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僕にとっての”初めて”が、最高の“終幕”を迎えてくれた ~Morfonica CONSEPT LIVE『ff』感想~

あなたが初めて音楽ライブに足を運んだのはいつですか?

現地参戦のベテランの方々なら、もう十何年前になるか分からない質問かもしれません。或いは、その時のことが忘れられず、今でも昨日のことのように思い出せる方もいるでしょう。ちなみに、僕はハッキリと時期を明言できます。ちょうど1年前です。浅っ!!


前史:怠惰な臆病者がMorfonicaのライブに行こうと決意するまで

元々極度の出不精で、あまりイベントごとを好みませんでした。別に家にいても楽しめる趣味なんていくらでもあると思っていましたし、バンドリですらその内の1つとして捉えていました。アニメとガルパだけでも十分に楽しめていましたからね。
なので、バンドリにハマってからもライブには興味を示さずにいました。というか、面倒だし怖かったんですよね、正直な話。

いわゆるチケットの争奪戦への抵抗感は強かったですし、就いてる仕事の勤務日が急に変わることも多く、1ヶ月先の予定を立てることも難しかったというのがあります。まあ、一番はその辺りの交渉事をするのが億劫だったというのが大きいのですが。
何より、ライブで盛り上がる作法も分からない。元々みんなでワイワイやるようなタイプでもなかったですし、ライブに行っても突っ立って音楽聴いてるだけになるだろうなと思っていました。ただ、音楽ライブ界隈、地蔵っていう本当に良くない蔑称あるじゃないですか。バンドリにもそういう風潮は少なからずあったので、「あ、僕って招かれざる側の人間なんだな」と思って基本的にはライブを遠ざけてきました。地蔵、初心者を敬遠するだけの本当に良くないミームだと思います。
そして折しもコロナ禍が重なって、運営側もライブ配信に力を入れるようになりました。これが僕にとっては幸いで、それまで縁遠かったライブというものをさわりだけでも楽しめるようにはなりました。いくつか観ていく内に、会場の盛り上がりにもある程度はシンクロできるようになってきます。とはいえ、コロナ禍でライブ自体危険視されていたのもあって、逆に配信さえあればいーやみたいな考えも芽生えており、なかなか現地に行く踏ん切りはつきませんでした。

ちょうどこんな感じですね。ただ、オタクの周りに二葉つくしはいないので、これと言ったきっかけもないまま時間だけが過ぎていきます。

コロナ禍も明けた2023年、Morfonicaの単独ライブツアー『forte』が開催されます。当初は例によって例のごとく配信で観ればいいかあという気分でいたのですが、このツアーファイナルとなるZepp羽田での東京公演、コロナ明け直後かつ平日開催という悪条件もあり、公演2週間前でもチケットが捌けていないという状況にありました(最終的には完売したそうです)。
これが僕には好都合でした。申し込めば確実に取れるし、その日は予定が空いています。元々、Morfonicaのキャラクターとストーリー、そして音楽はバンドリの中でも特に好みでしたので、これは申し分ないチャンスだと思いました。この当時、It's MyGO!!!!!放映直後ということもあり、バンドリに対する熱が最大級に強まっている時期であったことも大きいです。このどうしようもない怠け者でも勢い任せでライブ会場に足を運ぼうと思える環境が出来上がっていました。

ただ、このライブについてはグッズの力も本当に大きかった。やはりライブよりは、アニメやガルパのストーリーのファンだったんですよ。だからこそ、このグッズ展開を見せられた時には心を掴まれました。
このTシャツ、広町七深がバンドメンバーに心を開いていく過程で、本当に重大な意味を持ったアイテムでした。それを、TOKOブランドのTシャツとして売り出し、”その絵”の周囲には額縁の衣装をあしらい、作中で描かれたものを忠実に再現してくれている……。せっかく初めてのライブに行くなら、これを着て参加したいと心から思いました。初めてライブに行く勇気を持たせてくれる、そんな魔法のような力が込もったグッズでした。

