迫真BB部第10話解説&まとめ
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はじめに
こんにちは、淫ク☆投稿者のさいとーです。今回は、いよいよ最終話「写し出す世界/D.C.」の解説をしていきます。今回も例の如く長い記事になりそうなので、さっそく本編に入りたいと思います。よろしくお願いさしすせそ。
※今後の展開に繋がる重要なポイントや明らかな伏線となる場面を解説します。ネタバレがあるので注意してください。
解説/小ネタ
スルシマ作戦は予想外の事態に見舞われていました。幸月会の本部ー国家議事堂へ侵入した田所とRUですが、BB展開装置の起動モジュールを見つけられずにいました。世界の崩壊へのカウントダウンは刻一刻と迫っています。
そんな中でも、ニコニコ本社前にいるKMRたちは田所のことを信じて戦い続けました。しかし、KMRはここである異変に気づきます。ニコニコ本社にBBを発射するであろう展開装置がなぜか上を向いているのです。
二手に分かれて展開装置を探す田所とRU。しかし、二人は幸月会最強の幹部HNSに捉えられ、演説が始まろうという国会議事堂の前まで連れて行かれました。
自分たちに残された道は、幸月会の手で滅びゆく世界を眺めるだけなのか。
作戦失敗の合図を受けた後も、KMRや肉おじゃたちはまだ希望を捨てられませんでした。彼らは、本社が幸月会によってBBの中に入れられる一瞬のうちに複製を行うというあまりにも無謀な賭けに出ようとします。
KMRとMURが本社に向かって走り出したその時、眩い光が二人を包みます。次に、彼らが見たのは八卦炉零式の中に保存されていた田所の記憶でした。
二人は本当の彼を知りませんでした。両親を失い一人で妹を守る兄の姿、人生の支えであった恋人を失った苦しさ、そして仲間と歩んだ旅路・・・零式を通して、KMRたちはその全てを見ました。
幸月会の本当の計画と田所の覚悟を知ったKMR。「そして確信したんです。僕たちの読みは間違っていたと。」彼は仲間たちに向かってそう言うと、最後の作戦を立てました。
世界の終わりを防ぐ最後の望みーこれが実行できるのは田所だけでした。KMRはこの作戦を彼に伝えるべく肉丸からスケッチブックを受け取ると、そのメッセージを肉おじゃに託します。
幸月会の本当の計画が始まります。世界を崩壊させるという目的はBB部の予想通りーしかし、彼らが複製するのはニコニコ本社ではありませんでした。
BB展開装置が空に向かって一斉にBBを放出しました。まもなく空に現れた青、緑色に輝くオーロラはBBの天井へと姿を変え、この世界はBBの中に入れられたのです。そして、UDKの叫び声と共に発射されたミサイルは天を貫き、ニコニコ本社を爆破しました。
世界は狂気に包まれていました。BBの供給元を失った世界は崩壊を始め、BBの量が少ないものから順に消えていきます。幸月会の幹部を含めて、人々はここで初めて幸月会の本当の計画・・・UDKの企みを知ったのでした。
混乱に乗じてこの場から逃げ出そうとする田所とRUの前に立ち塞がったのは、やはり幸月会幹部HNSでした。
しかし、彼女は思いがけない行動をとります。二人のことを見逃したあと、彼女は自らのボスであるUDKの居場所を告げたのでした。
彼女はもう幸月会幹部ではありません。BBMの憑依から逃れたHNSーその目はかつて同級生のことを憎み虐げた、冷酷な少女のものでした。
次々に姿を消す人々・・・崩れゆく世界。ついには、KMRや田所の元まで八卦炉零式を届けた肉おじゃまでもがBBを失い、この世界のシステムに飲み込まれました。
田所はRUに向けて「零式に保存されている自分のBBを展開してくれ。」と頼むのでした。
セカイの記録
宇月幸成ー幼い頃に大切なものを全て奪われた彼女は、”特別”を演じ続けていました。周りの者全てを、そして自分自身を欺き・・・幸月会という正義の仮面を被った組織を作りました。
理想の世界を描くのに協力する者は誰もいないーしかし、その逆はあまりに簡単でした。そして今・・・彼女はその望みを叶えました。
幸月会は、決して闇夜を照らす月ではありません。それは、集まってきた者たちを騙す偽りの光なのでした。
