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就労支援に関する社会課題をITスタートアップと解決するには(3/4)

就労支援に関する社会課題をITスタートアップと解決するには(2/4)の続きです。このパートでは、自治体がスタートアップと共に課題を解決する際に気をつけるポイントを、自治体/スタートアップ双方の視点から話しています。

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自治体と事業を作っていくのに必要なことは?

 これまで「何故スタートアップか」みたいなことについてはお話聞けたんですけど、自治体の抱えてる課題とスタートアップがどうマッチングするかみたいな、ウィン−ウィンの関係を結ぶにはどうするか、っていうお話をしていきたいなと思うんですけど、大津さんは、神戸市以外だとどこかの自治体と何かしているんですか?

大津 例えば同じ氷河期のプロジェクト+相談プラットフォームですと、宝塚市さんとかもも導入していただいてます。AIではないんですけれども、同じようにオンラインの相談サービスであったりとか職業紹介のためのそういった繋ぐサービスをやっていますね。
あとは母子向けに、大阪府の堺市さんとかも実証実験やっていたりとか、愛知県東郷町さんとも契約させていただいていて、そこも母子というところとか、一人親家庭を対象に相談サービス、情報提供、就労支援とかっていうところをさせていただいてます。

関 自治体ともいろいろあり始めてるっていう。

大津 はいそうですね。

関 僕も周辺でGovTechとか、政府と一緒に何かやりたいって人たちが最近増えてきたなと思います。多くのそういうプレーヤーが、自治体に対してうまく付き合うやり方がわかんないみたいなことが多いんですね。
どこに話にいっていいかもわからないし、実際話してみたら鼻であしらわれるっていうかですね、ちゃんと話を聞いてくれないみたいな感じで「やっぱ駄目だった」ってなってるスタートアップがすごく多いんですね。
そういった意味で、どうやってその自治体と一緒に事業を組み立てるみたいことをやってきたんですか?

大津 これも本当に自治体さんによってちょっと違うっていうのありますが、私達が神戸にこだわっている理由の一つとして(本店があるのも)、神戸市さんがスタートアップに対してすごいチャンスをくれたり、本当に理解を示してくださっている。
リップサービスじゃないですよ(笑)でも本当にそうなんです。神戸市さんは何年も何年も力をいれて、そこでアクセラレーションやったりですとか、基盤があったので、GovTechとしてデビューするのには最適だったなと思います。

自治体さんは大切な税金を使ってやるというところと、普段やっておられる仕事+余力で、スタートアップ連携して事業を展開するっていうところが非常に大変なんですね。スタートアップってそれしかやってないので「なんでこんな反応するんだろう」とか、「なんでこんなに熱量はないんだろう」と思いがちなんですけど。
普段全力で違うことに熱量を割いておられて、逆に自治体さんに行くと感動することばっかりなんですよ。

「これ本来の仕事じゃないこともやってくれてるんだな」と。スタートアップの方にも誤解がやっぱりあるので、それを伝えてくれる方っていうのが間に入ったりする仕組みとかが重要です。神戸市さんはその仕組みがあるんですね。
やっぱり今結びついているところ、宝塚市さんとか、間に入っている機関がないので、本当に時間がかかった。でもすごく理解がある。素晴らしい担当課の皆さんなんです。上長も全ての方が熱量が高くて、偶然よかったですけど、普通はやっぱりGOまでに時間がかかりすぎてスタッフが消耗しちゃうっていう状態だと思うんです。

なので一番最初に神戸市さんがあって、宝塚市さんがあって、堺市さんがと…広がっていくので、どこで一番最初にその実績を作らせてもらうかというところが、実はスタートアップにとっては、大切です。ブランディングとかもちろん良いサービスを作るとかっていうのと同じように、その準備や計画を並行してやらないといけないところなのかなっていうのは思いますね。

自治体さんも、そういったスタートアップを見抜くとか、歩み寄ろうとして欲しいというのもあります。自治体さんが本来何をすべきところをやっていて、どういう仕組みになってるのかっていうのはお互いお伝えしていただくのが一番いいんですけど。
それをわかってもらえそうな、もしくはわかっているスタートアップと組むっていうのがどのジャンルでも凄くいいのかなと思う。

神戸市と組んだスタートアップと一緒に組むと良いかもしれないですね。
他のサービスもいっぱいいいベンチャーがいるので、神戸市さんとやっているとかっていうのはみんな自治体さんのことわかっているベースでやらせてもらえるかもしれないです。

関 なるほど。やっぱ事例がないのに話をしに行ってもなかなか難しいですよって話があったのと、自治体には自治体のルールっていうのがあるし、別に怠けてるわけじゃなく、彼らは彼らの仕事を一生懸命やっているからそれはしっかり考えなきゃいけないし、実績を作るには、最初からそういうところに力をいれているところとやるのが早いですよっていう。

