乗り物の操作は情報の蓄積
…さて今回は、乗り物の運転操作について。運転についてはクルマや自転車を想定しています。今回は便宜上、クルマと表現しますが自転車でも同じです。しかしながら技術的なお話はあんまりありません。
クルマに乗り込み、出発するとまず目や耳、手から色んな情報が入ってきます。暑い寒い、エンジンの音や振動、目の前の交通状況など。これらを同時に処理しながらクルマを操作します。今回考えるのは特にその操作の部分。さてどう操作するのでしょう。
私が過去に読んだ「運転術」(昔はこういう本がよく売ってました)や運転の実体験から考えるに、運転とは情報の蓄積と活用、判断だと思っています。
出発して、目の前の交通状況を見て判断し操作する。これの繰り返しで運転は行われます。だから目の前の状況からどれだけ情報を取り込み、備えるかによって事故のリスクは変わってくる。一般的に若年層のドライバーに事故が多いと言われるのはこの情報取り込み量の違いかなと思います。
では目の前から得られる情報とは何?
(1)歩行者→歩いてる、走ってる、シニアカーに乗ってる、渡ろうとしている、バスから降りてるなど
(2)クルマ→自分の車線、対向車、駐車車両、自転車など
(3)道路の状況→工事中、ガードレール、マンホール、道の両側にあるお店や建物
(4)天候→雨や風
(5)サイドミラー、バックミラーで見る
ざっと挙げただけでもこれだけあります。
こうした情報が、移動中、刻一刻と変化していきます。これを見つつ、予測しながら走ることで事故は減らすことができます。自分にとっての予想外があるから事故は起きる。運転が上手いと言われる人はこの予測が多岐に渡っています。だから備えることができ、万が一事故になっても被害は最小限なのです。
問題なのはこの情報の取り込み方になると思います。つまり「見た」という行為は何をどこまで見たのかが不透明なので、なかなか説明しにくい。ここでおすすめな見方は、「クルマの窓越しからも見る」ことです。向かいのクルマが邪魔で向こう側が見えない場合は、向かいのクルマの窓越しに物影があるかどうかを見るのです。また車体のすきま(特に道路きわは靴が見えたりします)からも情報は得られます。別に窓越しに見てもそこに乗っている人のプライバシーの侵害にはならないでしょう。事故になるよりよっぽどマシです。こういった情報の取り方というのもありますので、クルマが多いところを走る場合には気にしてみてください。だいぶ情報量が増えます。
そして情報はあっても1番予測が難しいのが歩行者。次に自転車でしょうか。クルマはあんがい予測しやすい。これは「方向指示(器)があるかないか」でかなり変わります。歩行者には「私はこれから右に曲がります」といった類の意思表示をする義務はありません。義務がないので、ただ歩いているということしか分からない。ここがいちばん難しいところです。だからとにかく歩行者と近い位置になったら徐行するなりしないと危ないです。
反面、自転車やクルマは方向指示をしようと思えば手信号やウインカーなどで意思表示できる状況にありますから、これはやらない理由がありません。周りに自分がどうしたいのかを意思表示することは、周囲に自分の意思を伝え情報として処理され、事故を防ぐことにつながります。
こうした意思表示をお互いが道路上で行いながら交通は成立しています。ですから、歩行者は意思表示をしない分、できるだけ歩道を通り、横断歩道を活用することが事故を防ぎ身を守ることにつながります。
道路を使う者同士、お互いに事故を防ぎ円滑な交通環境を目指したいものです。
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