北欧の伝統と温もりが感じられる素敵なお店
ある秋の朝、中世の面影を色濃く残すストックホルムの旧市街、ガムラスタンを散歩中のこと。
石畳の通りに沿って立ち並ぶカラフルな建物の1階に、とっても可愛らしいお店を見つけてしまいました。
それが、Öjbro Vantfabrikというお店。
その時は、時間が早すぎてまだ開店前だったのですが、ショーウィンドーを眺めているだけでじんわり幸せになってくるような、そんなお店です。
まじまじと外から覗かせてもらった後、開店している時間にまた訪れようと心に決めて、その日はお店を後に。
その翌週、夕方の時間に立ち寄ることができ、じっくりと店内の雰囲気と品質が良さそうな暖かみのある製品、そしてそれらのデザインのストーリーを楽しませてもらいました。
厳しい北欧の冬を彩るニット製品を扱うこの店は、伝統と現代が自然に溶け合った感じの本当に心地よい空間。
ショーウィンドーにも店内にも飾られた色とりどりのニット製品たち。
まるでアート作品のように可愛らしく綺麗に並んでいて、思わず足を止めてしまいます。
小さな家族経営工房として始まったÖjbro Vantfabrikは、スウェーデンの素敵な文化や伝統を今に伝えることを大切にしているとのこと。
彼らの作る製品は、機械編みと手作業を上手に組み合わせた職人さんの技がつまっていると紹介されていました。
一つひとつの製品に込められる手仕事は、大量生産では感じられないような、どこか懐かしく温かみを感じさせてくれるものばかり。
機械生産のように完璧に同じものを作ることにはこだわらず、手作業ならではの味わいを大切にしているのが伝わってきます。
品質の良さや着け心地の良さも大事にしながら、手作りの良さを守り続けたいという情熱を感じます。
特に素敵だなと感じたのは、新品のメリノウールで編み上げられたミトンのコレクション。
防風性と保温性のある特別な裏地を使って、北欧の寒い冬でも大丈夫な実用性もばっちり。
でも、それ以上に魅力的なのは、一つひとつの模様に込められたストーリーです。
昔ながらの民族模様をベースに、現代の風を取り入れて新しく生まれ変わった柄たちは、どれも見ていて楽しくなるような魅力にあふれています。
デザイナーさんは自然からインスピレーションを受けて、頭の中で色と形の組み合わせを考えるそう。
それは仕事というより、好きなことをしているような感覚なんだとか。
スケッチから始まって、方眼紙に描いて、最後は温かみのある製品になるまで……。
その過程全てが楽しくて仕方ないという言葉に、作り手としての幸せが伝わってきます。
街で自分のデザインを身につけている人を見かけると、言葉では言い表せないくらい嬉しくなるんだそう。
その言葉からは、作り手としての誇りと情熱、そして愛情が溢れているのが感じられます。
小さな店内に入ると、スウェーデンの田舎のおうちにお邪魔したような、そんな少しほっとする雰囲気が漂っています。
ミトンやソックスはもちろん、環境に優しいオーガニックコットンで作られたタオルやブランケット、メリノウールの優しい風合いのカーディガンなど、様々なアイテムがセンスよく並べられています。
スタッフの女性の感じも良く、いろんな質問にも優しく笑顔で答えてくれました。
北欧の冬の寒さを、温かな想いと共にそっと包み込んでくれるような
Öjbro Vantfabrikの製品。
旅の思い出として、あるいは大切な人へのプレゼントとして特別な一品になりそうです。
実際にこの秋から冬にかけて、私自身このお店を3度訪れてしまいました。
1度目は興奮してすぎて、余計な買い物をしてしまいそうだったので見るだけに。
2度目は娘の、3度目は友人のクリスマスプレゼントを購入。
当然、自分のものも購入したくなってウズウズ。
ただ現在使用している自分のニット製品たちは、まだまだ現役。
引き続き大事に使い続けて、それらの寿命がきたらこちらのお店にまた訪れたいと思います。
ストックホルムへ来られることがあれば、ぜひこの素敵なお店に立ち寄ってみてください。
「どれもこれも素敵!」と私同様ちょっと興奮状態になると思います。
落ち着いてお店の雰囲気を楽しみながら選んでくださいね。
それほど素敵なお店。