添削23本目【おじいちゃん二人のコント】
今回は、二人でやるコントのようです。
それでは、さっそく元の台本を読んでくださいませ。
【BEFORE】
(カフェで老人が待ち合わせ、袖から腰のかなり曲がったヨボヨボの老人登場)
A「おお、久しぶりたけちゃん」
B「あぁ、今行くよ」
A「大丈夫かい、まあおれたちも90になるからな」
B「いやいや、すまんすまん、しかしここの注文は難しかったよ、ベンティーだとかなんだとか、訳がわからん」
A「これがスターバックスさね」
B「おれらみたいなもんはナポリタンとかが出てくる純喫茶でいいのに」
A「そういうけどね、新しいものに触れなきゃだめよ」
B「そうかね」
A「で、最近どう?」
B「どうって、まあ毎朝めちゃくちゃ早く起きて、新聞読んで、飯食べて寝て、めちゃくちゃ早く起きて、新聞読んで、飯食べて寝て、カラスよりも早く起きて、新聞読んで」
A「あぁもういい」
B「そんな感じだよ」
A「あのねたけちゃん、さっきも言ったけどね、新しいものに触れなきゃダメ。」
B「うーん。新しいこと?」
A「うん、今おれはキャンプ用品を集めててね、」
B「はぁ」
A「おっきい肉を焼けたり焼きそばを作れたりするコンロとかね、たけちゃんもかったほうがいいよ」
B「年金暮らしで無駄遣いは出来ないよ」
A「それがね、俺の紹介だから安いんだよ」
B「そうなの?」
A「で、たけちゃんも他の友達にこの商品を紹介すると、紹介料がもらえてね、」
B「うん…」
A「でその紹介した友達がさらにどんどん色んな人に紹介してこの商品が伝れば伝わるほど…」
B「…90が90にねずみ構するなよ!」
A「いや、ねずみ構じゃなくて」
B「完全にそうだったろ、老い先短いのにマルチ商法のピラミッドの上に行けるわけないんだから、やっちゃだめだよ」
A「いやでも、色んな友達に紹介すれば…」
B「無理じゃん、おれたちの友達ほとんど死んじゃったじゃん」
A「とにかくこのバーベキュー関連の商品は良い商品で…」
B「健康食品とかにしなさい!せめて!
バーベキューコンロとか言われてもこっちは生姜焼き2枚でお腹いっぱいなんだよ!」
A「ご、ごめん…」
B「あとさらに一個追加で言いたいことあるんだけど、言い負かされすぎね、さっきから!
ねずみ構やるならもっと流暢に!言葉巧みにやりなさい!」
A「いやでも、、。」
B「…心折れるなよ〜ジジイの心折れてるところ見たくないよ〜」
A「わかった。ごめん。たけちゃんの言う通りだね。他にもビッグダディが使ってたっていう精力剤があったんだけど、それも捨てるわ。」
B「それは詳しく聞かせて」
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【ポイント解説】
というわけで、元の台本を読んでもらいました。
読んだ感想としては、厳しくカウントすると、ボケが4つしかないと思いました。
1 90が90にネズミ講する
2 ビッグダディの使ってた精力剤のくだり
3 心折れてる
4 商品がバーベキュー
4つのボケ自体は良いと思います。
しかし、ボケ数の少なさは大問題です。
ボケの数え方をもう少し甘くしてカウントを増やしたとしても、やや少ないかなと。
送られてくる台本で、こういう台本は多いんです。もっちゃりしてる印象を受けてしまいます。
やりとりが長く、ツッコミ口調でツッコめるところもあるから、ボケ数が少ないことに気がついていないのかもしれません。
さて、今回ちょっと“時短”というものについて語りたいと思います。
そもそも僕は、“ヨボヨボのおじいちゃん二人を登場人物にするコント”を書こうとあまり思わないです。
なぜなら、二人とも喋るのが遅いから、ボケを詰めにくいからです。
いや、できるんですよ。
和牛が年寄り二人のネタをやってるのを観たことあります。当たり前ですが、ちゃんと面白かったです。
だから、出来ない設定ではないし、ダメなわけじゃない。
ただ、年寄り二人って印象づけるため最初はゆっくり喋ってても、段々と、しれっと早く喋ってたり等、早口になるのをなんとか誤魔化したり、工夫が必要になってきます。