斯くして、怠惰と臆病を捨て去り、勢いと勇気と魔法を手にして、オタクの重い腰が動きます。
バンドリ的に言えば、これが僕の初期衝動(イニシャル)でした。

ですから、今回の『ff』というライブ、僕個人にとっては特別な思い入れがありました。僕にとってこのライブは、“初めて”ライブに行くきっかけをくれた『forte』シリーズの”終幕”に他なりません。
あれからちょうど1年、どうしようもない出不精だったオタクは河口湖まで電車乗り継いで行こうと躊躇なく思える程度にはアクティブになりました。
あれほど敬遠していたライブに対しても、音に乗って盛り上がれるようになりました。ペンライトじゃなくて拳を突き上げるスタイルになるとは自分でも思っていませんでしたけど。
この1年で変わることができた今の自分として、精一杯ライブを楽しむことで恩返しがしたいと思うようになりました。そういう覚悟を持って挑んだライブになりました。

音の強さと変われる強さ ~forte+forte~

言うに及ばずかと思いますが、本ライブはLive Tourである『forte』およびConsept Liveである『forte』の2つを統合する目論見が土台にあります。紛らわしいので前者を青forte、後者を黒forteと僕は呼称していますが、青forteの言うところのforte=強さは明白に音の強さでした。カバー曲も含めて多彩なMorfonica楽曲の中、flame of hope、誓いのWingbeat、Nevereverland(カバー)といった激しめの楽曲を中心にセトリを組み立てつつ、それでいてMorfonicaらしい華やかさは残していた印象でした。

それが黒forteでは様相が一変します。確かに誓いのWingbeat以降のハード路線の延長線上にある曲調ですが、それにしたって黒forte楽曲は重さが違う。ただ一方で、2曲目3曲目とリリースされていくにつれて、歌詞に別段目新しさがないことにも気づいていきます。このシリーズの歌詞、普通にガルパのイベストで描かれてる各キャラクターの弱さの誇張なんですよね。そのため、forte=強さと謳いながらも、そうした自分本来の弱さと向き合うのが黒forteのコンセプトになっていました。
結局黒forteではその葛藤を解決できずに閉幕し、闇に閉ざされたまま10月の『ff』を迎えることになります。演奏面では大満足だったのですが、しこりも残る結末だったと言えます。一つのライブで完結していないというのもそうですが、それ以上に結局この黒forteで描いた強さって何だったの?という疑問も浮かんでいました。

その答えが『ff』前半のセトリできっちりと描かれたなと思います。最初の5曲は、きょうもMerry-go-rounDを除いてはショートVer.で繋がれた黒forte楽曲メドレーでした。そこから幕間で、重々しいモノローグのようなポエトリーが続きます。
その後、衣装チェンジを完了したMorfonicaが演奏したのは……超アレンジされたベースラインから始まる両翼のBrilliance。いやもうこの両翼、とにかく広町がずっと暴れてる!! いや動き自体はそこまで大きくないんですが、演奏のアバレ具合と雰囲気の攻撃性が明らかに常軌を逸しているのです。俺、見たことねぇよ、こんな広町!!
タイアップ楽曲だけあってヴァルガ・ドラグレスの魂でも宿したんかと疑うくらいの無双っぷりでしたが、広町七深という不世出の天才が、その才能のタガを外したらこれほどの凶暴性を持つのだという説得力を十全に帯びた表現になっていました。

続いて演奏されたのはfly with the night。ガルパのMorfonica2章を飾った楽曲であり、倉田ましろと八潮瑠唯の関係を語る上では外せない楽曲。とはいえこの2章は瑠唯の弱さが露呈した物語でもあったわけなのですが、今回の八潮瑠唯、この楽曲を誇りとして奏でるんですよね。
異変が起きたのは両翼のBrillianceのラスサビからでした。倉田ましろが力強く歌い上げる裏で、ステージセットとなっている”閉じた扉”の前にできた事実上のお立ち台へと、八潮瑠唯が上がっていったのです。両翼のイントロでは同じ場所から倉田ましろが超カッコよくマントたなびかせながら登場するわけですから、もうここ、ヒーローの立つ場所なんですよ。2曲連続でそれを体現してきたわけですが、よりにもよって瑠唯がそれをfly with the nightで!?という驚きは間違いなくありました。
ただ、このMorfonica2章、瑠唯自身の変化として、倉田さんのようになりたいとその意志の変化も延べています。じゃあもうここで八潮瑠唯がやったことは一つなんですよ。憧れのヒーロー・倉田ましろに近づこうとした。本当にそれだけです。