琴乃れうー自らの嘘によって世界は崩壊していました。そして彼女は、嘘の理由であった親友さえも殺してしまいます。
信じてきた道がこの結末に続いていたのなら、自分は世界の反逆者なのだろう。悔悟の念に責められた彼女は、自らの命を断とうとします。
田所浩二ー彼が思い出した記憶は、絶望そのものでした。宇月と共にBCOによって人体実験をされていた幼少期。自分を守るために奔走し、追い詰められた父。全ての絶望を忘れさせるために記憶を奪い、姿をくらませた母。
しかし、そんな絶望を前に田所が感じていたのは愛でした。常に理不尽という荒波に流されていた人生で、自分は確かに誰かに支えられることで前に進んでいた。
そして今・・・目の前にいる誰かが絶望の淵にいるのなら、今度は自分がそれを支える番なのだと、彼は確信しました。
「今のお前は、未来の自分に向かって胸を張れるのか!?」
八卦炉に入っていたスケッチブックを通じてKMRからのメッセージを受け取った田所は、最後の作戦を始めます。
それは・・・複製された世界を概念のBBMだと仮定し、これを倒して”歪み”を修正することで元の世界を取り戻すというものでした。
しかし、これはあくまでKMRの仮定から成り立つ作戦です。成功する確率は極めて低いーそう分かっていても、田所は複製された世界へ向かいました。そんな無謀さというのも、RUが彼に教えてくれたものの一つでした。
作中でも説明されていますが・・・田所たちの住む世界とは違い、ニコニコ本社は神々が作り出した高次元の結晶です。
莫大な量のBBが保存されていたであろう三次元の広大な砂漠や、宙に浮かぶ謎の正六面体からは、最深部に行くにつれて次元が曖昧になっていることが分かるかと思います。
全てを思い出した彼は、UDKの描いたこの世界を受け入れていました。そして・・・彼女が最後まで見つけられずに投げかけた、あの日から探し求めていた問いに答えます。
八卦炉零式ーその内部に保存されているBBはニコニコ本社に依存していません。そして、RUの意思によってこの中に残されていた田所のBBもその例外ではありませんでした。
新しく生まれた世界で・・・彼は遠い場所で見つけた大切なものを抱きしめて、再び歩き出します。
BB部を語る〜伏線と演出〜
最終回となる今回は、作品全体の演出/解説では書けなかった伏線をまとめたいと思います。そういう意味では、今回は完全なる自分語りではなく、少しは面白いものになっているかもしれません。もちろん、なっていないかもしれません。
※これは、シリーズを作り終えた感想や反省/自分が見返した際の備忘録として書いています。(つまり、有用なことはほとんど書いて)ないです。
①オーロラの伏線/もう一つの世界
このシリーズ最大の伏線は、紛れもなく”第1話から登場していたオーロラの正体が幸月会の集めていたBBだった”というものでしょう。
そして最終話「写し出す世界」では、UDKの思い描いていた一つの絵が完成します。世界そのものが複製されるのです。
こうして生まれたもう一つの世界ですが、これを示唆する仕掛けというのも作中に散りばめられています。
例えば、第7話前編「Nobody Knows」では、ゆうさくの部屋にKMRの最後の作戦に直結する考え”概念のBBM”に関するレポートがありました。
また、第2話「思いを馳せる者たち」では黒板に二元論に関する内容が書いてあります。現実世界である”現世”に対するものとして存在する永遠の世界”常世”の考えは作品の根幹をなす隠れた要素でした。
また、これはただ幸月会によって世界が複製されることを表しているわけではありません。
田所によって新しい世界が作られた物語の最後には、かつて存在した世界ー田所が絶望の中で仲間たちと出会い歩んできた世界というのも、彼の心の中で永遠に消えることのない”常世”としての意味をなしているのです。
それを暗示するものとして、一枚の画像を載せておきます。これは、第1話「アウフタクト」にて田所とRUと出会った場面で一瞬流れるカットです。二人が出会ったその瞬間から、世界の分岐が始まり”常世”が生まれていたのかもしれません。
②八卦炉の伏線
八卦炉にはいくつかの機能がある・・・ということはみなさんご存知だと思いますが、その一つ一つが伏線になっていたことをまとめてみます。
