自分と対話し、発見していく〜heyの入社オンボーディング
昨年2月に入社して1年が経ちました。この1年を振り返ろうかな、と思いましたが、すでに昨年末のアドベントカレンダーで、hey イネーブルメント元年を振り返るというテーマで多くの方に読んでいただくことができたので、別の観点で、現在の取り組みを紹介します。
Just for Fun
こだわりや情熱、たのしみに駆動される経済をつくる
熱中するひとたちから生み出される、
多様な商品やサービスが街に溢れる世界。
その経済を支える、デジタルインフラを提供する。
これはheyのミッションです。お商売をされているオーナーさんたちは、何らかの ”Fun” に熱中している。わたしたちは、オーナーさんが日々その ”Fun” を最大化していくことに力を注げるよう、STORES プラットフォームを通じて、デジタルの側面から支援します、というもの。
そして、 STORES プラットフォーム のブランドメッセージは
Go Original
「自分の中の普遍から出発しよう」
「原点に立ち戻ってそこからはじめよう」
「自分らしくやろう」
「誰かと比べないこと。自分の中の動機や高い基準に誠実であること」
入社前からこれらのメッセージに強烈に惹かれていたけれど、疑問もありました。「仕事」という一定の枠がありそうななかで、ここではたらくメンバーの ”Fun” って、最大化できているのだろうか? "Original" はどうやってつきつめていくのだろうか?
入社後、”Fun” について表現されたこのフレーズに出会いました。(余談ですが、heyは表現をとてもだいじにしていて、そこがとても好きです)
たのしみを
くっつけて
よろこびに
チームの中にある多様な考えや価値観や経験、スキルを丁寧に糊付けし、ひとりでは生み出せなかった、
よろこばれる独特な価値を提供する
(社内イントラより、経営チームのコメント引用)
オーナーさんだけでなく、わたしたちも。
heyではたらくことで、オーナーさんや、仲間によろこんでもらえたらいい。みんなが「自分らしいユニークな価値」を持ち寄れたら、ひとりでは生み出せなかった、よろこばれる独特な価値を提供できるし、わたしたちひとりひとりの”Fun”も、最大化するんじゃないか。
でも、どうやって。
わたしの”Fun”、あのひとの”Fun”ってなんだろう。もっと知りたいし、持ち寄って最大化するのに必要なことってなんだろう?入社オンボーディングで、なにかできるんじゃないか?と、なんとなく考えはじめていました。
「目標設定」のシーンをきっかけに
入社して2ヶ月、部門内のとあるプロジェクトに声をかけてもらい、そのなかで「目標設定」のシーンについて考えることがありました。heyでは全員が「個人目標」を設定していますが、これは組織からの要望(数値など)だけを反映したものではありません。「わたし」がどうしたいのか?についてをすり合わせたうえで決める、という対話のプロセスをとります。
といっても、聴く側のマネジャーにとって、フリーハンドの丸腰では難しいことが多い。話す側のメンバーにとっても、かんたんに話せる内容でもなかったりする。これは、事前に双方が準備する必要がある、と考えました。(プロジェクト以前にも、対話は行われていましたが、やりながら「難しいよね」っていう声があがっていたのが現実でした)。
マネジャーが聴きたいこと、かつメンバーが話さなくてはならないこととは、上に書いたように、「わたし」がどうしたいのか? について。
「わたし」がどうしたいのか、を規定するもの
それぞれにどうしたいかは異なるけれど、共通したフレームを作れないか。プロジェクトメンバーと一緒に出した答えは、これでした。
自分を(内から)動かすもの= ”Fun”
自分が(外へ)発揮しているもの= ”Can”
この2つの交点(志向、価値観、方向性)= ”Original”
組織の期待・要望を受けてOriginalを大きくしていく試みが、”Challenge”
それによって、Just for Fun / Go Original を体現していく
目標設定にあたっては、メンバーとマネジャーそれぞれ、やるべきことがある。メンバーは、自分と向き合い「わたし」はどうしたいのかをことばにする。マネジャーは、それを受け止めたうえで、組織の要望(数値目標など)とどうやって接続するかを考えて、メンバーと一緒に目標を決めていく。
そこで、設計したのが「セルフ・ディスカバリー」でした。まさに、自分と対話しながら発見していくプロセス。構成要素は下記の2つです。
・セルフディスカバリーワーク(自己対話→発見)
・ディスカバリーセッション(メンバー/マネジャーの1on1)
セルフ・ディスカバリーワーク
セルフディスカバリーシート
自己対話→発見を促すための「セルフディスカバリーシート」を作成。
※先ほどあげた、Fun・Can・Original・Challenge に、下記3項目を追加しています。
・前職は?(誰に、どんな価値を提供する仕事をしていたか?)
・前職から、転職を考えた理由やきっかけは?
・heyに入社した理由は?(どんなことをやってみたいと思った?)
