イーロン・マスクの起業公式
私の好きなブログに、Tim UrbanのWaitbutwhy.comがあります。
彼のブログは、通常のウェブログに比べて長編のエッセイで構成されています。
多様なトピックを独自のシステム思考の観点で切り取る彼のエッセイは、簡単に消費できる記事が大勢な昨今、新しい需要を喚起してい余す。
中でも、彼がイーロン・マスクと直接インタビューを行う中で編み出した「イーロン・マスクの起業公式」は、とても興味深い内容です。
私がシステム思考やデザイン思考についてブログを書き始めるきっかけとなった彼のエッセイ「Neuralink and the Brain’s Magical Future」から引用してご紹介します。
イーロン・マスクの起業公式
イーロン・マスクが起業する理由は、基本的には、人類の存続確率を高めるためです。
彼は、そこまでの道のりを、いくつかのステップに分けて考えます。
まずは、自社の努力による、現状からの脱却です。
このステップのマイルストーンは、新産業が生まれるレベル、つまり大企業が採算を取れる程度に市場環境が整った状態を作ることです。
そのために欠かせないのが持続可能なビジネスモデルと、自社による技術開発です。
イーロンマスクが創業したテスラ社の場合、自動車の製造販売というビジネスモデルを通じて、EV技術、充電ネットワーク、そしてギガファクトリーの開発に必要な資金を調達してきました。
テスラがEVはかっこいい、EVは実用的というイメージを作り出した結果として、「EVなんて市場小さいから投資出来ない」と考えていた大手自動車企業は、ついにEV開発に乗り出します。
すると持続可能エネルギー社会の到来が近づき、その結果として環境/経済リスクの低下、つまり生存確率が向上します。
この公式は、イーロンマスクが創業したSpaceXにも当てはまります。
SpaceXの根底には、地球以外に生息地を持つことで、人類は存続の危機を回避できるというイーロンマスクの考えがあります(リスクの分散)。
そしてそのためには、ロケット開発と火星移住向け投資を世界レベルで活発化させる必要があり、その口火を切るために、再利用可能ロケットを通じた宇宙輸送の低価格化を進めているのです。
ここまで明確にビジョン、ミッション、ロードマップを持ち、さらには高い実行能力を持って巨大なプロジェクトを推進できる起業家は、歴史的にも稀な存在です。
忙しい時には週に120時間働くとも本人はインタビューで答えており、そのコミットメントはテスラの厳しい労働環境にも現れています。
今後、イーロンマスクと彼の会社が描いた未来が本当に実現していくのか、楽しみです。