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【レビュー】地方重賞 24兵庫ゴールドカップ(園田)~前門の虎後門の狼~

前門の虎(吉原さん)を捉えたら、後門の狼(太さん)にやられた。まさにこんな感じの龍太郎君。

推奨馬 イモータルスモーク 1人気2着 複勝140円

勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし。
野球の故・野村克也監督が好んで使った格言として有名になったけど、今日のこのレースもそんな感じだ。③には必然の負けの要因があるし、そこがもしうまく行ってたら不思議な勝ちにつながっていたかも。勝った⑧にしても③の敗因が重なって得た不思議な勝ちでもあるからね。その敗因が一つでも③に好転していたら結果は全く違っていたはず。まさに不思議な勝ちありだよね。
そんな視点でレビューする。

(1)スタート
③はジャンプスタートになってしまった。ゲートの中でごそごそして両前がそろったときにゲートが開いてしまった。開くのが前後どちらかに1テンポずれていたら行き脚のつくスタートが切れたかもしれない。運が悪かった。

(2)1コーナーまでの直線
さらに運が悪いことに、④も同じようにジャンプスタートとなって行き脚がつかなかったから、③は②と⑤の逃げ馬に挟まれる形で1コーナーまで窮屈な中に閉じ込められてしまった。もし④がちゃんとスタートできていたら⑤が④を飛び越えて③の行き脚を邪魔することはなかったかもだし、②と④の間に③が入り込むスペースができていたかもと考えることができそう。まぁここも都合の良いタラレバだ。

(3)競馬場のレベル差
②オヌシナニモノはスタートこそ決めたものの、1コーナーの入りの段階ですでに⑩⑫⑨に前に入られたように、基礎スピードに欠けた面があったのかな。馬柱は立派だったけど、あくまでも金沢での成績。3人気は過剰に過ぎた。去年も3人気で10着ってことは、園田の砂質もフィットしなかったのかもだ。こうした地方交流戦は競馬場のレベル差をどのように設定するかが成功のカギの一つだけど、よほどの大物じゃない限り金沢馬はちょっと足りないことが多い。今日もそんな感じ。金沢の場内寿司屋さんのファンとしてはちょっと残念。

(4)向こう正面~4コーナー
③の道中はうまかったね。前門の虎(吉原さん)を大名マークして4コーナーを回ってきたときに、吉原を相手にここまでできる若手が出てきたか、しかも園田にと感慨深いものがあったんだよ。実際、吉原さんを競り落としたときには「すげぇわ」って声が出たほどだもの。

(5)後門の狼の強襲
⑫を競り落としたあとに③の脚が甘くなったのではなく、鞍上が油断したのでもない。まさに後門の狼(太さん)の急襲にやられたという感じ。一番強い競馬をしたのは③で間違いないけど、強い競馬≠勝ち馬となるのも競馬の複雑性の表れ。このレースは外を回った馬⑧(勝ち馬)と⑪(3着)に利があったペースとバリ取り。その中で③は負けて強し。1コーナーまでの直線の窮屈さが惜しまれる。そんな感じで割り切るしかない。

(6)勝負のアヤ
このレースは、大外から追い込んだ太さんの決め打ちがはまったんだけど、その裏には園田の名門厩舎のプライドがあったようにも思うんだ。私は兵庫の2大厩舎は今日勝った保利良平厩舎と新子雅司厩舎だと思っていて、今日の結果は良平厩舎のプライドが、高知所属馬の連勝を阻んだというとらえ方をしている。交流重賞になってからの4年間の兵庫勢は「庇を貸して母屋を取られる」ような結果が続いていたからねぇ。ちなみに良平師は⑧に相当の自信があったようで、次のような強気のコメントを出していた(出典「大阪スポーツ」)。
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能力は一枚上のはず。具合もいいし、真面目に走ってくれれば結果はついてくる。
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いつも強気のコメントを出す良平師だけど、今日はそれを信じた人の勝ち。

ちなみに新子さんのところの⑥下原さん。向こう正面で一回手応えが無くなったようにタレたんだけど、3コーナーでは盛り返して直線⑧と合わせるように追いこんで来た。下原さんもすげぇ。最後はインに切れ込むような形のバリ取りでゴールインしたけど、そのまままっすぐ走っていたら結果はどうなったんだろう。そのあたりをパトロールビデオで確認したいぞ。NARも早急にパトロールビデオの公開を。

最後は龍太郎君への思いを。
どんなジョッキーもこんな悔しい負け方を重ねて上手くなるんだから、龍太郎君もこの悔しさを糧にして成長すればよいだけのこと。良いレースでした。おつかれさま。

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