このパートのラストは初披露となった蒼穹へのトレイル。ガルパがシーズン3に突入した後の楽曲も遂にライブで演奏されることになったわけですね。その先陣を切ったのが透子をメインにした蒼穹へのトレイルというのも、透子らしいと思います。
ところで透子なんですが、黒forte以降、ライブのコンセプトの影響かお得意の「アガれー!!」を言わなくなっちゃってるんですよね。この環境に抑圧されている状況が、ガルパの物語上で理事長の規律に抑圧されていた透子の姿とも近似します。
自分からは声を上げられない現状。そこで、Stand up! Never give up!コールやオーオオ、オーオー!アンセムは物語中で彼女が集めることになった署名のように、まさしくみんなの声を求めていたと言えます。

両翼以降の3曲で、ここまで同じコンセプトを重ねられたのならば、来たら黒forteで置き去りにした「黒の強さ」が何だったのかは明白です。
黒forte楽曲5つは、言わば変われないままのMorfonica5人を描いた曲でした。だったらそれを踏み越えた3曲が示したのは何か。変われる強さです。

最大級の強さ ~fortissimo~

青forteにて三都市をツアーして手にした音の強さ、そして黒forteでそれまでの方向性を一変させてでも変われる強さを手にしました。であれば、あとはその2つの強さを統合すればfortissimo、最大級の強さを獲得できます。
もうここからのセットリストは圧巻でした。「後期Morfonica」の象徴と言っていい誓いのWingbeatに始まり、今に続く方向性を決定づけた「前期Morfonica」で最も激しい楽曲だったflame of hopeと続きます。特にflame of hopeは今回のライブ限定のロングアウトロ仕様となっており、普段以上に激しく濃密な透子と瑠唯の衝突が堪能できあああああああとうるい最高ァーーーーーッ!!!(発作)
失礼、推しカプがあまりの高みに上り詰めていたのが嬉しすぎて取り乱してしまいた。ちなみにペンライトを使わなくなったと言いましたが(代わりにバングルを使うようになりました)、このflame of hopeの間だけは赤と緑のペンラ両手にブンブン振り回して発狂してました。使わないと思ってたけど念の為に持ってきていて本当に良かった! いやあのロングアウトロ何なん???ちょっと供給過多すぎて気絶するかと思ったよ???

そしてこの流れに負けない勢いのTempest。ライブ前には誓いのWingbeatからTempestに繋いでバタフライ・エフェクトを表現してくることは仄かに期待してもいたいのですが、いやーまさか切り札たるflame of hopeをその壮絶な過程として挟んでくるとは!! でも確かにそう、蝶の羽ばたきがすぐさま嵐になるのではなく、その過程でエスカレートしていく過程が必要なのは道理です。その役目を担うのがモニカ楽曲でも最も大好きなflame of hopeだったのは本当に嬉しいですし、新曲のTempestがそれを受け継げるほどの強さを持っていたのもMorfonicaというバンドの成長をダイレクトに感じられました。

ていうかダッダラッタ!コール、メッタクソ楽しいね!!
今回は初披露というディスアドバンテージこそありましたが、今後披露していくにつれて一番ライブ映えしていく楽曲になるんじゃないかと思っています。この曲と両A面で売り出されたWreath of Breaveもクラップが楽しそうですし、今後のMorfonicaの伸びしろを感じさせてくれます。fortissimoって、イタリア語的には最上級の格なんですが、音楽用語ならfortississimoという更にその上の位があるのですから、まだまだ進化を期待してもいいでしょう。

始まりの地でフィナーレを ~first+final(e)~

これもまた今更語るに及ばないことかと思うのですが、ライブ会場となった河口湖ステラシアター、デビュー曲となるDaylightのMVを撮影した場所としても有名で、言わばMorfonicaにとっては初めての地です。そんな聖地に回帰してforteという一つの物語の終幕を迎えようというのが本ライブのコンセプトでした。バンドリのオタクなら馴染みのある概念ですよね。そう、CiRCLINGです。
ただ、始まりと終わりを繋いでを形成するポピパさんとは違って、Morfonicaが獲得するのはfirstとfinalという2つのfを繋ぎ合わせることで生まれる最上級の強さ(ff)です。そしてそれは、先のTempestによって間違いなく達成されました。

そしてこのforteシリーズ、一見すると1年ちょっとの期間に過ぎないかもしれませんが、その活動期間の大半をコロナ禍に潰されたMorfonicaにとっては、声出し解禁されて以降の全てでもあります。やっと始まれたMorfonicaにとって、このforteは初めてのちゃんと終われる機会、つまりはfirst finaleでもあります。

