ストリテラ「魔法使いのおかえりなさい」リプレイ
「ストリテラ オモテとウラのRPG」のショートシナリオの実セッションのリプレイです。
※無料公開シナリオ「魔法使いのおかえりなさい」を使用しています。
設定や【オモテ】【ウラ】の詳細についてはシナリオ本体をご参照ください。
(シンプルなシナリオなので、参照しないで読んでも大丈夫かと思います)
●登場キャラクター
・マフィン
(【オモテ】魔法使い/【ウラ】お師匠さまへの恋)
生真面目な見習い魔法使いの青年。きっちり手順の決まっていることは得意だが、応用が苦手な性格。
師匠からの課題である、使い魔の育成に手を焼いている。
☆目的:猫のいたずらを見抜く
☆あなただけのキーワード:かわいがる
・ルビー
(【オモテ】猫/【ウラ】正体はお師匠さま)
使い魔見習いの子猫。黒ベースのハチワレ模様で、顔の下半分、足先、尻尾の先が白い。
正体は「ルドヴィカ」という名の20代後半の妖艶な魔女。
☆目的:いたずらを隠し通す
☆あなただけのキーワード:かわいい仕草
●オープニングチャプター「ふたりのお家」
(時間:10分)
マフィン:やたらでっかい荷物をしょって、ふうふう言いながら帰ってきます。「なぜ…… 街からここは…… こんなに離れているんでしょうか……」
ルビー:では、帰ってくるのが見える位置の窓の桟に座ってじっとご主人を見ています。
マフィン:「おや」
ルビー:目が合うと、ぷいっと顔を逸らして桟から飛び降りて見えなくなります。
マフィン:「あー…… ハァ……」ため息。「しつけ…… あの子のしつけが終われば一人前。とは言いましても、『しつけが終わる』とはいったいどういう定義なんでしょう……」
ルビー:定義!!w
マフィン:「よいしょっ、と」と荷物を玄関の脇に置いて「帰ってきましたよ」
ルビー:中からドアを引っ掻く「カリカリ」って音。
マフィン:ガチャリと開けて。
ルビー:開いたところから顔を覗かせます。「おそいぞ!」
マフィン:「や、すみません」
ルビー:「はらがへった!」
マフィン:「そうですか。ちょっと待ってください」時間を見て。「いえ。ごはんまではあと一時間あります」
ルビー:「いちじっ…… やだー!!」部屋の中でぐるぐる走り回る。
マフィン:「だめです」
ルビー:「やだああはらがへったあああ」と叫びの尾を引きながらすごい勢いで奥に走って行きます。
マフィン:「……しつけができる、というのは、これも待たせることができるということで合って、いますよね?」誰へともなく。「……不可能なのでは……?」
ルビー:(笑)
マフィン:では荷物を中に運んで、机の上に乗せて、荷解きを始めます。
ルビー:そうしたらダーッと戻ってきて、机に飛び乗って、何かの紙袋に顔を突っ込みます。
マフィン:「だめですよ、だめですよ」
ルビー:「みやげ!」
マフィン:「土産はありますが、あとで、です」
ルビー:「いいにおいする」
マフィン:「あと一時間」
ルビー:「シャー!」
マフィン:「シャーしても駄目です」
ルビー:「シャー……」
マフィン:「私がいない間、ちゃんと大人しくしていましたか?」
ルビー:「(間)……うん」
マフィン:「そうですか。ならばよかった」
ルビー:「うん」
マフィン:「そうですね。一時間待たせるのは酷かな。ルビー、新しいおやつを買ってきたので」
ルビー:「おやつだ!」ジャンプ。
マフィン:「これを……」
ルビー:肩に飛び乗る。
マフィン:「ちょっと!」
ルビー:「おやつ!」
マフィン:「はい。ではこのささみジャーキーみたいなやつを」
ルビー:「みたいなやつ」
マフィン:「街の猫に人気だということで買って来ましたよ」
ルビー:「やるじゃねーかおまえー!」
