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サンボビザで始まるスウェーデン生活~文化の違いと家族のかたち

いきなりですが、私はその昔、サンボ(同棲)ビザなるものを申請しスウェーデンへ移住してきました。

一緒に住んでみないと分からないことはたくさんあるので、もともと私は「結婚前に同棲はしておいた方がいいよね」派。
そんな私にとって、相手の国スウェーデンに同棲ビザという制度があったのはとてもありがたかったです。
国によっては結婚しないとパートナーの国に移住できない場合もあるし、結婚していても、かなりの額のお金が銀行口座にないと移住できないなんて国もあります。

今回は、そんなスウェーデンのサンボ(同棲)ビザについて、書いていこうと思います。
ただし、私がこのビザを取得したのは20年近く前のことなので、現在の制度とは異なっている部分もあります。
特に、近年は移民が増えた影響で審査が厳しくなっているとも聞きます。
ですので、あくまで「こんな体験をした人もいるんだな」という軽い気持ちで読んでいただければと思います。

私がサンボ(同棲)ビザを申請したのは約20年前。(もうそんなに経つんだ……)
当時の詳細はさすがにうろ覚えですが、それでも申請には結構な労力がかかりました。
でも、自分が移住を希望しているわけなので、それほど大変には感じませんでした。
それどころか、しっかりとした審査を受けることで、「スウェーデンに変な移民が紛れ込むこともなさそう」と安心感さえありました。

とはいえ、申請の過程で最も緊張したのは、やはり面接です。
サンボ(同棲)ビザを取得するには、基本的な書類の提出に加えて、二人の交際の証拠や移住後の生活の計画を提出する必要がありました。
具体的には、これまでやり取りしたメールや手紙、一緒に撮った写真などを提出。
私たちは遠距離恋愛を3年半ほど続けていたので、手紙やプレゼントのやり取りもかなりの量に。
さらに、半年ごとにお互いの国を行き来していたので、一緒に撮った写真もたくさんありました。
これだけあれば「偽装カップルではない」と思ってもらえるだろうという自信はありましたが、それでも多少の不安は残ります。

面接は、東京にあるスウェーデン大使館で行われました。
夫(当時は彼)は夫で、スウェーデンの移民局で、電話だったか対面だったか忘れましたが、別の形で面接を受けていました。
面接では、交際の経緯やスウェーデン移住後の計画、相手の基本的な情報を細かく聞かれました。
それだけでなく、お互いの家族構成や家族のメンバーについても質問されました。

事前にスウェーデン移住経験者のブログを読んで、ある程度の質問内容を予習していたものの、私、暗記が苦手なんです。
間違えちゃいけないと思えば思うほど、夫のお母さんと妹たちの名前がごっちゃになったり、生年月日覚えるのなんて、歴史の年表覚えるみたいでちょっと苦痛でした。

なので、偽装カップルじゃないのに、なんか無駄に緊張。
何も悪いことしてないのに、警察が近くを通ると何故かドキドキしてしまうのと似た感じでしょうか。

面接前には、夫と模擬面接をして練習したのが懐かしい思い出です。
その甲斐あってか面接は無事に終わり、思ったよりも早くビザが下りました。
そして、申請から半年も経たないうちに、私はスウェーデンへ移住していました。

私たちは、スウェーデンで1年間の「お試し同棲」を経験した後に婚約し、その翌年に結婚しました。
でも、スウェーデンでは、そのまま結婚せずにサンボ(同棲)として暮らし、子どもを持つカップルも多くいます。

スウェーデンにおいて、サンボ(同棲)と結婚では、法律上の違いがあります。別れる際の財産分与の対象が違ったり、パートナーが亡くなった場合の相続権の有無、そして、子どもがいる場合には扶養義務の有無などの点で違いが出てきます。

それでも、スウェーデンでは結婚ではなくサンボ(同棲)を選ぶ人が多数。
その背景には、「自由でいたい」という価値観があるのかなと感じます。
スウェーデンでは、結婚にこだわらず家族を築く人が多いこともあってか、カップルが別れることも珍しくありません。

お互いが未成年の子どもを連れての再婚も少なくありません。
そして、別れたあとは、子どもにはどちらの両親とも一緒に過ごす権利があります。(そもそも婚姻関係にあった場合には、離婚度共同親権になることがほとんど)

そのため、親が何度か再婚(もしくは同棲)してるような場合、子どもにとっては突然兄弟が増えたり、親戚が増えたりとなかなか賑やかになる場合もあります。

国が違えば、家族の在り方も変わるもの。
初めは驚くことも多いですが、「こういう文化なんだ」と受け入れてしまえば、意外と楽しく適応できるのかも。
ストレスと捉えるとちょっとしんどいけれど、新しい価値観を楽しむ気持ちを少しでももてたら、異文化の中でもそこそこなんとかやっていけるのかもしれません。




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