた数少ない思い出だ。

で、なんでこんなことを書いたかというと、銀髪のドールを見たときに、白銀という名前を急に思い出したからだ。

白銀リカちゃん

中学時代の思い出とドールとはまるっきり関係ないし、今まで銀髪キャラなんてありとあらゆる創作物で見てきた。何なら自分で描いた(書いた)ことすらある(黒歴史)。そんな中でも、彼の名を思い出すことは一度もなかった。それがこのドールを見た瞬間、そういや白銀くん元気かな、と思ったのだ。

そこに巡り合わせを感じたわけではないし、彼の消息が気になるというのでもない。単なる連想で、そこに意味は全くない。
どちらかと言えば、何でもドールに結びつくようになってしまったと危惧する場面なのかもしれない。
それでも彼女を見ると、あのヒーローみたいだった少年を思い出して、何となく楽しい気持ちになってしまうのだ。


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