マフィン:「ルビーも頑張ってくれていますので」
ルビー:「がんばった」
マフィン:「いたずらもしませんでしたし」
ルビー:「(間)……うん」
マフィン:「……したのでは……?」
ルビー:「してないしてない!」
マフィン:「では。私の手から食べるなんて品のないことをしてはいけません。普通の猫ならともかく、あなたは魔法使いの使い魔なんですから。礼儀というものを身に着けなくては」
ルビー:「えええー! はやく!」
マフィン:お皿に入れます。「いいですか、あなたは通常の猫以上にしっかりした存在に…… しっかり…… 完成形が見えない……」
ルビー:「ささみうまい」
マフィン:「私はあなたを、一体どういうふうにすれば……?」座りこんで頭を抱えます。「うーん……」
ルビー:その横でお皿からささみをちゃむちゃむ食べています。
●メインチャプター
※チャプターの読み上げは主演が行いました。
※演技の後の「○○をコレクトします」の宣言を省略して記載しています。
▼チャプター「お茶の時間」
・主演:ルビー/助演:マフィン
・時間:5分
☆キーワード:お土産、好物、街での出来事、大好き、隠し事、買い物、貰いもの、修行、いつか
ルビー:ささみを食べながら、「【みやげ】をかってくるとは、きがきくようになったじゃねーかマフィン!」
マフィン:「いえ。まあ、あなたとの対話も大事な【修行】の一環ですからね」
ルビー:「よくおれの【好物】を覚えてたな!」
マフィン:「あれだけ言われれば嫌でも覚えます。あなたが毎日、ささみ【大好き】大好きって」
ルビー:ちゃむちゃむ食べ終えて。「うまかったぁ」とすごく満足げな顔で顔を洗いはじめます。(【かわいい仕草】)
マフィン:「ところで何かいたずらはしましたか?」
ルビー:「(目をそらす)ううん」
マフィン:「ほんとに【隠してること】はありませんか?」
ルビー:「(ごまかすように)きょ…… きょうはずいぶん【買い物】に時間がかかったじゃねーかマフィン! 【街で何かあった】のか?」
マフィン:「けっこう買うものも多かったですし、いろいろ【頂き物】をしてしまいまして。街の方々にはいつも良くして頂いています」
ルビー:「こみゅりょくがあがったもんだ!」
マフィン:「こみゅ……。しかし、肝心のあなたのことを、私はどのようにしてゆけばいいのか……」
ルビー:「おれはもういちにんまえだぞ」
マフィン:「普通の猫としては、そうですね」
ルビー:「といれもできる」
マフィン:「そこは覚えてくれて本ッ当に良かったです」
ルビー:どやがお。
マフィン:「いいですか?」と言いながら頭を撫でる(【かわいがる】)。「あなたが使い魔として本当に一人前になってくれれば、私は今すぐにでもお師匠さまのところに行ってご報告するんですよ」
ルビー:「いつになるかなー」
マフィン:「ソウデスネ」
ルビー:「【いつか】な!」
マフィン:「いつか…… そうですね、いつか……」ちょっとしょんぼり考えこみます。
ルビー:ちょっとだけ心配そうにその横顔を覗きこんでしまって、誤魔化すようにまた顔を洗いはじめます。
▼チャプター「お師匠さまからの手紙」
・主演:マフィン/助演:ルビー
・時間:5分
☆キーワード:しつけ、猫の様子、筆跡、一人前、挙動不審、返事、課題、この家、昔のこと
マフィン:「あっ」伏せていた顔を上げて。「なんだルビー、手紙が来ているじゃないですか。これはお師匠さまからのものですね」
ルビー:「このまえおまえが出したやつの【へんじ】じゃないか?」
マフィン:「そうですね。さっそく…… やはり、あなたを【一人前】にできたかどうか、問われるんでしょうか……」
ルビー:「おまえにとっちゃあ酷な【かだい】だな!」
マフィン:「分かってるんなら協力してくださいよ!?」
