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カンヌ(フランス)の思い出
カンヌと言えば映画祭だが、権威的なものに疑いの眼差しを向けてしまう性質のある私は、あまりこの街に良い感情を抱いていなかった。だが、行ってみるとその意外な景色にすっかり惚れ込んでしまった。
OKKOホテル
カンヌの駅から3分ほどのところにあるのだが、このホテルが大変良かった。
客室のデザインもさることながら、最上階にある24時間いつでも使っていいラウンジが本当に最高だった。カンヌ駅前の趣のある街並みを一望でき、ドリンクや軽食が食べ放題なのだ。
気前の良さも良かったが、何より感心したのはその平等性だ。高い部屋に美しい景色をあてがうのではなく、みんなに開放してシェアする。高い部屋を用意すれば部屋数分だけケアするコストがかかるが、これならこのラウンジを片付ければ良いだけだ。これこそ本来あるべき公平性だと妙に感心してしまった。
可愛らしい市場とズッキーニの花
旧市街へ抜ける道の途中、ピンク色の壁をした大きな市場があった。午前中には朝一をやっていて、数多くのチーズとハムが売られていた。旅行客には真空パックで検疫も通れるように包んでくれるようだった。
市場の横ではやはり午前中だけ、黄色い朝顔の花のような形をしたズッキーニの花のフリットを売っていた。ズッキーニの実は日本でもお馴染みになってきたが、花を食べると言うのは始めて聞いた。食べてみたかったのだが、ホテルの朝食を食べすぎていて残念ながらもう入らなかった。
意外と牧歌的な旧市街
カンヌ映画祭の式典が行われるパレ・デ・フェスティバルやクロワゼットどうりが有名だが、そこから少し離れた旧市街にはかつてここが小さな漁村だった頃の風景が広がっている。
地中海らしいクリームがかったオレンジの優しい色合いの壁、そこにピンクの花が添えられた花束のように咲いている。狭いままの急な坂道の通りやその脇にあるビストロも風情ある景色だった。
坂道を登った先はカンヌの街を一望できる広場になっていて、観光客たちが思い思い写真を撮っていた。
広場の横はかつてお城だったという建物を使ったミュージアムになっている。残念ながらその日はちょうど休館日で訪れることができなかったがまたこの地に旅をした時には訪れたい。