黒でない瞳(DollsⅡ〜瞳に映る永遠の記憶)
展覧会名
田中流 球体関節人形写真集「DollsⅡ〜瞳に映る永遠の記憶」出版記念展覧会
銀座・Vanilla画廊
黒くない瞳の冷たさ
『本当の顔』(蕾)
少女2体で1対の作品となるお人形たち。片方は人間に見える少女、もう片方はお顔が鏡になっている少女。
鏡を見ると、鏡の中にいる自分に焦点があってしまい、お人形に焦点が合わないのが不思議な感じ。
顔が鏡である方の子が、手鏡を持っているのも不思議。彼女は合わせ鏡の世界に、なにをみているのだろう…。顔がある方の子の虹彩が銀色で、鏡っぽいのもメルヘン。爪のラメが空疎な輝きで大変に似合う。真っ直ぐな胴体はコルセットで縛られており、閉塞感が滲み出ていた。
『桜の森』(千代田梓)
まろ眉毛に振袖の女の子。いつの時代の子なのか不思議に思う。時代とかはなくて、もしかしたら太古から世界を見つめる桜の精なのかな。
意外に大きな足のバランス。足袋の中のあんよが見たい気持ちになる。
冷徹な印象を与える、やわらかいピンクの虹彩。色みがやさしいのに冷たく見えるのは、上のまつ毛が植っていなくて下まつ毛のみ書き込んであることとも関係あるかも。
ふっくりした唇の割にこめかみが痩せていて、お年が幾つかわからない人外っぽさがある。
描き目のおもしろさ
『めめ子のお出かけ』(戸松容子)
目といえば、グラスアイでない(目の部分が肌と同じ材質の)描き目の子も印象的だった。焦茶色単色の描き目なのに表情が角度によってかわる。造形ってすごい!
作者は2021年から3Dプリンターを使って製作を始めたと書いてあったけど、この子は粘土なんだろうか?どっちだろう?指先なんかが平らで、それは粘土っぽいような気がするけれど。
平面と目線
『DollsⅡ86』(撮影・田中流)
写真展でもあるので、こちらも紹介。サイドアイ
(流し目)の少女人形の裸体が撮られた写真。
ピントのボケたピンクの鼠蹊部の神々しさが印象に残る。
デコラティブな姫カットで甘い茶色の髪、桃色の瞳。そんな賑やかな頭部にくらべて体は裸というアンバランスのはずなのに、全身に散る関節部の色付けのピンクが華やかに発色していて、説得力がすごい。
あぁ、こんなお人形になりたいものだなぁ、とうっとりと眺めた。
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