Kenny Barron Trioを観に行った @Blue Note Tokyo
2023年9月6日、Kenny Barron Trioがブルーノート東京でライブを行うとのことで観てきました。
Kenny Barronはなんと御年80歳。
80th Anniversaryとしてブルーノート東京で3days公演が組まれると聞き、予約開始時間に即最終日の最終セットの席をとってから、この日を待ちわびていました。
メンバーは御大とBassに北川潔、DrumsはJohnathan Blakeと不動の3人。
どうやら20年近く(北川氏に至っては30年も!ご本人がX a.k.a Twitterにてポストされてました)一緒にステージを重ねてきたということで、俄然期待が高まります。
ここで正直に申し上げると、僕はKenny Barronの大ファンという訳ではない。
勿論、メインストリームのジャズピアニストとして名実ともに最高峰であることは知っているし、
学生の時からちょくちょくCD等で聴いて、その良さは感じていたのだけど、夢中になって聴くことはなかった。
今回のお目当てはDrumsのJohnathan Blake。
その存在をちゃんと認識したのは、Avishai Cohen (Tpの方)と一緒に"Shiny Stockings"をプレイしている動画だった気がする。
他のドラマーとは明らかに異なるユニークなドラミング (と体型) に釘付けになり、特にお気に入りのドラマーの1人です。
最近リリースしたブルーノート移籍後2枚目のアルバムも最高でした。
ということで、ライブを観てきたのですが、
やっぱジャズっていいな。。。
と感じる90分のライブでした。
モンクのカバーが2曲、それ以外がオリジナルの計6曲でした。
どの演奏も素晴らしかったですが、白眉だったのは3曲目の"Shuffle Boil"でしょう。
アルバムとは異なり、テーマでJohanathan Blakeがブレイクビーツ風にリズムを刻み、アレンジを効かしていたのがよかった。
モダンバップだけど、きちんと新しい要素も取り入れて進化させていることに驚きました。
この曲と"Calypso"で強烈なドラムソロを聴けたけど、この日一番の歓声があがったのは、3曲目だった気がします。
その念願のJohnathan Blakeですが、もう凄かった。
ピアノトリオだし、Kenny Barronもガンガン弾くような人でも無いからか、
ドラムだけPA通してなかったと思うのですが、全くバランスが崩れない。
手数は多いけど、繊細で軽やか、自分のターンでリミッターが外れて爆発するプレイを肌で感じました。
ぜひリーダーバンドでまた来日してほしい。。。
あと、北川潔はなかなかにアバンギャルドなソロをするなという印象。
ほぼ毎ソロでオクターブ奏法を駆使して、ゴリゴリ弾き倒していた。
ちょっと一辺倒な気もしたけど、格好よかった。
90分で6曲なので、演奏のほとんどがソロだったんですが、
Kenny Barronは全ての曲で誰よりもソロをとっていた。
フレーズが全く尽きることなく、表現としては適切ではないんですが、全てのプレイが「おしゃれ」なんですよね。
これがレジェンドか、、、という気持ちになりました。
それにしたって、マジで80歳かよってくらい元気だった。
MCもほとんど曲紹介のみで、お水も飲んだりすることもなく。
さすがに3日間の6公演目ということもあって、
アンコール前に「眠い、疲れた(日本語で)」とぼやいてはいましたが。
奥さんとのタヒチ旅行で見た、美しい朝日と海からインスピレーションを受けて書いたという"Cook's Bay"、とても素敵でした。
突然ですが、僕には映画「Blue Giant」を観て、「So Blue のモデルになったブルーノート東京に行きたい!!」といっている、普段ジャズを聞かない友人がいて、
せっかくだから中の人たち(上原ひろみ、馬場智章、石若駿)の誰かが出るライブがあれば行こうかと話をしているのですが、
その前にこのライブに一緒に行けばよかったなと思いました。
今回のライブを通して、Kenny Barron Trio に対して、
オーセンティックなジャズだけど、新しい部分があり、
個々のインタープレイはとても熱いんだけど、
そこにはジャズにありがちな難解さはなくて、親しみやすさを感じたんですよね。あくまでも個人的にですけど。
下手にコルトレーンとかマイルス、ハービーよりも、
(こういう言い方あまり好きでは無いですが)初心者向けの1枚には
Kenny Barronがオススメなんじゃないかなと思います。
最後、ちょっと話が逸れてしまいましたが、
ステージ終了時のMCで「来年もまたここでプレイしたいと思うよ」
と言ってくれましたので、81th Anniversary のライブも観に行きたいと思います。
ありがとう、Kenny!