少し先の未来から見える風景
W杯で敗退したセレソンの次期監督候補の一人にカルロが上がっていることについて、遅ればせながら私見を述べたいと思う。
以前、アンチェロッティ監督は「マドリーでの仕事が最後」だと発言したことを覚えている方も多いにだろう。
とはいえ、ブラジル代表監督は別格だとも感じる。
ある意味でマドリーでタイトル獲得を目指すことに近い。
それほどのチャレンジと言っても過言ではない。
その挑戦権を得られるのは世界でも数名しか存在しないし、ブラジル国外の監督であれば尚更、魅力的に見えることだろう。
ブラジルメディアの『グローボ』は現マドリー指揮官以外にも、ローマ監督のモウリーニョや、パルメイラスを率いるアベル・フェレイラ、フルミネンセのジニス監督などに興味を示していると伝えている。
この3名はポルトガル語圏出身の為、言語に関して支障は無い。
また、ブラジルサッカー連盟(CFB)は条件として「攻撃的なスタイルを持ち、若手育成に長けた監督を望んでいる」と発言してる。
おそらく、これが最重要課題なのだろう。
カルレットについても今夏引き抜きは現実的ではないとしているが、今は神のみぞ知るところだ。
前置きが長くなったが、個人的には2024年6月までの契約を全うしてくれると思っている。
優勝トロフィーを一つも獲得できなかった場合は話が変わってくるが、再度マドリー指揮官の打診を受けたのは、そこには何にも代えがたい魅力があったからだと感じる。
また、アシスタントコーチの息子であるダビデも選手達からカルロ同様に愛されてるように見えるし、この体制が続くことを願ってやまない。
とはいえ遅かれ早かれやって来る後任指揮官問題について、個人的な希望を綴りたいと思う。
まず、三度目のジダン就任。
可能性としてはあり得ないことでは無いが、少なくともフランス代表監督を経験してからだと推察している。
よって来夏や2024年7月からというのは現実味が薄いと考える。
何よりもアンチェロッティからバトンを受け継いだ場合、選手の起用法はガラっと変わるだろう。
そして、ジズーは想定以上に保守的なことを、マドリディスタは忘れていないはずだ。
現状を鑑みるとジダンの復帰は内紛の火種になり兼ねないと勘繰ってしまう。
つまりは、まだジダンの復帰な時期尚早なのである。
では、誰が適任なのか?
本題に入ることにしよう。
個人的にはグティが率いるところを見てみたい。
ジダンも経験した下部組織の指揮経験に関しては、カスティージャではなくフベニールA(17~19歳)だが、グティが監督時代の16-17シーズンにスペイン国内に散らばる114チームを7グループに分けたトップリーグ「ディビシオン・デ・オノール」のグループ5を制した。
その後、各グループの王者に最多勝点を稼いだ2位の1チームを含めた8チームで争われるコパ・デ・カンペオネス・デ・ディビシオン・デ・オノール・フベニールで優勝し、年間王者に輝いた。
さらにフベニールの国王杯でも優勝し、クラブ史上初の国内三冠に導いた
アレビンA(11~12歳)の第2監督として現場に立ち始めた当初は、並行してコメンテーターもしており、現役時代の性格を覚えているマドリディスタ達からは、どこまで本気で監督業をやる気のか懐疑的な意見もあった。
当時は、ジダンが指揮するトップチームの成功を受け、下部組織でもマドリーOBの指導者を積極起用する方針を採った為、グティが、フベニールAの監督に大抜擢された。
「フットボールとは、足元でパスを繋ぐもの。これだけ豊富なタレントが揃っているチームでは、常に上質のプレーを試みなければならない」
現役時代と変わらないこだわりをプレースタイルで、選手個々の才能を前面に押し出したフットボールを披露。
3シーズンぶりのリーグ優勝と全国制覇に加え、UEFAユースリーグでも2年連続の4強入りを果たした。
18/19シーズンはベシクタシュでシェノル・ギュネシュ監督のもと、アシスタントコーチを務めた。
そして2019年11月4日、アルメリアの指揮官に就任したが、2020年6月にアルコルコンに敗戦。
昇格争いで2位以内が厳しい状況となったこともあり、双方の合意で契約を解消された。
現在はフリーで解説も行っているグティだが、監督業を続けたい意向のようだ。
以前『エル・パイス』のインタビューで、マドリーを去ったことで復帰へのドアが閉まったかという質問に「そうだね。今はそう思うよ。私側ではなく、マドリー側のがね」と語っていた。
しかし他のメディアでは「私の夢はレアル・マドリードの監督をすること。また、トルコからオファーや機会があれば、それもいいね」と告白したこともある。
そして「私はチームの監督をしたいんだ。でも、フェネルバフチェやガラタサライの監督はできない。もし、彼らからのオファーがあっても断るつもり。受け入れられない」とベシクタシュへの愛も語ったことがある。
現役時代、ピッチ内で自身に関係のないプレーが進行中は歩いていることがあったが、ひとたびボールに絡むことがあれば、相手を簡単にかわし、そしてあの空間を切り裂くようなスルーパスを繰り出していた。
もちろん、シュートセンスも抜群だった。
そんなグティが率いるトップチームを見てみたい。
憧れのアイドルが監督をし、成功するのは可能だとジダンが教えてくれた。
とはいえ今は、グティがベルナベウに帰って来る姿を想像しながら、マドリーの黄金時代を噛みしめたいと思う。
魔法の夜に、その昔背番号14を背負ったマリアが降り立つ際は、隣にアシスタントとしてデラレーがいて欲しいものだ。
そして、少し先の未来から見える風景は──── 。
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