【盤評】AxCx - Everyone Should Be Killed (1993)
アナルカントのデビューアルバム。
米盤の方だとなんだかよく分からんおっさんが、よく分からんおっさんに今まさに殴りかかろうとする、Z級映画のワンシーンみたいなジャケでなんだか情けないのだが、このトイズファクトリーから出た邦盤の方は、血まみれの拳をドアップにした、解像度のクソ悪い絵になっている。日本にいるやつは大体こっちを買っているはずなのでみんなこっちの方が愛着が高いハズだ。ダサいのには変わりないが。
中身の方は58曲58分。セス・パットナムの絶叫と地獄のようなグラインドコアノイズ曼陀羅がひたすら展開される、邦題「皆殺しの唄」に偽りなしの名盤。セス曰く本当は300曲以上収録しているとの事だが、実は3曲ぐらいかもしれない。
人生の捌け口、割れ目。熱狂の来日ツアーも何度か行い、ドラッグその他で何回も死にかけたセスであったが、その後2011年に心臓麻痺で本当に死んでしまった。その生き様はまるで汚物に塗れて死んだGGアリンにも、近くて遠いものがあったかも知れない。
この国内版はほとんどの曲に邦題が付与されているが、これらを考えた人はしかし一体どんな精神状態で書いたのだろうか。まあ「これを持ってるあんたが悪い」のだ。私もあなたも。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?