あちゃーやってもうた。
そんな吉原Jの叫びが聞こえて来そうなほどの出遅れ。インが顕著に有利な高知マイル。④のゲート利がこの時点で無くなった。
さすがにこれは厳しいぞ。雨が湿らせる馬場を考えると前にいなきゃ無理だろ。そんな馬場で8枠から絶好のバリを取ったのが勝った林くん。上手かった。馬も強かった。
このレースは名手×名手で勝つのは吉原Jだとこんな予想を書いた。名手だって出遅れることもある。これもまた競馬の持つ複雑性。
このレースで勝った林くんも遠征で鍛えられたんだよ。今も覚えているのが21金沢JBC。クラシックに12頭中11人気の馬でわざわざ高知から出向いた林くん。パドックで周回する彼の、心に秘めていただろう闘志とこんなデカいレースに乗れる高揚感が入り混じったかのような顔つきが忘れられないんだ。高知の馬なんかお呼びでないという空気感の中だったからなお凛々しかった。単勝575.4倍。吉原Jがミューチャリーで勝ったあのレース。林くんは人気のとおりに11着だった。それでも最後まで真剣にレースをした。最下位となった地元馬と勝負をするかのように。
このレースだけじゃない。去年もこの馬で佐賀の西日本ダービーに出向いている(6人気9着)。先日のJBCクラシックでも佐賀にいた。高知のダービー馬で堂々と勝負して負けた(8人気8着)。
こんな他場で揉まれた経験知の積み重ねが林くんの判断を知的にする。今日のレースがまさにそれ。
しかしね。つくづく競馬って運に「も」大きく左右される複雑性のゲームだなと思う。このレースだってそう。直前に強くなった雨。ますます足抜きがよくなって利を得たのはどの馬だったか。さらに④の出遅れ。④がスタートを決めていたら勝ったのははたして⑩だったのか。8枠から逃げを打って沈んだ⑪。内枠だったらどうだったか。
そんなことを考えても仕方がない。馬券を買う私たちにできるのは「今日勝てなくても次に勝てるようになるためのヒント」を見出し続けていくことだけだ。そう。林くんがいろんな競馬場に出向いて、腕と知性をアップデートしているように。林くんだけじゃない、たらちゃんだって井上君だって。なんなら畑中さんだって。宮川さんなんか地方代表で世界とガチンコして来たんだぞ。遠征して腕を磨き続けるのは吉原さんだけじゃないってことを今日改めて実感したよ。
ここまで書いて気づいた。塚本君やマサチカ君の名前を挙げることができない寂しさに。だからもう寝る。