添削21本目【ポップな葬式】
今回は、ピンネタが送られてきました。
それでは、さっそくBEFOREを読んでもらいましょう!
【BEFORE】
ピンコント 葬式MC
はいどーもーー
本日お葬式の喪主を務めさせていただきます!
岩鬼と申しますお願いしますー
うわー結構入ってもらってありがとうございますー
ちなみになんですけど、お葬式に初めて来た方ってどれくらいおられます?
あっチラホラいてますね
ありがとうございますー
では、こちらのお葬式の説明をさせていただきます
こちらは参列者によるオーディションイベントとなっておりまして、今から15人の参列者が3分間のお悔やみの言葉を言います。
それを皆さまの投票と後ろにおられるオフィシャル住職の点数と合わせて集計し、上位2人が火葬に進むことが出来ます。
つまり!この葬式は焼き場へ進むための第一歩なんです!!
なお、お悔やみの言葉は3分で3分15秒を超えると鐘が鳴りますその音がこちらです
(ゴング音がなる)
この音が鳴っても失格ではございません。
いい言葉だなぁと思ったら投票していただいて結構です。
投票はお手元にある香盤表にQRコードがありますのでそちら読み取っていただいて3人に投票お願いします
2人でも4人でもダメです
3人に投票していただかないと無効になりますので気をつけて下さい
万が一読み取れないよーって方いらっしゃれば手を挙げていただければ葬儀スタッフが向かいますので
なお参列中はマスクの着用お願いします。
お悔やみの言葉の最中は泣いていただいて結構ですがマスクだけお願いします
それでは始めたいと思うのですが、このまま始めると湿っぽい感じになるので、拍手の練習したいと思います
ご時世的に声出しが出来ないので拍手お願いします
それでは僕が拍手と言ったら大きな拍手をお願いします
はい拍手ー
もっとお願いします!
もっとー!
いいですねー!
いきますよーぱんぱぱぱん!
いいですねー揃いますねぇー
参列者出てきたら今くらいの拍手でお願いしますねー
それでは最後に拍手をしていただいて盛り上がったところで僕がお葬式スタートと言ったら始まります
では拍手〜〜!!!
はい、いきますよー!お葬式スタート!!!
(暗転でハケる)
(明転してから出てくる)
いやー皆さんいい言葉でしたねぇー
それでは投票お願いします!!
泣いてる方もおられたので接戦ではないでしょうか
あっあちらの方手を上げてますね
スタッフの方お願いします〜
さて投票締め切らせていただきます!
今集計してるので結果が分かり次第発表いたします。
なお、上位2人のみの発表です。
ご時世的なこともありますので登場はないのでご了承ください。
個人的には奥さんの言葉はグッときましたねぇー
泣いてる人多かったんとちゃいます?
娘さんのも良かったなぁー
ぜひ2人とも火葬場まで行って欲しいですけどねぇー
あっ!集計の結果が出たようです
では発表いたします!
お悔やみの言葉の結果、火葬場に進出するのは!
(ドラムロール)
1位サブマリン里中!!
2位エメットブラウン!!
以上2人が火葬場に進出です!
おめでとうございます!!
波乱の展開でしたねー
まさかの嫁、子供が落ちて急遽参戦したピン芸人が勝ち上がるのはすごいですねぇー
ではこちらの2人はこの後行われる火葬に参加していただきます。
みなさん長い間お付き合いありがとうございましたー!
本日MCの岩鬼でした!
またお会いしましょうー!
ありがとうございました〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ということで、元の台本を読んでもらいました。結論から言うと、そこそこはウケるでしょうね。このネタ。
特に前半は。
火葬場に進むことができる、とまるで決勝ラウンドに進みます、みたいに説明してるところは、ウケるでしょうね。
ただ、手アカでベトベト、とまでは言いませんが、この手のネタは、既にあるんですよね。
ええ。もちろん僕も考えたことありますし、ほかの芸人が似たようなネタをやってるのを観たこともあります。
思いつきやすいんです。
なので、どこでそれらと差別化するか?みたいなところが重要となってきます。
このネタは、いわゆるパロディの笑いです。
パロディってのは、笑いがとりやすいんですね。
モノマネって、プロットが全然大したことなくても、ウケるでしょ?
