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アセンディングセットで筋肉の”ギア”を上げる

トレーニングにおける「セット」は、筋肉へ肥大のために必要十分な刺激を与えるために行われます。

セットの組み方にも複数あり、同一の重さで同回数行うストレートセット、徐々に重さを上げていくアセンディングセット、逆に重さを下げていくドロップセット、徐々に上げ切った後に下げていくピラミッドセット。

他にも、拮抗筋を交互にトレーニングするスーパーセットや、同一部位を複数種目行うジャイアントセットなど、たくさんの方法があるでしょう。


その中でも今回は、アセンディングセットについて解説したいと思います。

先ほども説明した通り、アセンディングセットとは1セット毎に徐々に重量を増やしていくトレーニング法のことなのですが、日本選手権のトップビルダーをはじめ、世界中のボディビルダーにも広く好まれる方法の一つです。


アセンディングセットの一例


こうして見ると、セットを重ねる毎に筋肉の限界値に向かって行く様子がわかるでしょう。


読者のあなたもよくご存じだと思いますが、筋肉は常に全力を出せるわけではありません。


陸上競技選手が念入りに体を動かしてから本番を迎えるように、筋肉が全力を発揮するにはウォームアップが必要なのです。

また、トレーニングにおいては対象となる筋肉を、漏れなく重複なく刺激することが求められます。

つまり、筋肥大を目的としたトレーニングでは「ウォームアップをしながら筋肉に徐々に刺激を与えていく」ことが最善とも考えられるでしょう。


これを私は「ギアを上げる」と表現します。


アセンディングセットでは、このギアを上げるという行為が他のセットに比べて特に容易ではないかと私は思います。

筋肉(筋繊維)に筋肥大に十分な刺激を与えるには、対象筋全体の使用率を可能な限り100%に近づける必要があります。しかし、前述のように筋肉は常に全力を出せるわけではありません。仮に、1セットだけを全力で行えたとしても、その1セットだけですべての筋繊維に刺激を与えるなど至難の業です。
またもう少し長期でトレーニングを見れば、使用重量やレップ数を増やしていく必要も間違いなくあるでしょう。


したがって、トレーニングでは、
・徐々に筋肉をウォームアップできること
・複数セット行い、筋繊維の使用率を上げていくこと
・重量にチャレンジしやすい環境にすること

ざっと、上記のようなことが求められるでしょう。


これらの条件を比較的満たしやすいのが、アセンディングセットということになります。

例えば、合計3セットのトレーニングを行う場合、筋肉(筋繊維)の使用率は以下のようなイメージです。


〈ベンチプレスと対象筋全体における筋繊維使用率の例〉

ウォームアップセット
 ➤ メインセットの50~70%程度で実施

1セット目 重めのウォームアップ ※全力は出し切らない
 ➤ 80kg 10レップ (筋繊維使用率70%)

2セット目 本番セット
 ➤ 90kg 8レップ(筋繊維使用率85‐90%)

3セット目 チャレンジセット ※全力でやる
 ➤ 100kg 6レップ(筋繊維使用率95‐100%)


これならば、重量も上げやすい(チャレンジしやすい)し、筋繊維の使用率も的確に上げていきやすいということになり、筋肥大しやすい条件を作ることができるでしょう。

(そう考えると、レップ数固定のストレートセットも有効なのですが、その話はまた別の機会に)

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