日本におけるムスリムと非ムスリムの共存
1. はじめに
本レポートの目的は、日本におけるムスリムと非ムスリムの共存について述べることにある。具体的には、日本におけるハラールの取り組みについて調べ、それがムスリムの理解に役立っているか、また、日本独自のハラール基準を作るべきかについて考察する。
第2章では、日本におけるハラールの取り組みについて、第3章では日本での取り組みがムスリムの理解に役立っているか、第4章では日本独自のハラール基準を作るべきかについて考察する。第5章ではムスリムと非ムスリムの共存について、第6章ではまとめを述べる。
2. 日本におけるハラールの取り組みについて
日本におけるハラールの取り組みの一例として、井村屋フーズを取り上げる。井村屋フーズは粉末化設備(スプレードライヤー)において、NPO法人日本ハラール協会の認証を取得している。生産設備だけでなく、原材料から製品に至るまでの倉庫の設置、構内物流もハラール製品作業時には識別表示をするという一貫した管理・運用を実施している。
次にあげる例は、日本の大学でのハラール食品の販売である。2014年度時点で25大学が導入している。ハラール認証を受けたカップ麺などが販売されている。
3. 日本での取り組みがムスリムの理解に役立っているか
日本におけるハラールの取り組みは二つに分けられる。一つ目は、ハラールに対応したものを提供することである。第2章で紹介した例はこれに当たる。この取り組みによって、ムスリムが生活しやすい世の中に変化している。二つ目は、ハラールそのものを啓蒙することである。この活動はムスリムの理解に直接的に役立っている。こうした活動は主に教育を通して行われている。
4. 日本独自のハラール基準を作るべきか
日本の実情に合わせたハラール基準は作るべきではない。なぜなら、宗教的価値観を変えることはできないが、日本で作るものを変えることはできるからだ。具体的には、日本独自のハラール基準では、海外から来たムスリムは生活することができない。宗教に基づいた感覚は強固なものであるため、日本にいるのだから日本の基準に適応すべきというのは不可能である。したがって、製品を作る側が海外のハラール基準に沿った製品を作る努力をするべきである。
5. ムスリムと非ムスリムの共存について
ムスリムと非ムスリムが共存するうえでの選択肢は二つある。一つ目は、非ムスリムが多い共同体でもムスリムの習慣に対応することである。具体的には、通常の学校でもハラール対応の給食を出し、礼拝の時間をとる。二つ目は、ムスリムが過ごしやすい共同体の形を新しく作ることである。具体的には、ムスリムが通いやすい学校を作ることである。この案の問題点は、表面的に問題は解決しているが、根本的に共存はしていないということである。
6. まとめ
日本におけるムスリムと非ムスリムの共存について考察した結果、すみ分けによる表面的な共存か、根本的な共存の二つの選択肢があることが明らかになった。
参考文献
・井村屋フーズ、https://www.imurayafoods.co.jp/safety/halal-certification/?doing_wp_cron=1670488282.3610370159149169921875
(最終検索日2022年12月8日)
・JICA、「今話題の「ハラール」を知ろう!」https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/sekatopix/article0167/index.html
(最終検索日2022年12月8日)