こうした諸々の条件が重なっていましたから、次にその曲が始まった時に「来た…」と思いました。Morfonicaの、長いのに空白の多い歴史において、ようやく訪れるグランドフィナーレを飾るに相応しい曲が始まったわけですから。

泣かない強さ ~音がえしのセレナーデ~

Morfonicaにとって、初めて迎えられる声あるフィナーレ。その前にまずはファンへの恩返しをするのは必定とも言える流れでした。この楽曲が一つのクライマックスを担うのはほとんど予定調和と言って良かった。
現地で浴びた時には、先に述べた個人的な事情もあって、きちんとこのライブを楽しむことで恩返しをしようと考えていました。この曲が帯びている文脈を思うと涙が込み上げそうにもなりましたが、泣くよりもきちんと音楽を楽しもうという思いが先行し、その場では涙を堪えることができました。

さて、本記事は公式で配信されているアーカイブを参考資料にしながら執筆しているところが多分にあります。そのアーカイブを視聴した際なんですが、この音がえしのセレナーデで、現地では涙を堪えられたのにアーカイブではボロ泣きしちゃったんですよね。というのも倉田ましろ……いえ、この場では敢えて進藤あまねさんと呼びましょう。彼女の表情が、アーカイブでは大変鮮明に映っていたからです。
彼女はライブのMCなどでカンキワマリ……感極まって泣いてしまうことが多かった。特に印象的なのはRASとの合同ライブだった『Mythology』で、あまりに泣きじゃくる様子をRaychellさんから「それで歌えんのか」と宥められていたのをよく覚えています。それぐらいに、よく泣いてしまうし、決壊した涙腺を止められない印象が強い人でした。
その彼女が1番のサビを歌い上げて「ありがとう」と口にした時、間違いなくその目尻には涙が浮かんでいました。でもね、泣かなかったんですよ。堪えたんですよ。「強さ」を表題にしたライブで、泣かない強さを、彼女は手にしていました。そしてその後、それで歌えたんですよ。

「成長した私達を見せる」とは各種インタビューでも宣言していましたが、最も心打たれた成長の瞬間はここでした。ずっと激しい曲調の楽曲が続いてきた中で、ようやく訪れた優しい曲でしたが、この曲にこそ本当に眩いばかり強さが表れていたと思います。
何をもって恩返しとするのかは人それぞれかと思いますが、僕にとっては、泣かない強さを手に入れてくれただけで恩返しとしては十分でした。

あなたたちの輝きが夜明けを照らす

これもライブ前から予想がついていたのですが、全国3公演行った青forteにおいても、そして黒forteにおいても、不自然に干されている曲がありました。それはMorfonicaの最初期曲であり、彼女らの道筋を高らかに示してくれる金色へのプレリュードです。
何で干されたかなんてもう明白なんですよ。青の強さと黒の強さを合一すれば金色の強さになるからです。最上級の強さなんだからゴールド、大変直感的で分かりやすい。
そして金色というのは本来、Morfonicaの物語においてあなたの輝きが道を照らすという月ノ森の校訓を意味するので、このタイミングで演奏されることに絶大な意味がありました。このライブシリーズを通して得てきた、音の強さ、変われる強さは、全てあなたの強さだというこの上ない称賛として機能します。
あと、ペンライトを持ってきたのがここでも役立ちました。バングルだけだと黄色は出せないので、ペンライトのお陰で会場を金色に染める一助を担うことが出来ました。ありがとうアスハモペンラの沙綾カラー

あとは黒forteで封印し、この原点の地で演奏することを待望されたDaylightで締めくくるのみ。firstとfinalを繋いで最上級の強さを得る物語は、これにてより最高の完結を迎えました。
……にしても、久々のDaylightだけあってか、この時のオタクの声、この日一番のデカさだったなあと思います。というか透子もイントロのギターソロを溜めに溜めまくりで、このDaylightの特別感を演出してくれていました。

ポエトリー劇も、黒forteの頃から立ちふさがっていた開かずの扉が、向こう側にある輝きを携えながらようやく開門します。それはあなたの……いえ、Morfonica5人の、あなた達の輝きが道を照らすという、鮮やかな表現になっていました。

Encore:いつものMorfonica、帰還

さてお決まりのアンコール。目に馴染み深い初期衣装にチェンジしつつのみんな大好きメランコリックララバイがお披露目されることになったのですが、ここで透子の「アガれー!!」が復活したことが何より嬉しかったですね。この叫びがあるだけで、いつものMorfonicaが還ってきたことが瞬時に理解できました。これだよこれ~!!

