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耳ツボ家業

最近、私の周りの若い…それこそ15歳も20歳も年下の女の子たちの間で耳ツボジュエリーなるものが流行っているらしい。
特にキャバ嬢たちの間で。
はいはい、耳ツボね。
私も15年くらい前の流行りの時にやってましたよ。
どうやら今時の流行はポップなキャラクターモチーフをつけたり、ネイルをデコるようなビジューをつけたりオシャレなんだそうだ。
私がやっていた時はせいぜいラインストーンくらいだったのに、えらく進歩したもんだ。

飲み屋の女の子たちはこぞって耳ツボジュエリーをつけてインスタのストーリーズに上げている。
私がやっていた時はピアスをルーズリーフのように連ねてつけていて、あまりツボの効果を感じられるものではなかった。
今の若い子達はピアス自体を開けていない子も多いらしく、オシャレの側面が大きいのかもしれない。
いや、効果とかオシャレですらなく、とりあえず流行ってるっぽいからやっとけ!の精神かもしれない。
パーソナルジム然り、カッピング然り。田舎の狭いコミュニティーではトレンドの追えないキャバ嬢は異端なのだ。

かつて長老の域でキャバ嬢をしていた私も若い子から流行りを教わったものだ。
10代、歌舞伎町で働いていた頃は流行の最先端にいた私も、10年経って田舎に来てしまえば流行を追う側になるというもの。
話が脱線してしまった。
兎にも角にも「おすすめです〜」と言われてしまったら経験してみたくなり、重い腰を上げてキャピキャピと話に乗るものである。

私が住む10万人都市の片田舎にもホームサロンという自宅の一角で行われる耳ツボサロンが多数ある。
インスタで簡単に検索してみただけでも数多のキャバ嬢がフォローしているのがわかった。
メニューを見ると一番安いのはどこも10粒2000円ほど。
時代が違うので一概には言えないが、昔より価格が下がっている気がする。
とりあえず耳ツボを勧めてきた子の通ったであろうサロンを見てみると、2月中旬時点で予約がいっぱいだった。
1日何枠か知らないが、驚くほどの盛況っぷりだ。
どうやら思った以上に流行っているらしい。

次に家から近いサロンを検索してみると、そこも予約が埋まっている。
ここで諦めるのも癪だったので直近の空きをDMで問い合わせると、どうやら次の週に予約が取れると言われた。
小さな子供がいるということ、男性の客は自宅なので断っているなどの注意事項と耳ツボでどんな効果が欲しいかという簡単なカウンセリングが送られてきた。
子供は苦手ではないし、ありがたいことに女性として生まれ生きている。
問題はどんな効果が欲しいかというもの。
小顔、リフトアップ、ダイエットなどが人気らしい。

そして今日、耳ツボジュエリーをやってきた。
まず簡単に耳ツボの話を聞いてからカウンセリング。
私の悩みはダイエットやリフトアップなどもあったが、一番気になっている二日酔いに効くツボがあれば…と、お願いしてみた。
担当してくれた若い女性は少し悩んでから、肝臓のツボの他に胃腸と代謝に効くツボを合わせてみましょうと提案してくれた。
医療従事者ではないのにしっかりと悩みに向き合ってくれるところに好感が持てる。
耳のマッサージをして温かさを感じる体験の後に消毒をして施術が始まる。

一番最初に耳の内側、穴付近の窪みからつけてもらった。
チタン製の小さな粒がついたシールをちょこちょこと貼ってもらう。
それから外側に私が選んだパーツを何粒かつけてくれた。
この間に何に効くツボがここです〜と説明してくれる。
効能については何回も説明してくれたが、ほとんど覚えていない。
だって、私は施術してもらう側だもの。覚える必要はないと思った。

左右同じツボに貼ってもらったが、デザインは少し変えてもらった。
天然石がついたものや、ビジュー、キャラクターのモチーフなど。
時間にして45分くらいだろうか。
10粒で2000円。キャタクターのついたシールが1枚200円で、合計2200円。
まぁ、お安い。
以前やっていた時は倍くらいかかった気がする。
近所に競合が多いことで相場が幾分か下がったのと、シールの加工技術が進歩して費用が抑えられるようになったのだと推察する。

自宅サロンが多いこと、使用する道具が少ないことから開業に関する初期費用は安いのだろう。
民間資格だが、検定を受けて認定証をもらえるみたいだ。
ネットで調べてみたらわかるが、ざっと30000〜50000円もあればスタートできそう。
1人にかかる時間はおよそ1時間弱。
顧客さえ確保できれば2〜3回のリピートが見込める。
副業として人気なのだろう。
全て憶測、推察に過ぎないが、自宅サロンを始めた人の私生活が小さい子供を持つ主婦なのを見ればあながち間違いではないと思う。

自分もやってみたいと思った。
耳ツボにそこまで心酔するほど魅力を感じたわけではないが、趣味として始めて、希望があれば人に行うというのも楽しそうだ。
若い人のようにインスタをしない奥様を味方につける方法を考えて住み分けしたい。
私が母にそんな話をしたら、やってみたら?というではないか。

実は、私の家は少し特殊で、1つの土地で複数の商売をやっている。
その1つにカッサを使った美容サロンのようなものがある。
身内が不定期でやっているが、全く興味がなかったので忘れていた。
サロン自体はもうあるのだから、そこのメニューに組み込んで貰えば?という話をされて、私は自分の商才のなさに気づく。
耳ツボ、なぜ忘れていたのだろう。
我が家は耳ツボどころかこの土地で40年以上続く鍼灸院なのだ。

鍼灸院とは、国家資格の鍼灸師が鍼、灸、マッサージなどの治療行為を行う。
そもそも本家本元なのだ。
それをすっかり忘れて、2000円払って認定証を掲げたサロンにツボを押してもらったのだ。
愚か。
でも、古の鍼灸院である我が家は美容には全くノータッチである。
お客さんも老人かスポーツ選手がほとんど。
しかし、この看板を利用したい。
あわよくば、鍼灸の知識も取り入れたい。
そんな感じで商売にできないかと考えてみる。

まぁ、熱しやすく冷めやすい私に耳ツボサロンが務まるか怪しいものだが、カッササロンの方にメニューとして取り入れられないか相談だけでもしてみる価値はあるのかもしれない。

※この日記は長文のタイピング練習の一環です。
誤字・脱字があるかもしれませんが暖かく見守ってください。

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