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なぜ寒空でお昼寝するの? ~外気浴で北欧の赤ちゃんが元気に育つ理由~

北欧では、乳幼児を寒い外気の中で昼寝させる
「オープンエアスリーピング」という習慣があります。

この一風変わった育児スタイルは、
日本の子育ての常識からすると
驚きや疑問を呼ぶかもしれません。

しかし、北欧諸国ではこれが冬の当たり前の日常となっています。

今回は、この習慣の背景や実際にどのように行われているのか
などを書いていこうと思います。

オープンエアスリーピングとは、その名の通り、
乳幼児を屋外で寝かせることを指します。

たとえば、気温が-0度を下回るような日でも、
子どもを十分暖かい服で包み、ベビーカーに寝かせて
外で昼寝をさせます。

庭先やバルコニー、カフェの外席、公園の片隅など、
親が見守れる範囲のあらゆる場所で。

一見過酷に思えるこの習慣ですが、
スウェーデンをはじめとする北欧では
「寒さは健康に良い」と考えられており、
長年の伝統として根付いているようです。

この背景には、北欧特有のライフスタイルや自然観があります。

北欧諸国では、自然との調和がとても重視されています。

長い冬の間でも、自然とのつながりを大切にし、
子どもにもその恩恵を享受させたいという考え方が根底にあります。

「外気に触れることで免疫力が高まる」
「新鮮な空気は健康に良い」といった考えは、
多くの北欧の親たちが持っており、
科学的な研究や個々の経験からも
その効果が裏付けられてきました。

実際にスウェーデンやフィンランドで行われた研究によれば、
外で昼寝をした子どもたちは室内で昼寝をした場合よりも
深い眠りにつきやすく、眠りの時間も長くなるという結果が
報告されています。

さらに、寒冷な環境で体が適応することで、
血液循環が促進され、体温調節の能力が向上する
可能性も示唆されています。

親たちの経験談でも、オープンエアスリーピングを
実践することで子どもが風邪をひきにくくなった、
夜の睡眠が安定した、といったポジティブな意見が多く見られます。

オープンエアスリーピングを行う際には、
当然ですが安全面への配慮が欠かせません。

乳幼児は自分で体温を調節する能力が未熟なため、
防寒対策が重要。

ウールやダウン素材の服を重ね着させ、
特に頭や手足などの冷えやすい部分を
帽子や手袋でしっかり保護します。

また、子どもを包む寝具には、
防風性や保温性に優れたものが選ばれます。

親は常に子どもの状態をチェックし、
気温や風の強さに応じて昼寝の時間を調整。

スウェーデンでは、公共の場でもオープンエアスリーピング
を見かけることができます。

カフェやレストランでは、外席にベビーカーが並び、
その中で赤ちゃんがぐっすり眠っている光景は
珍しいものではありません。

この様子を訪れた観光客たちは驚きの目で見ることが多いですが、
地元の人々にとっては日常の風景。

外出中でも、親が屋内で食事をしている間、
子どもは外で新鮮な空気の中で昼寝を楽しむというのが
北欧流の子育ての一環です。

私自身の経験を少しお話しすると、10年以上前に
まだ小さな娘の子育てをしていたとき、
私は「オープンエアスリーピング」についてよく知らずにいました。

そのため、公園やカフェの外席などでベビーカーに
乳児や幼児を寝かせたままにしているのを見て、
「風邪ひかないの?」と勝手に心配に……。

もちろん、子どもたちはしっかりした防寒具を着せられ、
ベビーカーのシートも暖かそうな装備がされていましたが、
それでも慣れない光景に驚いていました。

後にこのことについて調べてみて、
北欧では自然との共生や寒さに対する考え方が
子育てに反映されているのだと納得。

ただ、私自身が北欧の寒さに慣れていなかったため、
実践するには少しハードルが高く感じてしまいました。


それでも、研究結果や多くの親たちの体験談を知ると、
「確かにそうだな」と思わされることも多く、
北欧の人たちが寒さに強いのも、
このような習慣の影響なのかもしれないと感じます。

ただし、この習慣を他の地域でそのまま取り入れるのは注意が必要。

北欧では空気が非常にきれいであることが前提となっており、
国にもよりますが、都市部のように大気汚染が懸念される場所では、
逆に子どもに害を及ぼす可能性もあります。

また、気温が極端に低い場合や強風の日などは当然避けるべき。

オープンエアスリーピングが有益であるためには、
適切な環境と準備が整っていることが大前提。

この習慣が子どもに与える影響は健康面だけにとどまりません。

親たちは、外気に触れることで子どもがリラックスし、
心が穏やかになるとも感じています。

さらに、屋外での昼寝は親にとってもリフレッシュの時間
となることがあります。

子どもが静かに眠っている間、
親は自分自身の時間を楽しむことができます。

北欧の冬は暗く長いですが、
このような習慣を通じて自然とのつながりを維持し、
子育てを楽しむ工夫をしているのだと思います。

オープンエアスリーピングには賛否両論があり、
どんな育児スタイルにもメリットとデメリットが
あるのはどの国でも同じ。

しかし、北欧の親たちにとっては、
この伝統は単なる文化の一部ではなく、
子どもの健康と幸福を願う気持ちの表れでもあります。

科学的な裏付けが少しずつ進む中で、
このユニークな育児習慣が持つ可能性がますます注目されています。

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