その後はこれまた久々のわちゃわちゃMCが展開され、これもまた懐かしいノリでした。ただ、個人的にはここで進藤あまねさんが語った、この言葉が印象に残っています。

皆さんも、自身を持って、変えたいことがあったら、変えていきましょう!
絶対に変われるんで!
このライブが、何かのきっかけになったらいいなと思っています。

実際に『forte』をきっかけにライブに足を運び、変わっていけた人間としては、説得力を感じられる言葉でした。
そのMCからの流れでしたので、Morfonicationで実際に倉田ましろが変われていたことを実感して生まれた寄る辺のSunny, Sunnyが演奏されたのも大変にエモあああああ間奏のとうるい背中合わせ最高ァーッ!!!(台無し)

Fの申し子 ~二葉つくし~

さて、モニカにおいてFと言えばふーすけこと二葉つくしです(そうかな……?)。セトリ内ではそこまで主張する場面もありませんでしたが、アンコールも終わったかと思われたその矢先に大仕事をやってのけます。初期衣装かつ始まりの地という条件が揃ったこの瞬間にDaylightのおかわりをしようと提案してくれます。流石だぜ、リーダー!!
その後は瑠唯の反対……という名の茶番劇も挟まりつつ、無事に運営からの許可(許可っつったら許可なんだよ)を得て、無事原初の地初期衣装声出しDaylightという、4年半見られなかった光景が実現します。まあ、そうなんですよね、firstの地なので、finalを飾るのはfirst(Daylight)以外あり得ないんですよ。これをもって、『ff』のコンセプトは本当の意味で完成しました。

本当に、見事なまでのfirst finaleが実現しました。
斯くして、『forte』羽田公演をきっかけにライブに通うようになったオタクは、最高のグランドフィナーレを見届けることができました。精一杯ライブも楽しめましたし、恩を返せたし音を返してもらった。これ以上ない形でこのライブシリーズを締めくくれたと思います。豊洲PITでのライブも決まりましたし、『ff』を終えたMorfonicaの次がどう展開していくかも楽しみです。

……ただ、Morfonicaが次に目指す先は、そのたった2日後に偉大な先輩バンドから先鞭をつけられることにもなりました。

ポピパさんの巨大な背中

同じく河口湖ステラシアターで展開されたバンドリライブシリーズのDay3。Poppin'Partyの『Poppin'Canvas 〜芸術の秋、音楽の秋!〜』でそれは起こりました。
まずこのライブ、諸々の都合上から僕は配信視聴で済ませてしまったのですが、文句なしにバンドリ史上最高傑作くらいのクオリティでした。いやもう本当信じられないくらい良かったです。全部の楽曲が、鋭角なパンチをもって殴ってくるんですよ。それがかなり変化球が楽曲の使い方であったり、アコースティックであったり、舞台装置を活用したりとかの様々な手段で、とにかく全ての楽曲に強烈な驚きがある
これまでポピパのファンって他のバンドが注目される度に「いやバンドリの中心は結局ポピパで~」みたいな枕詞を使ってたと思うんですが、もう今回に至ってはそういう言葉を使う方が失礼でしょ。今回のポピパさん、もう圧倒的な超人の域に達していたので。

ライブのちょうど折り返し地点、香澄の一声によって、河口湖ステラシアターが突如変形を始めます。天井は開放され、背景の壁も取り払われます。空にはが、そしてポピパさんの背後にはが登場しました。
おい、ちょっと待ってくれ!! ポピパさんのことはハチャメチャに尊敬しているが、月と森が似合うバンドなら別にいるだろう!?

もうこれはポピパさんからの案内状なのだと思います。『ff』のポエトリー劇において、Morfonicaの5人は扉の向こうに続く輝きを見出して幕を閉じましたが、ポピパさんがこう言ってるわけですよ。キミたちが次に目指す景色はこれだよと。
背景の壁の向こうということは、そこに広がっている森はMorfonicaが開いた扉の向こうに広がる景色でもあります。金色の輝きを手にしても終わりではない。まだ取り払える障壁はあるし、その先に見える景色もある。その道筋を見せてくれたPoppin'Partyの背中は、あまりにも巨大に映りました。

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