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【創作大賞エントリー作品】冤罪とデジタルタトゥー

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#証拠

冤罪とデジタルタトゥー 3

【第二章】『釈放』

 十日間の拘留延長が決定され数日が経ったこの日、悟志のもとにある人物が面会に訪れた。

「初めまして、飯塚悟志さんですね?」

「はいそうです、あなたは?」

「申し遅れました、わたしは奥様の秋絵様から依頼を受けました弁護士の山村と言います!」

「弁護士さんが来てくれたってことは妻は私の事を信じてくれているんですか? だから弁護士さんを雇って無実を証明しようとしてくれている

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冤罪とデジタルタトゥー 4

  

【第三章】『デジタルタトゥー』

 翌朝悟志のケータイに山村から電話があった。

『おはようございます飯塚さん、今日は土曜日でお仕事休みですよね、これからお宅に伺ってもよろしいですか?』

「別に構いません、ではお待ちしています、わたしもお話したいことがあるので」

『そうですか、分かりました、ではこれから伺いますね』

 それから三十分ほどたったころ、山村が飯塚家にやってきた。

「良く

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冤罪とデジタルタトゥー 6

  

【第五章】『娘との会話』

 数日後、この日悟志は自らハンドルを握り妻である秋絵の実家である小林家に赴いていた。

 玄関の前に立ち一度大きく深呼吸をすると、ドキドキしながらチャイムを押す悟志。

 その後義理の母親である久美が不機嫌そうな表情を浮かべながらも扉を開けた。

「あなたなの、一体何しに来たんですか? あんな恥ずかしいことをしておいて良くのこのことこれたものね」

「突然伺って

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