2021/6/25(金)角野隼斗さん「オールショパンプログラム」コンサート感想_(2)後半
5.箸休め -ノクターン第2番:作品9-2
(1) ノクターン第2番:作品9-2
・右手を高音の位置に置き、柔らかい高い音で始まるので、あれっと思ったら、「マズルカ風ロンド」ではない、違う曲が始まった!まさかの!ノクターン第2番!私のイメージでは、浅田真央選手(2007年SP)!角野さん、茶目っ気ある感じで始められるし!面白くて、吹き出しそうになった。
・しかも、途中からジャズ・アレンジ!おしゃれ!
・有名な曲だし、角野さんの演奏で、アレンジも聞けて、嬉しかった。
(2) トーク
・「前半は緊張感ある感じでしたが、後半はリラックスして楽しんでください」といったもの。一気に、会場が和やかな雰囲気になった。
6.マズルカ風ロンド:作品5
・箸休めのおかげか、角野さんご自身もとてもリラックして楽しんでいる様子だった
・もともと楽しさにあふれている曲が、さらに楽しさ、快活さ、愉快さを加えた感じがした。マズルカのリズムも良かった。
・この作品はショパン16才、ワルシャワ高等音楽学校に入学した頃のもので、初期の傑作とも言われている。「付点リズムや3拍目のアクセントを持ち、マズルカの特徴そのもの」、「華やかで、自身の技術を見せつけることが求められた背景がある」(Wikipedia)らしい。
・ちなみに、「マズルカ」とは、ポーランド舞曲(①マズル、②オベレク、③クヤヴィアク)を総称する名称として、ポーランド以外で用いられた言葉。ショパンがそれを芸術的に高めた。
(①マズル:マゾフシェ地方の舞曲。快活なテンポの楽しい曲で、しばしば付点リズムを持つ、②オベレク:シロンスク地方の舞曲。急速な踊りで回転を繰り返す、③クヤヴィアク:クヤヴィ地方の舞曲。ゆったりしたテンポで、メランコリックな表情を持つ)
なお、ショパン国際ピアノコンクールでは、「マズルカ賞」が設けられている。それは、ショパンにとっても、ポーランド人にとっても、マズルカは大切な意味合いを持っているからだそう。(「図説 ショパン」より)
7.バラード第2番:作品38
・実を言うと、この曲は私は苦手。第2主題が恐怖を感じてしまうのと、転調など無理がある気がする。「最も多く訂正されたものの1つ」(「ショパン 孤高の創造者」)だそうで、それもわかる気がする。
・「2つの対照的な素材の対立、調停、変形」がみられる。1つは長調で、シチリアーノ風の旋律、2つ目は短調でエチュード風の厳しい旋律。ポーランドの詩人ミツキェヴィチ氏の「シフィテシシ湖」の詩を基にしたともいわれる(「ショパン 孤高の創造者」)。
・私は、第2主題が苦手なため、この曲は緊張感を持って聴いてしまったが、第1主題の穏やかさはよいと思った。
8.ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」:作品18
・ノリノリで、速かった!楽しそう!輝かしい音が似合う!
・この曲は1831年@ウィーンにて作曲されたそう。「J.シュトラウスや、ランナーのワルツを耳にして大いに触発され、それを基にして純粋に聴くための芸術作品としてのワルツを作り出した」という(「図説 ショパン」)。それもあって、J.シュトラウス的な華やかさを感じた!
・同じ音が続くところも、綺麗。
・中間部も迫力がある。音の響きが計算されつくれているような、美しさ!大きな音だが、きつくならず、輝かしい音になる!
9.ポロネーズ第6番「英雄」:作品53
・彼のおはこ!!弾くのがとても楽しそう!!メロディーがきらびやかに、輝いている!!
・もともと、序奏が16小節あり、これはショパンの作品中最長だそう(「ショパン 孤高の創造者」)。さらに、「クラシックTV」でも話題になった、第1主題への入りへの「ため」。それもあり、第1主題の登場が待ってましたとばかりの、素敵な入り!!
・左手の「ミレ♯ド♯シ」と続くところが、ロック風に感じた。左足を動かして、ビートを刻んでいたような!?(動いてはいないかもしれないが私には音にビートを感じた)
・他の方の演奏より速いテンポだけれど、それを感じさせない、安定感!充実した音が鳴っている!
・勇ましさを感じる。踊りたくなるような要素もある。
・そもそも、「ポロネーズ」とは、仏語で「ポーランド舞曲」。もともとは対になった男女が行列し、円形を描いて進みながら踊る民族舞踊。男性的な強烈さ、頻繁なアクセントとfpの急激な変化、急速に進行する自由なメロディが特徴(「図説 ショパン」)。
・「英雄」は、「堂々と進軍する英雄たちの姿を思わせる曲想から」といわれる。「大ポーランドの歴史」といった民族主義を表現しているともいわれる(「ショパン 孤高の創造者」)。
・演奏、素晴らしかった!!割れんばかりの、拍手!!
10.アンコール -作品10-1「滝」
・拍手が続き、アンコールが始まる。
・こちらの曲、私は2度程、角野さんのYouTubeにて部分的に聴いたことがあったが、フルを聴くのは今回が初。アルペジオが速すぎだが、綺麗!!これを中1から弾いているとは…(驚嘆)!
11.トーク
・ショパン国際ピアノコンクールを受けるにあたり、「巨人の肩の上に立つ」話。主に学問の世界で使われている言葉で、「先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見すること」。彼も大学院時代に意識していたと。「ピアノも同じだな」と思ったそう。
・ピアノ界における「巨人」とは、クラシック、ショパンコンクールだと。
・ショパンコンクールは自分が「巨人の肩の上にのる」ために必要。その次に「肩の上に立つ」ために。
・その言葉を聞き、応援の気持ちがより強くなり、拍手を送った!!
12.アンコール2 -「子犬のワルツ~大猫のワルツ入り、ジャズアレンジを添えて~」
・アンコール2曲目は「決めていない」とおっしゃられつつ、すぐに「子犬のワルツにしましょうか」と。客席の多くで、拍手!
・「子犬のワルツ」が始まり、途中、彼作曲の「大猫のワルツ」がさりげなく登場!気付いたお客さんから、また拍手!!
・その後、「子犬のワルツ」に戻るも、今度はジャズアレンジ!面白い和音の響き!
・最後はクラシックの「子犬のワルツ」に戻った。
・大きな拍手が客席で沢山!!
・最後は左右、正面に手を振ったり、お辞儀を丁寧にされた。
・感謝!!
以上、レポートでした!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?