迫真BB部第8話解説&まとめ
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はじめに
こんにちは、淫ク☆投稿者のさいとーです。この解説シリーズも気づけば終盤・・・今回は全話の中で一番衝撃的な展開(たぶん)のある第8話「辿りゆく道」の解説をしていきたいと思います。
正直、この話を書きたかったがためにこのシリーズを作ったと言っても過言ではないほど大切な回です。それでは、よろしくお願いさしすせそ。
※今後の展開に繋がる重要なポイントや明らかな伏線となる場面は敢えて解説していません。ネタバレなしで読むことができます。
解説/小ネタ
化け物からSIKちゃんを救出したKMRとMURは、幸月会に捕まりそうになった所を関西チャラ男たちに助けられます。彼らもまた田所たちの同級生であり、第2話では経営している銭湯に現れたBBMを倒してもらったことでBB部に恩がありました。
幸月会に見つからないよう、しばらくチャラ男たちの自宅に身を潜めることになったKMRたち。目を覚ましたSIKちゃんは「AKYS先生はどこに行ったのか?」と尋ねます。
KMRたちは恐ろしい真実を目の当たりにしていました。自分たちがBBMからBBを回収しているように幸月会総統はAKYS先生のBBを奪ったのです。
それは、化け物だけではなく自分たちもBBという謎のエネルギーを持っていることを意味します。BBを全て奪われたAKYS先生は八卦路の中へと消えてしまいました。
SIKちゃんを悲しませたくないと思ったKMRたちは、彼女に「AKYS先生は大丈夫だ。」と嘘をつきます。
この恐ろしい真実から"幸月会は計画のためにBBを集めている"ことに気づいたKMRですが、それ以上の手がかりが掴めずにいました。虐待おじさんや九州に向かった田所たちとも連絡が取れなくなってしまった中、ふと彼のスマホに電話がかかります。
それは、以前連絡先を交換していたCTV☆のネクデカプロデューサーからでした。「BBについての情報を手にいれた。」と息巻くネクデカさんの言葉に望みをかけ、KMRは一人でCTV☆本社へと向かいます。
(ちなみに、一瞬映るこちらのJINEからはBB部らしいやり取りを見ることが出来ます。くだらなくて大好きです。)
田所とRUは、ついに目的地であるAKYS先生の旧友、ヒゲクマ調教師の元に到着します。二人が幸月会に追われていることを知ったヒゲクマ様は、彼らを家に招き入れてアイスティーを振る舞ってくれました。
BBに関する講義はこの後行われるようです。いよいよ、謎のエネルギーの正体が明らかになろうとしています。
チャラ男邸に残ったMURは「オーロラを観測したい。」と言うSIKちゃんのために望遠鏡を組み立てていました。
前々からニュースでも報道されていた”日本でも見られるオーロラ”はここ数日でピークを迎えるようです。(オーロラを見るのに望遠鏡はいらないだろ!って野暮なこと言うのは)やめてください!(辛辣)
BBMや政府によって破壊された絶望的な世界ーふと訪れた自然現象を希望のメタファーと重ね合わせ、人々は893年ぶりとも言われるこのイベントを心待ちにしていました。
※第7話で望遠鏡を用意していたゆうさくやSIKちゃんもその一人です。
ここは、チャラ男邸にやってきた相撲部の二人とMURたちが話し合いをしている場面です。肉おじゃは「明後日の早朝から幸月会のスピーチが行われる。」という情報を教えてくれます。
どうしても幸月会の計画の手がかりが見つからなかった場合・・・BB部はこのスピーチの最中、彼らの本拠地である国会議事堂に侵入する作戦を立てていました。
※また、ここで肉おじゃが「幸月会のトップ・・・宇月氏のスピーチ」と明言したことにより、幸月会総統の正体はUDKという衝撃的な事実が明らかになります。(他にも第6話では幸月会に心酔するMOTが幸月会総統=UDKの可能性を示唆していました。)
なぜ、BBMによって殺された彼女が生きているのか?なぜ彼女が”悪の組織”のトップになったのか?謎はさらに深まります。
BBの真実
多くの門下生が集まる中、ヒゲクマ調教師はBBについての講義を始めます。
BBーそれは、全てのモノが持っているエネルギーでした。(BBMだけではなく自分たちもBBを持っているというKMRの考えは当たっています。)そして、この世に存在する全てのBBが保存されている場所がニコニコ本社だったのです。
※これは、本社に保存されているBBが常に全てのモノに対して供給され続けているということです。クラウドコンピューティングのようなものをイメージするとわかりやすいかもしれません。
