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未来のスキルを養うための日本文学#4大伴旅人の「おい、一緒にやろうぜ力」
前回の記事では紫式部と心理学の繋がりについて綴りました。こんまりさんも登場して、なかなかユーモア要素の多い記事になってしまったのではないかと個人的に思っています。
ここまでのプロセスで、川端康成のように「魔界」を発見しながら、松尾芭蕉のように「フィクション」を生み出し、たくさんアイデアが出てきた中で、自分が本当にやりたい「ときめき/Spark Joy」を見つけ出すというところまで進めてきました。
ここまでくると、次に大きな壁にぶち当たります。それは「仲間探し」です。どうして仲間探しが大事な問題になるのか。
それは、プロジェクトは一人では実行できない、ということです。
ということで、今回登場するのは「令和」の元号の由来になった『万葉集』の「梅花の歌三十二首の序文」の作者、「大伴旅人」です。
周りを巻き込んだ連歌
大伴 旅人(おおともの たびと)は飛鳥~奈良時代にかけて活躍した歌人です。歴史の授業でも少し出てきます。
当時、中国で流行っていたものあれこれを、日本に持ち帰って流行らせようという動きがありました。ソフトバンクの孫社長のAI群戦略のようなものですが、梅の花も実はその一つなのです。
この、梅の花を流行らしたのが、大伴旅人であります。大伴旅人は「みんなで集まって梅の花について詠みあいっこしよーぜ!!」という生かしたパーティーを企画したんです。海外からきた映画についてファン同士感想を言い合うみたいな。
これが後世になって「連歌」というスタイルに発展していきます。
連歌というのは、二人以上の人で、和歌の「上の句」と「下の句」とを読み合っていくスタイルの歌のことを言います。江戸時代の「俳諧」のもととなった非常に重要なものです。
このイカしたイベントは、目標設定と周りの人をモチベートする動機づけという一連のプロセスが含まれています。「未来のスキル」でいうところの「指導力」と「協調性」が発揮されるわけです。
こういった、面白いものを周りの人を巻き込んで実行していく大伴旅人のマインドは現代でも非常に大切になってくると言えます。
令和時代は、もっと「巻き込み力」が求められる
ここまでで、言うなれば、大伴旅人には「巻き込み力」があった。面白いものを持ってきて、「この指とーまれ!!」見ていな感じで、「一緒にやろーぜ!」と周りの人を巻き込み、世に拡散していく。
そんなスキルに長けた人物が。「令和」という言葉の生みの親になったというのは、何か象徴的な感じがしませんかね。
この令和時代にこそ、「巻き込み力」が求められるではないかと私は思っています。
自分でひらめいたアイデアや、考えがあるのであればそれを周りの人を巻き込んで実行していく。そういったことからイノベーションが生まれてきます。
人口知能やAIによる仕事の台頭、事業の短命化と寿命の長寿化など、様々な社会状況の変化があります。そういった中で、一人で物事を進めることはリスキーでしかありません。周りの人といかに協力して歩を進めていく事ができるかどうか。ここにかかってくるのではないかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本来は、川端→芭蕉→紫式部というプロセスから生まれたプロジェクトに対して「この指、とーまれ!!」とできれば理想的でしょう。
しかし、それが難しい場合は、別の場所で流行っているモノを持ってきて「この指とーまれ!!」とやっても、結構周りの人は動くものだということは、大伴旅人の例で分かると思います。輸入に頼っても良いということです。
その輸入してきたものを連歌のような形で独自に変形させて、発展させていく事は、日本人は比較的得意なんじゃないかと思います。
自分で何か思いついた人は是非「おい、一緒にやろーぜ!!」と一声かけてみてください。それが世の中にパラダイムシフトを起こす第一歩かもしれません。
次回
世阿弥の「人生開花思考」