大津 そうですね。スタートアップは起業したてとかあるじゃないですか。そのためにやりたいってのがあるんですけど、(自治体によっては)5年とか15年以上事業をやっていないといけないとか(笑)。最初声をかけていただいて、提案に行くと「実績ベースで10年以上とか」言われたりする。もうスタートアップであるわけがないんですよね。一緒に組める人が。

でもそれは自治体さんのせいではなくて、今までのカルチャーというか、じゃないと判断する材料がないでしょっていうふうになっているので、その判断する材料を一緒に作っていくことが必要。アーバンイノベーションジャパン(https://urban-innovation-japan.com/)とか、すごい良いなと思うんですよね。あれもアーバンイノベーション神戸があって初めて全国に広がっていったのだと思うんですけど、ああいう、なんていうんでしょうかね。ビジネスじゃないんだけど実証実験をやらせてもらえるっていう機会に積極的に応募させていただいて。神戸も一番最初は氷河期AIではなくて、リカレント教育、別のところで実績を作らせていただいたんですけど、女性の学び直しの相談をするっていうサービスだったんです。その経験は本当に勉強になったというか、そういう実績を作るといいのかなと思います。

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関 ありがとうございます短く言うと神戸市に来いということですね。(笑)

大津 そうですね(笑)神戸市だけじゃなく福岡とか堺とかいろいろあるとは思うんですけど。スタートアップに興味持ってくださっている自治体さんっていっぱいあるんですよね。
そこに行くとそんなにくじけなくて、心折れないと思うんですね。スタートアップにとっては大事なところかなとは思います。

自治体側がスタートアップと付き合う工夫

関 ありがとうございます。実際でも、自治体は縛りがいろいろあるじゃないですか。予算とか、例えば随契できないとか、発注の仕組みとかもすごく複雑だったりとか、なかなか難しいところがいっぱいあるじゃないかと思うんですけど、自治体側としては、そこら辺はどういう工夫をしてるんですかね。中沢さん。

中沢 自治体側のスタートアップ支援の工夫ですか。アーバンイノベーションジャパン/神戸の事例で言うんだとすると、まず実際に実証実験やりましょうと。で実証実験ができ、行った結果成果が出て確かに費用対効果を見込まれた場合に随意契約しましょうというようなことは一応実装はしてます。随意契約に関して言うと、一応少額随契はどの自治体も一応できることになっていて、運用のルールは全然違うんですけど、できることになっていることで、あと匿名随契であるとか新商品と認定して随契するっていういろんな方法あるんです。ただ、それを活用しているかどうかっていうのは当然にしてあると思います。神戸市の場合は幸いにして活用の機会を与えてもらってはいます。

それとは別で予算のとこに関していうと、これはもう難しいですね。多分一般の会社でもある一定以上の金額になった場合、それは取締役会マターになったり、もしくは株主総会マターになったりと当然するので、それとほぼ同じであるとご理解いただければ。ある一定以上の金額になったらやっぱり決裁はある程度必要で、その大きな決済のタイミングでの予算であるというところはご理解いただければ。ただ実際はですねそうは言いながらも補正予算を組むとかですねそういったこともやっていますので、予算がなければ絶対にできないんだと諦めずに、そういったことにも相談に乗ってくれるような自治体の職員必ずいると思うので、そこを窓口としてうまく使っていただくのがいいのかなという気はいたします。

関 行政と一緒に何かやろうっていうときには、やっぱりある程度そういうお作法というか、予算というのはどういうふうに決まっていって、あとこういうやり方をすると、国から補助が出ますとか、ある程度は必要なのかなと思います。

中沢 そうですね。でもそれが多分大手企業とやりとりするにもやはりお作法というか、決裁権限が当然としてあるので、それがたまたま自治体の場合は自治体のものがあったと、大手企業の場合は大手企業名のものがあったと、そういう差でしかないかなって気はしておりますね。

関 あとやっぱりさっき大津さんが言ったように実績ですよね。これやりたいとか、あと新聞に載るみたいな結構有効です。そういう意味では、大津さんのサービスっていうのは、広げられていくフェーズには入ってきたっていうことなんですかね。実績作りよりも広げる方向にそろそろ進んできている。

大津 そうですね。まさに広げていってます。広げていってるんですけどただ、同じようにっていうよりはその自治体さんのカラーややりたいところ、力をいれている政策があるので、だからそことあわせてやっぱりその自分たちのコアバリューを出して、技術とかノウハウを使ってやっていくってことが一番大事なのかなっていうのは、日々感じています。

スタートアップと大手サービスの違い

関 ありがとうございます。これは録画もあとで公開されますし、今聞いてる自治体の方々もいるのかなと思うんですけど、どういう自治体と一緒にやりたいとか、こういうところはぜひ声をかけて欲しいとかありますか。