Fun/Can/Original は「今」、Challenge は「未来」の自分。であれば、そこに影響を与えた「過去」も紐解いておくことが、自己理解につながるし、結果としてマネジャーからのメンバー理解も深まると思ったからです。
セルフディスカバリーワークショップ
業務も忙しい中、立ち止まってシートを書く時間はなかなかない&初の試みで、何を書いたらいいかわからない人も一定いるはず。社内で声をかけ、100名近い参加者で一斉にシートを書く「もくもく会」を実施しました。
ディスカバリーセッション
セルフストーリーシート
メンバーが自分のことばでマネジャーに話せるようにするためのシートです。上記のディスカバリーシートから転記すれば、スムーズに話せるような仕立てのストーリーシートを作成しました(活用は任意)。
マネジャー用ガイド・説明会
話を聴き、受け止める側は、どんな構えで、どんな対話ができたらよさそうなのか、というガイドを作成し、1on1実施をサポートしました。
・通常の1on1とのちがい
・実施にあたってやってほしい3STEP
・ディスカバリーセッションの「かまえ」
・セルフディスカバリーシート各項目から引き出したいこと
・具体的な引き出し方のTips
・こんなときどうする?(FAQ)
なぜ、入社オンボーディングに組み込んだのか
目標設定シーンを想定してはじめたこの試みですが、実施に先立ち、部門横断での入社オンボーディングに持ち込みました。それはなぜか。理由は3つあります。
1:「セルフ・ディスカバリー」は目標設定のためだけにやるものではない(自分自身の棚卸しも、マネジャーとメンバーの対話も、日頃からできていることが望ましい)
2:入社から年数が経って初めてこのワークに取り組むのは、難易度が高い(今回初の試みだったので致し方ないものの、慣れておくほうが望ましい)
3:実は「入社タイミング」だと記入しやすい(転職/就職活動にあたって自分の棚卸しや将来について考えることが多いため)
入社オンボーディングでの立て付け・効果
入社初日のオンボーディングプログラムにこのワークを組み込んで5ヶ月が経ちます。現在は部門を飛び出し、全社オンボーディングでこのプログラムを実施しています。立て付けは、こんな感じです(シートは同じ)。
・Just for Fun/Go Original の概念理解
・もくもくワーク
・シートを使った自己紹介
このワークを入社タイミングに行い、メンバー間の自己紹介にも使うことによって、副次的効果も得られています。
同期入社の仲間へ自己開示、共有→ゆるやかなつながり醸成
中途入社が多く、かつリモートワークや WORK LOCAL もあって、物理的に対面で顔を合わせる、知り合うという機会は多くはないため、入社オンボーディングという貴重な機会を最大活用できるようになりました。
考える・書く・伝える・感想を交換する→自分自身の再発見
新しい場所で初めて会う人に自己開示をすることで(もちろん緊張もしますが)「知っている人のなかにいる自分」以外の新しい側面を発見したり、本来持っていたものを思い出した、という声もあがっています。
heyのカルチャーを肌で感じる→STORES が目指すことの理解が深まりやすい
入社初日にこのワークをやることで、heyはメンバーの”Fun”や”Original” も大事にしている会社であることを感じられるうえ、STORES が目指していることの理解がスムーズに。
また、マネジャーや組織メンバーへの自己紹介にもそのまま使ってもらうことを推奨しています。
セルフ・ディスカバリーなのに「話す」にこだわる理由
もともと目標設定シーンをきっかけにできたから、というのはもちろんありますが、ただ文字を書き起こしておくだけでなく、ことばとして発してもらうのは、作り手であるわたしの、こんなこだわりもこめています。
誰かにわかってもらいたいと願うとき
伝え手として、心に留めておきたいことがある
伝えたこと「以上」のものは受け取られない
相手が受け取ったものが伝わったすべてだということ
その相手にわかってほしいと思うのであれば、相手に伝わることば(言語、表情、しぐさすべて)で、惜しみなく自分をひらいていく。
たのしみを
くっつけて
よろこびに
よろこびを大きくするには、くっつける。
くっつけるには、それが形になっていなくてはならない。
つまり、自分の中に秘めているだけではなく、マネジャーや仲間にシェアすること。そのためには、言葉にして伝える必要があるんですよね。
これは、イネーブルメントの領域なのか?
Just for Fun
こだわりや情熱、たのしみに駆動される経済をつくる
heyが実現したい世界にむけて、組織がより高いゴールを目指したり、個人がより高い成果を出していくのを支援するのが、イネーブルメントの役割。そのために、全員が、自分の ”Fun” や ”Can” を知っていて、それぞれの "Original"を持ち寄り、合わせることができる組織であることは、前提条件のようなものです。
だからこれからも、heyに入社された皆さんが最初に問われるのは「あなたの”Fun” はなにか?」でいいんだと思っています。つまり、これはイネーブルメントのしごとであって、わたしのFunでもあるわけです。
自分のFunとCanに向き合い言葉にしてみる作業は、ちょっと恥ずかしいかもしれない。けれど、誰かと比べない、自分を客観視する、というトレーニングになる。さらに、ひとに開示することで、Funに近いもの(仕事)が手渡されたり、Canを請われたり。よりたのしく、よりスキルが磨かれていく。これをひとりじゃなくみんなでやっていけたらいい。
社内のさまざまな場所で、この「セルフ・ディスカバリー」ワークが行われているのをみることがとても嬉しい、そんな2年目のはじまりに寄せて。
Just for Fun.