熊本でのプロジェクトマネージャー
大都市で計画を進める場合には、プロデューサーやディレクター、マネージャーにアシスタントなど、細かな役割を持った人たちをチームとして計画に取り込むことができる。だが地方都市では、そうはいかない。
専門家が多くて・・・
専門性を磨きあげたスペシャリストは心強い。要望について、深い知見から提案を行なってもらうことができる。
一方で、専門家たちをブレーンにつけプロジェクトに挑んでみると、意外に歯がゆい思いをした人は多いのではないだろうか。これは非常にもったいないと思う。
実際に計画者から聞いた言葉は、このとおりだ。
1.専門家が怖かった
2.専門家と意思疎通ができなかった
3.専門家が怒っていた
ではなぜ、こういったことになったのか。
それは、言葉が通じなかったからである。
関係性1
地方では、計画者本人が専門家に依頼することが普通である。僕自身も、店舗デザインの立場であった際、計画者本人から指示を受けながらデザインを行ったことがある。
それ自体は悪くはないのだが、図のように計画者本人に各専門家が色々と意見を出してきた場合、意見を「指示」ではなく「アドバイスの1つ」という受け止め方をしなければならない。これを、「指示」と受け取ってしまった場合、どんどん計画が狂いだす場合がある。
各専門家は、自分の知見から正しい意見を言う。だが、各専門家は、他の専門家の視点も考慮して意見を言うことは少ない。それはプロとして正しいと思う。だが、計画者の人は、一人一人の意見に耳を傾けた結果、全体としてチグハグな計画になっていく。計画が進むほど、取り返しがつかなくなっていき専門家は離れていく。
もちろん、この計画の際は店舗デザイナーとしてではなくプロデューサー的な視点から意見を言わせていただき全体の調整を図ろうとするが、<建築の人には分からないでしょ>という先入観が働いたのだろうか、僕の力量不足も働いて意見を聞いて頂くには至らなかった。
プロジェクトマネージャーの役割
建物や販促などが必要となる計画において、地方都市におけるプロジェクトマネージャーの役割は、こうだと考える。
1.綿密なヒアリング
2.コンセプトワーク
3.関係者全員の通訳となる
計画者の想いを形にしていくことがプロジェクトを遂行するということである。プロジェクトを遂行するにあたり、専門家にいろんなアドバイスをもらいながら、段々と良いプロジェクトへと成長していくのが本来の姿だ。
計画者の人は、アイデア・情熱・オープン後の仕組み作りに熱量を注いで頂き、建物やWEBなどについては少し距離を置きながら接していくのが良い結果を生むと実感している。傍観者になるのではなく、少し距離を置いて他人事のような目線で計画に携わるのである。
建築やWEBなど、本来の業務(飲食店や物販店など)とは離れた専門知識が必要となる場合は、無理に直接コントロールしようとせずプロジェクトマネージャーが通訳となり計画者が俯瞰した目で計画の修正に指示を出す。そのやり方が、結局一番うまくいったような思いがあります。
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