ルビー:どやがお。
マフィン:手紙を開いて。「ああ、やはりお師匠さまからですね。これはあのひとの字だ」(【筆跡】)
ルビー:自分が書いた手紙なのがばれないように、興味なさそうなふりをして、さっきの机の上の荷物から何かの細工物を床に落として前足でカッカッて弾いて遊びはじめます。(【かわいい仕草】)
マフィン:「(溜め息)ええと、『お前に与えた課題、猫の【しつけ】についてはどのように進んでいますか。お前はなかなか堅物なので、こういった課題は難しいかと思いますが』……はい……」
ルビー:肯定。
マフィン:コロコロ転がってるのを見ながら(【猫の様子】)「お師匠さま…… 私はこの子をどのようにすれば」
ルビー:ではその手紙の続きで『お前は小さな頃から、いつも定義ばかりを気にして話が前に進まない子でしたので』(【昔のこと】)
マフィン:「それは、その通りなのですが、このようにこの、ファジーな存在は」
ルビー:ファジーな(復唱)。
マフィン:「【この家】を与えて頂いたのもお師匠さまのおかげですし、私も出来るだけ頑張りたいのは山々なのですが」
ルビー:「ささみもっとねえの」
マフィン:「……ああ、しかしお師匠さまはやはり字が美しくていらっしゃる。しばらくお会いしていないな……」そわそわ。
ルビー:その様子を、紙袋にあけた穴から見ている。
マフィン:「いえ。何でもないですよ。……一人前…… うーん、【かわいがる】だけではだめなんですよね」
ルビー:ガサガサ。
マフィン:「こんなにかわいいのに……」(頭を抱える)
●ファイナルチャプター「そして、いたずらはどうなった?」
(時間:10分)
マフィン:「はい、お夕飯ですよ」
ルビー:「ごはーん!」
マフィン:「はい、はい」
ルビー:マフィンの周りをぐるぐるぐる。
マフィン:いつもの場所にカリカリのお皿を置いて。
ルビー:カリカリカリ。
マフィン:「あっ、まだいいですよって言ってないのに」
ルビー:「うまい。うまい」
マフィン:「まあ、今の間が一番静かに作業ができるタイミングです。今のうちに日記を書いてしまいましょう」と、机のところに行って、いつもの手順で封印を解こうとして。「……あれっ!?」
ルビー:「うまい」
マフィン:「ルビー。ルビー?」
ルビー:「なに」
マフィン:「封印を解きましたか?」
ルビー:「……!」後ろ姿の背筋がぴっと伸びる。
マフィン:「あなたも腕を上げましたね」
ルビー:どやがお。
マフィン:「ではなく! 中身は見ましたか?」
ルビー:「たいしたことがかいてあるじゃねーか!」
マフィン:「ちょっと!?」
ルビー:「なに」
フィン:「や、あなた、ちょっと、これを見るというのは、よくないことですよ!?」
ルビー:「どして」
マフィン:「見られたくないから封印を掛けているんですよ!」
ルビー:「うそうそ。まだよんでない」前足でつつく。
マフィン:「やめなさい!?」中にはお師匠さまへの愛のポエムが書いてある。
ルビー:「ひみつなのか」
マフィン:「それは、あの。あの。私がまだ、こう、抱いてはいけないものですから」
ルビー:「どして」
マフィン:「私はまだ一人前の魔法使いではないので」
ルビー:「ほう」
マフィン:「一人前の魔法使いになってから」
ルビー:「ほうほう」
マフィン:「お師匠さまに正式に、おつ…… おつ…… おつきあいを、お願いしたいと」
ルビー:「ほうほうほう。――随分な決意をしておったのだな」
マフィン:「――え?」
ルビー:「真面目なだけの弟子かと思っておったが、なかなか」
マフィン:「ルビー!?」
ルビー:にやり…… と赤い瞳に見覚えのある笑みを浮かべて、尻尾をパタンと揺らしたところで――
「魔法使いのおかえりなさい」fin.