※そしてこれは、あらゆるデバイスからアクセスができるインターネット=二次元の世界を表しているようにも感じられます。
またヒゲクマ様は、「ニコニコ本社に下手に触れてしまった場合”オチ”という爆風が発生してこの世界は滅びてしまう。」と恐ろしいことを言い出します。これは、BCO時代に閉鎖されたニコニコ本社で実験を行う幸月会への批判/警告と捉えることができますね。
※オチという爆発ではありません、爆風です。
一方、CTV☆に到着したKMRはネクデカさんが発見した”BBのエキスパートへのインタビュー動画”を見ていました。
ビデオに登場したsyamuと名乗る人物は、増加するBBMへの対策としてニコニコ本社を爆破するという案を挙げていました。しかしすぐに、”オチ”が起きるためこのやり方は現実的ではないと否定するのでした。
そのとき、全ての謎が繋がったような気がしました。点と点が結びついて、一つの恐ろしい可能性が見えてきました。しかし、残された時間は残りわずかです。
ービデオを見ていたKMRは幸月会の計画の真相にたどり着いたのです。
立て続けに衝撃的な事実が明かされる中、ヒゲクマ様の門下生GOが「この中に幸月会の者がいる。」と言いました。
たちまち、部屋の中は混乱に包まれます。幸月会を倒そうとする田所に対して、RUはこの場から逃げるように言いました。
困惑しながらもRUに続いてヒゲクマ邸から逃げ出す田所。しかし、アイスティーに仕込まれていた催眠薬によって二人はその場に倒れ込んでしまいます。
RUの過去
幸月会の幹部RUー彼女に課された使命は、田所に近づき彼の持つ膨大なBBエネルギーを奪うことでした。
田所たちBB部を裏切り続けたRUは自分を責めて黙り込んでいました。自分の命を狙い、大切な友人の命を奪った組織ですー田所は、心のどこかで間違いなく怒りや憎しみを感じていたでしょう。
しかし、彼はRUに対して「お前の過去について教えてくれ。」と言うのでした。
BCOによる事件から1年が経っていました。UDKの復讐のため化け物を倒す毎日ー彼女は、大切な友人のことを守れなかった過去の自分を憎み、必死にそれを塗りつぶそうとしていました。
それは、孤独な戦いです。誰も彼女の味方をする者はいません。気づけば、狂ったようにBBMを倒す彼女は周りから”人型BBM”として恐れられていました。
段々と分からなくなっていました。どこに向かって歩いているのか?何のために戦っているのか?ーそして自分は、誰と戦っているのか?
自分の輪郭がぼやけて分からなくなる。
これが、自分の持つBBのシステムによる異常なのか、それとも心の異常なのかー彼女にはわかりませんでした。
ある日、RUはBBMに襲われそうになっていた子供たちを助けます。しかし、化け物は思いの外手強くそのうちの一人が捕まってしまいました。自前のナイフを持って彼女を助けようとしたその瞬間・・・RUの背後から叫び声が聞こえました。
彼女はそこに二つの過去を見ました。化け物に下半身を喰いちぎられる子供には血を流しながら叫ぶ義父の姿が、そして“人型BBM”から娘を守ろうとする父親の姿が重なりました。
ー動いたら撃たれる。
気づけば、RUは子供を助けるために走り出していました。誰も味方がいないことなんて分かっているのに。誰のために戦っているのかも分からないのに。過去の自分から逃げようとしているにも関わらず、UDKを助けられなかったあのときと何一つ変わっていない。
誰かに手を差し伸べようとして、傷つける。そして傷つく。いつまでも叶わない物語を夢見て、いつの日かの約束に縛られる。
彼女は・・・空虚で、卑屈で、それでいて強がりな自分と戦っていました。
※この手に入れた缶ビールを足で踏み潰すカットは田所とRUの対比になっています。第3話では、自分の周りから誰もいなくなった田所が缶ジュースを踏み潰す画面が一瞬映っています。
そんなとき、RUはUDKと出会います。3年ぶりに再会した親友は変わり果てていました。世の中の全てを憎んだような目をした彼女は、計画の一環としてRUに”田所浩二のBBを奪う”という指令を与えます。
RUは躊躇っていました。BBMを倒してBBの知識を持っていたRUは”BBを奪うことはその人の命を奪うことに等しい”と知っていたからです。
そんな彼女に向けて幸月会総統は「RUも変わることができれば、私たちはまたあの頃のような関係に戻れる。」と言うのでした。
衝撃的な真実を明かされた田所。それでも、彼は”何度も自分の命を救ってくれた”RUのことを責めませんでした。
