虎罪虎


自分の見ているイメージを見ている虎がいる

それが真実だと思っているけれど

虎の心から生まれ
虎の頭脳のスクリーンに
映し出す像の
材料を作ることができるのは
虎自身
彼以外の誰にもないこと

誰にもできないのに
自分の産んだ色と
自分の産んだ形と
自分の産んだ香りと
自分の創り出した善悪を
目の前の白紙の人間に映写する

ナレーションをつけているのは虎自身であって
そこに映っているものに怯え
その解説に錯乱する
意味づけをしているのも虎本人であって
それを判断しているのも同じ虎であって
それを被害と見做しているのもその虎である

そんなテーブルの上のお皿に
並べられている
デザートの苺やチェリーやアイスクリーム

それに何の罪があろうか

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