それと同じです。
そして、モノマネが“似てなければウケない”ことが当たり前であるように、この脚本は演技力があればあるほどウケやすいです。
お笑いのネタバトルが終わったあとのMCみたいな口調、のパロディですから、劇場や舞台を観にきた経験がお客さんにあればあるほど、共感しやすく、笑いやすい。
そして、演じる側は、そういうお客さんに「いや、そういうMCおるけど!」と納得させないといけない。
このネタは、パロディなのでウケやすいので、あんまり脚本能力がそもそも必要ありません。
なので、まあ、あんまり評価しにくいです。ウケてたら、それでいいし、みたいな感じですね。
ただ、脚本の構成力をそんなに必要とせず、安易にウケるから、これでいいと思ってしまいがちなので、未来のために、一応下記のことは気にしておいてほしいです。
【ウケたとしても、厳しい視点で見る】
これが、大切なことです。他のネタを書く時の構成力も養われます。
さて、今、迷っている部分が僕の心の中にあります。
その迷いの話をする前に、この脚本は、僕がよく言っている次のポイントを満たしていません。
ネタは、【ふざけ倒すのではなく、一応でも、理に叶った大義名分があった方がいい】というものです。
これは、ふざけ倒しているネタです。
ところが、この場合は、成立してるかな?と思ったりもします。(“思ったりもします”という部分が前述した、迷ってる部分です。大義名分を一応、理屈付ける演じ方もあるからです)
ふざけ倒してるけども、ピン芸人であることによって、周りがどんな反応してるのか?という違和感が薄まります。
さらに、パロディであることによって、作者の意図が分かるので、観客側が“割り切って”楽しんで見れます。
こういう、【大義名分はないけど、キャラクターの濃さなどで、なんとなく見れてしまうネタ】のことを、僕は“ギャグ的なネタ”と呼んでいます。
僕もよくやりますから、大義名分がなくふざけ倒してるだけのネタがダメとは思わないです。
変に説明くさい大義名分がないほうがウケる場合もあります。(基本的には理屈から作り始めてほしいですが)
ただ、ギャグ的なネタには弱点があります。
【後半がウケにくい】
そうなんです。後半がウケにくい。
この台本もやや、そうなってるかな?と思いますね。
ギャグなんでね。ギャグって短いでしょ?
結局、出落ち感があるんですよ。最初ウケても、もう、そのあとの展開は「もう、やることわかってんねん」という状態になってますからね。
この脚本でも、【やること分かってんねん】は、つきまとっています。
曲でも、メロディーラインがずっと同じだと飽きるから、半音上がったり、メロディーが違う部分出てくるでしょ?
ちなみに、カラオケの時に歌いにくいから、突然やってくるメロディーが全然違う部分のことを僕は【意地悪ゾーン】と呼んでいます。
起承転結の“転”と言いかえてもいいかもしれません。
この脚本の中に、ちゃんとそういう部分はあります。
ここね↓
【なお参列中はマスクの着用お願いします。
お悔やみの言葉の最中は泣いていただいて結構ですがマスクだけお願いします】
死者に失礼なぐらい、お笑いのMCの雰囲気を作ってるのに、そこは気をつかうんかーい。
ですね。
いや、良いと思います。
ただ!
もっとできるんじゃないかな?
転調部分が、まだまだ薄い。
さて、ここまで、ギャグ的なネタの場合、後半に変調、意地悪ゾーン、起承転結の“転”が必要であるということを繰り返しました。
結論から言うと、ギャグ的なネタのままで笑わせることも、充分可能です。
ただ、“大義名分”を入れるほうが僕の好みなので、どこかで入れてやろうかなと思います。
“大義名分”を最初に入れるのも良し、起承転結の“転”のタイミングで入れるのも良し、です。
オススメは後者のほうですかね。僕はよく使うテクニックです。
ネタを書く初心者に、いや、結構プロでもよく見るんですが。次のようなネタを書く人が意外と多いです。
【設定を前半に全部説明してしまう】
これ、やめてね(笑)。
もっちゃりするし、素人くさいから。
ケースバイケースだけどね。
前振りの説明が長くなってると、「もうちょいスマートにやってくれ」と思ってしまいます。
むしろ、設定が4つぐらいあるなら、二つぐらいは最初に説明しといて、残りの二つはボケとして小出しに出来るやん、という感覚ですね。
まあ色々言いましたが、良い脚本だなあ、とは思ってます。
多少の演技力いりますけどね。
それでは、AFTERを書いてみます。
今回、特に直すところもそんなにないので、転調の部分だけ付け加えます。
というと、すごく評価が高いみたいですが、そうではないです。
前も言いましたが、パロディなんで、評価しにくい台本なんです。
ウケりゃそれでいいって感じです。
自分がやるとしたら、また全然ガラッと変えてしまいますが、今回はオリジナルを尊重します。
さて、ここからはAFTERのネタを観ていただきます。有料にはなりますが、記事を買うか、全体のマガジンを、買っていただければ、読めます。
もっともっと添削の内容を知りたい方には、【個別の記事を購入するよりも、全体のマガジンを、ご購入していただいた方が絶対にお得】です。
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