結局、RUは変わることができなかったのかもしれません。しかし・・・田所が惹かれていたのは、ずっと一人で戦いつづけてきた、そんなありのままの彼女でした。
「塗りつぶそうとして、結局変われなくても・・・RUはRUのままだ。」
彼は、RUが逃げようとしていた自分自身を認めてくれた唯一の人間でした。
ヒゲクマ様に捕まり牢獄に入れられていた二人の元に救世主が現れます。それは、何処かへと姿を消していた平野店長でした。
彼は、第5話で虐待おじさんの言っていたように家を飛び出してから、幸月会の手がかりを追って旅をしていました。
KMRから連絡をもらい、幸月会の回し者であったヒゲクマ調教師を倒した店長は二人を救い出すと「今から急いで東京に戻る。」と言います。
KMRは幸月会の計画を阻止するための作戦を考案していました。もちろん、それには田所たちの力が不可欠です。
世界にオーロラが現れました。人々は思い思いに、893年振りに染め上げられた、ただ一つの空を見上げています。
これは、希望に満ちた何かの始まりなのか、それとも何かの終わりなのかー誰一人として知る者はいませんでした。
BB部を語る〜良かった点について〜
さて、今回からは完全に自分のためだけに・・・この作品の良かった点、悪かった点、そして解説では書けなかった伏線などをまとめた“BB部を語るシリーズ”を始めようと思います。第一回目となる今回は、作品全体を通して良かった点をまとめます。
※これは、シリーズを作り終えた感想や反省/自分が見返した際の備忘録として書いています。(つまり、有用なことはほとんど書いて)ないです。
①特徴的な作風
他のBB劇場にないようなオリジナルのスタイルを貫くことができました。地の文ではなく完全にセリフのみでストーリーを進めたり、キャラクターに特徴を与えて個性を出すやり方は斬新で面白かったと思います。
②プロットと伏線
3年という長い時間をかけたこともあり、シリーズ構成やプロット作りを丁寧に行うことが出来ました。謎の提示や伏線の回収なども、少し伝わりづらい所はあっても全話順を追っていくと分かりやすいものになっているのではないでしょうか。(どうだろう?)
※初期のアイデアから展開や細かい設定などをどんどんとブラッシュアップできたのも良かったと思います。
③一貫したテーマ/群像劇のセカイ
この作品では、敢えて全体を通しての明確なテーマを与えていません。それぞれのキャラクターの視点だけ物語があり、その分色々なテーマが存在しています。
つまり・・・めちゃくちゃ偉そうなことを言いますが、この作品を見て何を感じていただくかは皆さんの自由です。
いじめや暴力は・・・やめようね!と感じるのか、作中で何度も強調されていた正しさとは何かを感じるのか。
RUの視点から自分を受け入れることの難しさを知ったり、田所の視点からボーイミーツガールの物語を楽しんだりーUDKの目線からクソみたいな世の中を憎んでもいいでしょう。この物語の主人公はUDKなんですから。
そして、この考えを第6話でゆうさくが言っていた”意識の違いによって一人一人が全く別のセカイに暮らしている“という物語の舞台設定として作品に落とし込んでいました。
※その中でも“BB部と幸月会の対立”や“田所の心境の変化=成長”など直感的に分かりやすい内容で話を進めることが出来たのも良かったかと思います。
④空気感
この“田所たちの群像劇”と第5話以降の“謎の組織に支配された日本”という雰囲気を組み合わせて、一つの独特な世界観を作ることが出来ました。
どこまでも広がる絶望的な世界ーしかし、そんなディストピアを受け入れて前に進もうとする者たちを包み込む空気、そんな雰囲気を感じてもらえると嬉しいです。
淫夢くんを探せ!
さて、今回淫夢くんはどこに隠れていたでしょうか。いや、ダメだ。こんな淫獣を探してたら日が暮れちまう!
正解は・・・こちら!
ヒゲクマ邸で行われた講義の最中、立教デュオの後ろに隠れていました。(TDNはニュースキャスターの役で登場している)
おわりに
以上、第8話「辿りゆく道」の解説でした。解説では書けませんでしたが、イニ義さん率いる893組が幸月会を倒すために参上したり、久しぶりにCTV☆のキャラクターたちが登場したり色々とアツい展開もある回となりました。
はじめにも言いましたが、この回にはかなり力を入れています。特に田所とRUの牢獄のシーンではこだわった演出をいくつも入れているので、内容と合わせて注目してもらえると嬉しいです。それでは、次は第9話の解説で。フラッシュ!