まず、基本的なBBMからBBを回収するという機能は”RUが田所からBBを奪っていた”という重要な出来事につながっています。
BBの展開=BBそのものを使用する、という機能は”幸月会が集めていたBBで世界を覆い尽くす”という結末に直結しています。
最終話にて、田所は昔RUが「BBそのものを使用することは、八卦炉の一番恐ろしい機能」と言っていたことを思い出します。
BBを展開する行為は、そのBBを持っていたモノの消滅を意味します。つまり、展開装置が空に向けて一斉にBBを放ったその瞬間、無数の命が奪われいたのでした。
これを踏まえると、第2話「思いを馳せる者たち」でRUが言っていた謎のセリフの意味も分かるかと思います。
八卦炉でキャラクターを呼び出す機能は、BCOがBBMの軍事利用のために開発したもの。複製機能は、世界が複製される伏線になっていました。
※幸月会は何らかの物体を複製した後、そのBBを集めれば人間からBBを奪う必要はないだろ!いい加減にしろ!という意見もあるかもしれませんが・・・これは複製に使うエネルギーの総量が得られるBBを上回ってしまうため、効率的ではありません。
③見切れる演出とセカイについて
実は、この”迫真BB部シリーズ”では全話を通して一貫してきた演出がいくつか存在します。その代表的なものが、キャラクターが見切れている演出です。(主にキャラクター二人が横並びの時に見られるものです。)
これは、近づいているように見えて心の距離が離れていること、相手が本当に考えていることはわからないということを表していました。
そして、RUが自らの過去を全てを明かした後・・・二人の心の距離は近づき、フレームはキャラクターの全体を写すようになります。
演出の常套手段とも言えるこのやり方ですが、これは作品のテーマの一つである”一人一人が別のセカイの中で暮らしている”という考えにつながっています。
他者というのは常に曖昧で・・・信じたり、裏切ったり、相手が本当に考えていることは分かりません。それでも、二人はそんな曖昧さを受け入れて、互いを認め合うことで前に進んできました。
それと同様に、この記事で解説してきた内容も全てが正解とは限りません。前の記事では、作品を見て何を感じるかは皆さんの自由とか生意気なことを書きましたが、作者自身も本当に伝えたかったことを全て書ききれたとは思っていません。(まだ解説していない伏線も山ほどあります。)
ですが、こんなクッソくだらない淫夢動画を通じてでも・・・見てくださった皆さんの心に少しでも何か響くものがあれば、それは投稿者冥利に尽きるというやつでしょう。
淫夢くんを探せ!
さて、最終回となる今回・・・淫夢くんはどこに隠れていたでしょうか。見当たらないっ・・・いや、本当に隠れていたのだろうか?もしかしたら、隠れていないのかもしれない。
正解は・・・こちら!
世界が複製されて崩壊が始まる中・・・国会議事堂の前に隠れていました。こんなの誰が見つけられるんですかね?
おわりに
以上、第10話「写し出す世界/D.C.」の解説でした。衝撃的な展開の後、田所は自分の道を信じてこの物語を終わらせました。新しい世界で、BB部のメンバーはそれぞれの道を歩んでいくことになります。
今回は最終話ということもあり、一つ一つの演出やバトルシーンには出しきれる技術の全てを注ぎました。ずっと編集技術には自信がないと言ってきましたが、今回はぜひ内容と合わせて映像も楽しんでもらえると嬉しいです。
長らく続けてきたこの解説記事も今回で最後になります。正直なことをいうと、動画を投稿するまでこの記事を書くつもりは全くありませんでした。
しかし・・・実際に視聴者の皆さんにコメントを貰ったり、自分でも動画を見返してみると、分かりずらい所がまだまだ沢山あるのだと気づきました。
正直、作者が自分自身の作品の解説をするというのはメチャクチャ屈辱的なことです。ですが、この失敗もいい経験だと捉えて今後さらに面白いものを作っていきたいと思っています。
読みづらい箇所もあったかもしれませんが、最後までクッソ長い記事を読んでくださりありがとうございました。それでは最後に。
近藤大輔ー!近藤大輔見てるかー!?中居さんありがとう!フラーッシュ!