大津 いやあそれ言っちゃっていいんですかこれ(笑)。
これはもうどこでも。どこでもというか…本当に1回ご連絡ください。お話聞きたいなって思います。そこからアイディアが出てくることもありますし、私たちにやっぱりその東京のスタートアップじゃないので、なんていうんでしょうね。地方の課題感がわかるというところも。
神戸は地方じゃないでしょ!とか言われたら困るんですけど(笑)。宝塚もそうですし、愛知県の東郷町ってとこで一緒に取り組んでいるのもそうですが、地域の方がお仕事に前向きになったり、家庭を持ったりとかいろいろなところに前向きに生きてもらわないといけないと思うんですよね。

そういった地域の課題、どういう問題が発生しやすくどういった解決方法ができるかっていうノウハウがやっぱりたまっていってるので、とりあえずご連絡をいただけたら。自治体さんに合わせた課題解決の仕方が何か一緒に考えていけるんじゃないかなっていうふうには思ってます。

ただ、大手さんと比べて比較検討されている自治体さんはできれば来て欲しくない、来てほしくないって言い方はよくないんですけど、悩まれているんなら一旦大手さんに投げられたらいいのではないかというふうに思ってしまうんですね。というのはやっぱりスタートアップってリソース限られていて、大手さんと比べられたときに一番気になるのは、(大手には)人がたくさんいるんですよね。密着されて情報交換をしたり、ずっと現場におられたりとかっていうようなことがあって、そのこと自体が重要だったり、安定感としてある、という自治体さんや担当課さんだったりすると…やっぱりそこはですね頑張っても割けないんですね。そういう仕組みになってないので。

その代わりにスタートアップとしてすごくいいところっていうのがあって、いちいち上に許可を取らなくても「これを変えてください」っていうことに対して、決断できます。
いわゆるアジャイル開発って言われるもの、すぐ臨機応変に対応できたりですとか、そのスピード化とか自由感とか、個性を出して面白いところを一緒にやっていくことができます。
新しいものを作っていく、ゼロ→イチをやっていくっていうところに関してはすごくやっぱり強い。

勿論、大手さんをけなしているわけじゃないんですけど、大手さんにも熱量の高い方いらっしゃいますけど、やっぱり大手企業なので…そこまでなんていうんでしょうね、「これを絶対世の中に出したい」とか、神戸市なら神戸市さん、宝塚市さんなら宝塚市さんと一緒に、「これは絶対成功させるんだ」っていう、気持ちを…先ほどの和田さんの話しにもあったけど、ずっと続けていくことってやっぱり難しい。たくさんの仕事の中でやっていくっていうふうになっているのだと思います。

私たちの強みっていうのはそれを本当に必ず解決までやるぞ、という思いの部分だったりします。リソースがない中でやっていくぞっていう。魅力は自由度だったり速さにあったりするので、そこを評価して声掛けをしていただきたいっていうのは、本音としてはあります。

関 いやーめちゃくちゃいいですね。
いやすごいよくわかるなと思うのは、これ別に本当に就労支援だけじゃなくですね、IT系の発注とかもそうなんですけど、やっぱり大手に発注すると楽なんですよ。何でもやってくれる。すごくよくできた報告書をもらえるし、あんまり文句が出ないアウトプットが出てくるんですよね。

税金をそつなく使いたいみたいな、事業費、予算をしっかり文句が出ないように使いたいって思ったときにやっぱり大手のサービスって楽だったりすると思うんですけど、でもやっぱりそういう担当者ではなくって、ちゃんと本当に課題を解決したいんだという思いのある担当者と一緒にやりたいと。
本当に成果を出そうとするとお互い労力はかかるんだけれども、そこにちゃんと付き合ってくれる担当者でないとは良い成果はでませんよっていうことですね。

大津 そうですね!日本のスタートアップはなかなか遅れていると思うんです。そこで国を作っていっている皆様が、やっぱり世界を見ていただいて、日本でどうして新しい企業がこんなに生まれにくいのかと、考えてくださるといいなと。
いきなり「学生たちに起業しろ」っていうようなそういう教育をするのはいいんですけど、それよりもその今あるスタートアップに目を向けていただいて、日本の経済だけじゃなくて日本を良くしていこうっていうベースを考えていただきたい。
国の方、公務員の方たちなのでわかると思うんですけれども、何かそこにやっぱり熱を持っておられる方たちなので、スタートアップにチャンスをくれるっていうことが、本当に日本の未来に繋がるんだっていうところを思っていただけたら、私たちが選ばれなくてもすごく嬉しいなと思います。

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就労支援に関する社会課題をITスタートアップと解決するには(4/4)に続きます!

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