【予想もどきのエッセイ】24アルテミスST〜祝福にむけた第一歩〜
若駒の評価は難しい。特に女の子は。
出走馬のすべてのレースを見た中で言えるのは、彼女たち自身が「どう走れは心地よいのか」という自分自身の特性をわかってないということ。まぁ、このレースの出走馬に限った話じゃないんだけどね。
人間だって、自分のことが一番わからないんだからお馬さんならなおのこと。そこもまた、競馬の複雑性を構成する本質的な要素と記録しておきたい。
どういうことかって?
たとえば走り方だよ。特に手前。苦しくなっているからなのか、自分で走り方がわかってないからなのか、ジョッキーが補助しきれていないからなのか。いろんな要因はあろうけども、事実として最後の直線で手前を変えまくるお馬さんが若駒には特に多いことを覚えておきたい。いつかその馬が強くなった時に、「手前」という切り口に強くなった理由が見出せることも多いからね。俗に言う「手前みそ」ってのはこのことだ。言わない!!
で、キャリアの浅い若駒重賞はよくわからんから予想は放棄するというのは、少なくとも私にとっては反知性的な行為。よくわからんからと投げ出すのではなく、愚直にわかろうとする過程の延長線上にこそここでいう「知性」に近づけるヒントが見出せると信じて、投げずに向き合うだけのこと。これは投げずに向き合った視点での若駒の重賞予想なんだ。
このnoteは私なりに気づいたことを書く。的中したかどうかという結果はもちろん大切なことだし、「競馬は勝った者が正しい」とよく言われることを否定するつもりはない。だけど、「負けたから正しくない」ということにはつながらない。いつも言う「負けた要因分析を深いところまでやる」中でこそ、未来のレースにつながるヒントが見出せるからね。これが私なりの経験知でもある。
だからここでは多角的に見出した細かなことを記録する。いつかかならず、こうした記録が助けてくれることがあるからね。そこに価値を見出してくれる読者のために私は書く。
「負けた要因分析を深いところまでやってこそ、未来のレースにつながるヒントが見出せる」と書いた。それを繰り返してやっているのが優秀なジョッキーだろうと思う。時には、そのヒントはレースでしか検証できないことだってある。いわゆる「教育のためのレース」だ。それを批判する向きもあるだろうけど、そうした教育を施さねばならないお馬さんに賭けた自分にこそ批判のベクトルは向けなきゃだ。
たとえばユーイチ調教師の現役のころはこうしたレースが多かった・・・のではない。彼はそれを公言する勇気と知性を持ったジョッキーだったからこそ、私たちにも「教育のためのレース」という結果(というよりも要因)が伝わってきただけのこと。繰り返すけど、批判ではなく感謝をもってその言葉を受け止めたい。
もちろん他のジョッキーだってそうだ。若駒のレースって、特に「教育のためのレース」が多い。そのような教育の延長線上にしか強くなれないんだから、教育のためのレースがあるのは当然だよね。一部のファンが馬券を外した腹いせに罵倒する中にもたくさんの教育が詰まっているんだ。「なんで追わないんだ、ヴォケぇ」とか罵倒する暇があったら、ちゃんとレビューをしようよ。そんな思いでこのnoteを書いている。
何が言いたいのかって?
このレースにも出てるタケシのことなんだよ。先週のアーバンシックだって、春にタケシがいろんなレースで教え込んだことが秋に開花した。こうした事実を忘れないようにしたいんだよ。タケシへの敬意を忘れないようにしたいんだよ。私は、名教育者ユーイチを継承するのはタケシだと思っているんだ。単なるルメールへの鞍上強化ということばでは表せ切れない、競馬が持つ複雑性の本質がここにある。
まぁ確かにタケシは24ダービー(4人気11着)ではへぐった面もあったけど、そのダービーで見出したタラレバを改善したからこその、アーバンシックの秋の結果だということを忘れずにいたい。
で、タケシのことを持ち出したのはもう一つ理由がある。このレースもタケシが何らかの教育を施す(教育すべきポイントについてはここでは書かない)だろうと思える要因がいくつかあったので、タケシの③マイエレメントを推奨から外しているんだ。③を推奨しないのは弱いからじゃない。将来を見据えたら、結果よりも過程を大切にしなければならないレースだってある。それがこの③にとってはこのレースなんだと言いたくて教育者タケシについて触れた。
読者を強く、ゆたかに。
どこぞの政党政治団体のキャッチフレーズみたいだけど、このような思いでこのnoteを書いている。もちろん、自分を強く、ゆたかにするのも大切だけどね。いっしょにそうなりましょう。って、おまえどの立場で言うとるねん、何様やねんって自戒するだけの知性は忘れずにいたい。
推奨は⑩カムニャック(55 川田)
コニャックみたいな名前だけど、「祝福されたもの」という意味らしい。いつものことだけど、金子さんは素敵な名前をつけるねぇ。そんな彼女とってこのレースは祝福に向けた第一歩となる。私も彼女を推奨することで祝福されたいぞ。
いつものように長くなった。もっと書けるけど3点に絞って書く。
1)操縦性の良さ
新馬戦でもジョッキーの言うことを素直に聞いて、スタートをゆっくり出て、そのうえで早々と最内から大外の安全地帯に誘導された。初めてのレースでなかなかできることじゃない。そこに得体のしれない大物感を見出した。素直さや操縦性って、ある意味では天賦の才でもあるけど、いずれにしてもこの時期での操縦性の良さは大きなストロングポイントだ。
2)手前操作の改善
新馬戦でゴール直前に一気に抜け出したのは、彼女が強いから。その一言で済ませるのはもったいないので、そのトリガーに目を向けたい。そう手前だ。手前を何度か変えながら長い直線を走っているけど、最後の最後でようやく走りやすさに気づいたのか、ジョッキーの補助のタイミングが一致したのか、最後に手前を変えた瞬間からグーンと伸びた。このレースも同じ左回り。彼女自身で「走りやすさ」を覚えていたら、おそらくもっと余裕をもった手前操作で直線を伸びてくるだろう。
3)ゲート運
おあつらえ向きに外枠をゲットした。新馬戦では①ゲートから大外に誘導するロスが許されたけど、さすがに重賞。そんなロスは当然に避けたかった彼女にはこの上ない枠。そんな運も競馬の結果を左右する複雑性のひとつだからね。彼女の走法からも外枠は歓迎だ。
私自身は、来年の3歳クラシックの川田さんのパートナーはカムニャックになると思っている。そう、あたらしい「お嬢さん」である。
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