それは素敵な夜でした

4月15日
風の強い朝。
駅へ向かう道を歩いていたら、前を歩いていた保育園児と保育士のお散歩隊がいた。のどかな朝だなぁと微笑ましい気持ちになった次の瞬間、無慈悲な突風が1人の男の子の被っていた黄色い帽子を後方に吹き飛ばした。私は反射的にそれを空中でキャッチし、「はい、どうぞ」と彼に返した。集団を抜かし、ザッとロングコートを翻しながら歩き出すと、後ろから彼が「ヒーローみたいでかっこいい……」と呟く声が。素直に嬉しかったが、間違っても彼にはこんな大人に憧れないでほしい。

昼から下北沢でライブスタッフの予定だったが、早めに向かい髪を切ってもらおう。予約していたヘアサロンに入り、「全体的に短くしてください、あとは美容師さんのいいと思うスタイルにしていただきたいです」と最高にふわっとした注文だけした。伸びてきて刺さるようになった襟足さえどうにかなれば、あとはどうでもよかったのでここはプロに任せたほうが良いだろう、と。
美容師さんは色々提案をしてくれて、私の反応を見て色々と調整してくれた。カットとシャンプーが終わり、ドライヤーで髪を乾かし終えると、私の髪を改めて触り
「ほんとサラサラですねー」
と褒めてくれた。私の唯一の身体的武器(長所でありいつか金にできると思っている)を気に入ってくれたようで、「アイロンでセットしてもいいですか?」と提案してくれた。自分ではほぼしないので是非、とお願いするとイキイキとアレンジを始める。すっかり綺麗にしてもらい、途中アイロンの時間があまりに長く感じ、『この人、私のことをマネキンだと勘違いしてるんじゃ?』と疑ってしまったのが申し訳ない。

昼からライブを2本。今日は技術卓で音響と照明をひとりで操る。途中頭がこんがらがりそうになって、私にこの小室哲哉スタイルは無謀だったかもしれないと天を仰いだりしたが、結果何とかなって一安心。
終わりで、演者さんたちのご好意で打ち上げに参加。『酒が飲めなくて話し下手』という飲みの席で最弱のカードしか持っていない私にも優しく話しかけて声を出す場をつくってくださる先輩方に感謝である。
今日も楽しいライブだった。明日手伝うライブもきっと楽しいはずで、終電に揺られながら充実した日々を思いニタニタしてしまった。

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