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【レースレビュー】24京阪杯~モズメイメイ(4人気11着)~
「こんな日もある」は優駿の名エッセイだけど、このレースはまさに「こんなレースもある」という結果。
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通常なら1月開催時からとなるCコース変更がこの週に前倒しされた。これが予想の肝のひとつだったんだ。例年なら12月の短期の芝養生期間を経たうえでのCコース替わりなんだけど、今年はそれがないうえにこの時期の変更。ということで、内は使えない、外伸びという判断での推奨だったんだ。
蓋を開けてみれば例年の「年明け1200芝戦(Cコース変わり)はインを買え」というドル箱レースが前倒しされたような結果。これは俗にいう外枠、差し馬勢はノーカウントってやつ。もっといえば「アントニオ猪木馬券」だよ。1.2.3だーってね。
そっか、ここでもそう来たか。ヘグった。「トラックバイアスにやられた」というのは簡単だ。だけど、そんな簡単な結論だけで終わらせることを反知性な態度としてこのnoteは厳に戒めているのでちゃんとレビューする。そう「今日勝てなくても次に勝てるようになるためのヒント」を言語化する。
このヘグリ男はこんな予想をしてたんだ。メイメイに盲目の愛をささげてしまったよ。こだわっていたのはメイメイじゃなくてこっちだったという愚かなオチだ。
例によって反省会の内容を特別に公開。
自信をもって推したモズメイメイがどこにも来なくて、せっかくのジャパンカップの歓喜が吹き飛んでしまった件。
(1)メイメイの敗因を分析する
馬券検討のときだけじゃなくて、敗因の分析もまた熱心にやらなきゃね。とはいえ、このレース結果からトラックバイアスに泣かされたと言ってしまえばそこまでだけど、それにしてもメイメイらしさがなかった・・・のではない。だけではない。
バリ取り(バリエーションルート≒道中のポジショニング)のミスだよこれは。というのもパトロールビデオ(PV)を見ればわかるんだけど、3コーナーの入りでもっと前に詰めることができたんだ。それができなかったのは、ジョッキーによれば3角~4角でハミが抜けたかららしい。そっか、そうだったのか。ここも競馬の複雑性の表れだ。こんな日もあるさ。
ハミがまだかかっていた3コーナーに入る手前の直線。そこで一瞬インに誘導したんだけど(この選択は良かった)、その一瞬だけで終わってしまったのもハミ抜けの影響なんだろう。スタート後に何度も何度もインを取ろうとする意志が感じられ、実際にインに誘導できたのは良かったんだけどね。そこまでだった。
ハミ抜けの影響でそのあとのバリ取りが思うようにいかなかったことが、最終コーナーを回った時に物理的に間に合わない外へのループ騎乗となったっってことだね。それはPV(25秒~35秒くらいのところ)を見ればよくわかるよ。
時間があれば各自でPV見直してほしい。3コーナーで生じたスペースを突いてもう少し前に詰めていれば最終コーナーのバリ取りもインにとれたことがわかるから。そこでもインにスペースが生じていたからね。いわゆるエアポケットがあったってやつ。馬券対象組はみんなそこを通った。その後にバリを取って直線の差し比べに持ち込みたかった。
ジョッキーが言うようにバリ取りのときにハミが抜けてなかったら、勝ち馬の後ろに付けることだってできただろうよ。TV映像では何度も鞭を入れないといけないようにメイメイの反応の悪さがあったかに見えたけど、全然そうじゃなかったんだね。
3コーナー手前の直線で一瞬にインを取りに行った素軽さ、ハミが入りなおして外にばらけたときに素直に外に誘導される素軽さ、事情を知ってPVを見ればTV映像から受ける印象と全く違う印象を受ける。
ということで、メイメイ自身はまだまだ終わってないという結論。次に改めて期待だ。次のジョッキーはどうするんだろうね。もう一度乗せるのかな。そこを含めて楽しみに待ちたい。
(2)負担重量のレトリック
賞金別定戦って面白いよね。強いけど運に恵まれずに重賞を勝てなかったと思しき馬よりも、運よく重賞を勝って賞金加算した馬の方が重いってことがままある。
このレースがまさにそれ。そこを毎回きちんと見極めなきゃいけないんだ。レースラップだとかペースや含水量だとかの誰にでも同じように見える数字や誰にでも同じように評価できる血統だけでなく、賞金別定戦やハンディキャップ戦ではこんな負担重量のレトリックの見極めもそれらと同じかそれ以上に大切になるというのがこのnoteの立ち位置だ。
勝ったビッグシーザーが57kg、牝馬のモズメイメイが実質58kg。その差が覿面に表れたレースでもある。そもそも24葵賞(G3)でメイメイが勝てたのは稀代のフライングスタートのおかげでもあったから、そのレースで僅差の2着3着に差しこんで来た馬をちゃんと評価すべきなんだよね。
2着のルガルはG1馬になり(24スプリンターズST)、3着のビッグシーザーは24青函STで別定59kgの洗礼を浴び(1人気6着)、前走では58kgを課されたハンディ戦(24オパールST(L))を勝ちながらも、ここでまさかの1kg減の57kg。しかも内枠。
ビッグシーザーにはどうぞ勝ってくださいと言われるようなものだったよね。1人気に推されるのは当然だとして、4.7倍って単勝オッズはおいしかったねぇ。狙うべきはこっちだったという大きな反省が「今日勝てなくても次に勝てるようになるためのヒント」のひとつだよ。
(3)あれやこれや
このレースもそうだったように、すでに直線のインは完全に使えない。特に1200戦では内枠勢がスタート後は馬なりに4コーナーに来て、直線はインを捨てて真ん中に進路を取る。後から来た外枠勢は押し出されるようにしてさらにその外を取る。物理的に届かない。
阪神を全面改装していたときの京都開催の思い出がよみがえるよ。冬季の剝げかかった芝戦(今のような養生技術がないから芝コースは茶色だったよ)はほとんど外枠で決まったかのようなもの。サンデーサイレンス産駒全盛期でもあったから、芝戦は外枠のサンデーを買っておけばよかった。そんな記憶があるんだ。
芝の養生期間もなく来週から年末まで続く例外的な京都開催、さらには1か月(中京開催)を開けた2月の京都開催。どのようなレースになるんだろうかね。
反省会議は失意の中で始まったけど、「今日負けても次に勝てるようなヒント」が見出せた会議となったのは幸いだった。
これから年末にかけての京都開催(芝戦)は、ますますトラックバイアスの検討センスが問われてくるけど、これってめったにないチャンスだよ。
これまで蓄積した「今日勝てなくても次に勝てるようになるためのヒント」を武器に、ボーナス、年末調整をもらっていこうよ。楽しみだ。