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【論文読んでみた】キャリア確立に役立つのはどんな実践共同体?
しばらく更新をお休みしておりました。
この間何をやっていたかというと、
実践共同体を学ぶなかで、「学習論ぜんぜんわからん・・・」となり。
学習論を復習しておりました。
私のやりたいことは、学習環境デザインの方が近いのかも。
育児経験を仕事に活かすための、学習環境デザイン。
というわけで、今日は荒木先生の論文です。
(この論文を紹介してくれた同期のMちゃんに感謝。)
ひとことで言うとこんな感じ
キャリア確立に役立つ実践共同体ってどうやってデザインしたらいいの?
この問いに答えられる先行研究は少ないので、10の実践共同体・30名にインタビューをしてどんな特徴があるか分析してみた、という論文。
実践共同体とは?(再掲)
あるテーマにかんする関心や問題,熱意などを共有し,その分野の知識や技能を,持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団
すなわち、学習のための共同体ですね。
社内の勉強会などがわかりやすい例。
キャリア確立とは?
個人の職業アイデンティティ獲得やキャリア形成の意欲向上などのこと。
そして、「助け合いの実践共同体」がキャリア確立に最も影響すると考えられている。
助け合いの実践共同体とは?
AMERICAN PRODUCTIVITY & QUALITY CENTER (2002)が企業の実践共同体を目的ごとに4つに分類しており、その中の一つ。
メンバーが日常的な問題を解決したり、アイデアを共有したりするのを助けるものをいうそう。
研究の進め方
今回は、10の助け合いの実践共同体それぞれの、
コーディネーター(世話人)orコアメンバー
アクティブ・グループメンバー(定期的に参加するがコアメンバーほどじゃない人)
周辺グループメンバー(参加控えめ・新参者など)
の三名について半構造化インタビューを行い、発揮されたリーダーシップを見ていく。
そして、キャリア確立に関わる経験として、以下のようにカテゴライズ。(カテゴリの仕方も勉強になったけど詳細は割愛。二人で分けて突き合わせるのかー)
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その後、キャリア確立経験高群の実践共同体と低群の実践共同体の構成要素を分析するため、以下を比較している。
活動の志向性(成果物を作る成果思考か否か)
メンバーの多様性
コーディネーターのリーダーシップ(配慮型リーダーシップ行動の有無)
研究の結果
一人のメンバーにキャリア確立経験が偏ることはない。キャリア確立に関する経験が多い実践共同体では、みんなキャリア確立経験をする
キャリア確立経験高群の実践共同体ではリフレクション経験が多いが、低群の実践共同体ではリフレクション経験が少ない
キャリア確立経験高群の実践共同体では成果思考でないことが多い。
成果志向の実践共同体はアウトプットの話が多く、自分の課題にひきつけたり、他者と自分を比較したりするなどのリフレクションするきっかけがないためキャリア確立経験高群の実践共同体ではメンバーの多様性がある。自分と違う相手にわかりやすく説明しなければならず、結果的に振り返りが増えるため
キャリア確立経験高群の実践共同体では配慮型のリーダーシップが見られる。(配慮って実際何やってるの?と言う問いについては、論文をご覧あれ。私もこんなコーディネーターになりたい)→先日の金澤先生の論文にも通じる
考察としては、メンバーの多様性を活かすためには、成果を志向しない緩やかな活動をデザインする必要
コーディネーターに期待されるのは、活動目的や計画を遂行するのではなく、参加者の状態を見ながら活動のデザイナーになること
私なりに感じたこと
いま、多様性のあるメンバーが集まる実践共同体に介入しているわけですが、
うっかり成果思考にするところだったぜ・・・!(滝汗)
とはいえ、企業内の実践共同体って、何らかの形で学びを企業に還元する必要があると思っていて。
成果物を作る以外の方法でじわじわ還元できたらいいのかなあ。悩ましい。