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ヨコハマの夜は煌々と輝く
11月17日
朝8時、友人に叩き起こされる。
最近、今までの分を取り戻すかのように眠っている気がするし、眠気がそう促してくる気がする。
寝ぼけ眼を擦りながらリビングへ向かうと、元気なおばあさまが朝ごはんを用意してくださっていた。パン、サラダ、目玉焼き、スープ、食後には紅茶。優雅すぎる朝食、嬉しすぎる気遣いだ。
眠気が取れないまま京都行きの電車へ乗った。
友人たちはこれから京都へ遊びに行くという。
私は夕方から別用があったため、京都まで一緒に向かい、新幹線に乗ることにした。
別れる直前、友人が手紙をくれた。1人、新幹線で開けて読むと、こんなことが書かれていた。
「うつ病になったって聞いた時、すごく心配したんだけど驚きが強くて、ちゃんと伝えられなかったと思って手紙を書きました。診断を聞かされた時、安心させられるような気の利いたこと言えなくてごめんね。色々不安なことあるだろうけど、いつでも相談乗るから話してね。」
高校・大学と7年以上の付き合いになる彼女からもらった、何度目かもわからない手紙には、こんな私を労わるやさしさが綴られていた。
もう歳で涙腺ゆるゆるなんだから、こんなのもらったら泣いちゃうでしょうが……、なんて思いながら、しばらくしまわず握っていた。
程なくして東京駅に到着。
そこから在来線に乗り換えて、一度自宅へ戻る。
今日は家族で両親の結婚25周年を祝うディナーを、横浜が誇る良質ホテル『インターコンチネンタル』でするというのだ。さすがにあそこへ着古し毛玉パーカーは着て行けない。みみっちいプライドをキレイめ白ニットに変換した。
それにしてもまずい。プレゼントが決まらない。迷っている場合ではない、出発の時間は迫っている。わあああ!と焦って結局選んだのはカタログギフト。これで好きなものでも頼んでもらうことにしよう。
ディナーはホテルビュッフェだった。
肉、魚、オシャレオードブル、寿司、スイーツ……なんでもあってなんでも美味かった。
たまの贅沢なのに、会話の内容は『アホの妹が自動車学校の効果測定筆記テストに受からない』とか、『おばあちゃんが妹の誕生日を1ヶ月勘違いしていた』とか、至極どうでもいい内容だった。
私もまだ仕事を休職していること、休職が終わったら辞めて文筆家になることを一言も言わず、それっぽい仕事の話とかしてしまったので、人のことをとやかく言える立場ではないのだが……。
夜の横浜はクリスマス時期ということもあり、イルミネーションが眩しく光り輝いていた。
今夜はそこまで冷えないし、と七色に輝くコスモクロックやライティングの綺麗な赤レンガ倉庫周辺を家族で散歩した。
生まれてから20年以上住んでいた横浜の景観は、今夜も変わらず美しく、「これは初対面の時に『横浜出身です』と名乗りがちになるわな」と謎の納得をしてしまうほどだった。
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