“時短”を相当意識して書かないといけません。
なのに、この台本は、おじいちゃん二人なのに、登場して「こっちじゃ」みたいなところから、始まってる。
現場のコントでは、着席まで移動する時間があるから、読んでるよりも、さらに時間がかかるわけです。
要するに。
ヨボヨボってことが最短でわかればいいでしょーに。
待ち合わせして、どっちがどっちを誘った、とかが重要だと思ってるとしても、セリフの中で上手に入れられるでしょ。
わざわざ着席までお客さんが観る必要があるとは思えないんです。
90が90にネズミ講するっていうボケはいいと思います。
ただ、それは入り口であって、もっともっと展開がほしいのに、もっちゃりした時間の流れのせいで、気がついたら、オチになってしまってます。
極端な話、時短だけを究極に意識したら、こうなります↓
(明転したら、おじいちゃんの服装の二人が喫茶店の向かい合わせにいる)
A「(口をモゴモゴさせたあと)いや、90歳が90歳に、、、、ネズミ講しかけてくんなよ!」
B「なんじゃって?」
A「90歳が90歳にネズミ講しかけてくるな!って」
B「なんじゃって?」
A「ほら、無理があるんじゃ!耳が遠い奴が、まだアンタよりは耳がええワシに」
B「ふん」
A「ネズミ講で!」
B「ふん」
A「補聴器を売ろうとすな!必要なのはどちらかと言うとお前じゃ!」
…
とまあ、こんな感じです。
「90歳が90歳にネズミ講しかけてくんなよ!」はボケとツッコミが一体化したセリフとして優秀なので、もうこのセリフからいきなり始めてもいいぐらいです。
上記の簡単な脚本では、かなり聴き取れてないジジイなので、補聴器にしてしまいましたが、キャンプ用品でもGOODです。
ボケのほうが、詐欺内容をくどくど説明しなくても、「しかも、なんでキャンプ用品なんじゃ!」でかまわないです。
これも、“ボケとツッコミが一体化したセリフ”なんです。
僕がよく使う“時短”のテクニックのひとつで、“事後または途中からはじめる”というものがあります。
たとえば、なんですけどね。
(明転)
おばあさんが川で洗濯をしている。
↓
桃が流れてきて驚く。
↓
桃を持って帰る。
↓
おじいさんが帰ってくる。
こんな描き方をしてる人が多いんです。
無駄でしょ?
下記のようにすればいいんです。
(明転したら、おじいちゃんが腕を組んで、おばあさんと桃を見つめてる)
「川からでっかい桃が流れてきたって、もっとマシなウソないんか?」
これでいいんです。早いでしょ。
時系列の一番最初からバカ真面目に描く必要なんかないわけです。
“時短”のテクニックは他にもたくさんあります。
その中の一つで、最も重要なものに、“ボケながら説明にもなっている”があります。
大事なポイントなので、もう一回言います。
“ボケながら説明にもなっている”を意識してください!!
明転した途端におじいちゃんであることは分かります(おじいちゃんのかっこしてるんでしょ?)
なので、ゆっくり着席する必要はないんです。
あとで、めっちゃ早く走ったりとか、フリになってるなら、別ですよ?
着席しながら、何か会話でボケてるならいいんです。ついでに座ってるだけなんで。
意味があるならいいんです。
意味が明確にないならば、時短は意識してください。
時短を意識したら、尺は余りますよね?
上記のネタ。
そこで、展開を考えたり、色々できるんです。
いつも、辛口のようですが、元のボケ、悪くありません。
なので、活かしていきながら、時短を意識してネタを書きます。
時短に関しては、それだけで一冊の本が書けるぐらいのテーマですので、またの機会にまとめようかなと思います。
さて、ここからはAFTERのネタとポイント解説を観ていただきます。有料にはなりますが、記事を買うか、全体のマガジンを、買っていただければ、読めます。
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