『日本人論の危険なあやまち 文化ステレオタイプの誘惑と罠』

『日本人論の危険なあやまち 文化ステレオタイプの誘惑と罠』

著者:髙野陽太郎

出版社:ディスカヴァ―・トゥエンティワン(ディスカヴァー携書)

発行年:2019年10月15日

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 帯にて。

「欧米人は個人主義」「日本人は集団主義」それは、大いなる幻想/科学的な研究によって日本人論の常識が覆る

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 自分がいかに文化ステレオタイプに毒されていたのか分かりました。本書は、日本人論について様々な角度からの検討を重ねています。(事例ではなく、科学的な方法で。)それだけでも十分興味深い言論が繰り広げているわけですが、そこから更に一歩踏み込んで「なぜ通説は揺るがないのか」や「文化ステレオタイプに陥ったときのデメリット」なども論じていて、知的好奇心と自己反省が一緒に脳内にやってきました。また、文化ステレオタイプの行きつく最悪のパターンが、「大虐殺」になるという展開にすごく震えました。「みんながそう言っている」というだけで、世間一般的にもっともらしい通説になっているというのは……改めて考えてみても怖いことです。本書を読んで良かったです。それと、相変わらず私は思考停止をしているんだなあとも思いました。

【気になったワードの抜粋(一部)】

 ・「対応バイアス」……私たちは、他人の行動を見ると、ほとんど無意識のうちに「なぜ、そういう行動をとったのだろう?」と考えます。そのとき、外部の状況を考慮せずに、その人の内部にある特性が原因だと考えてしまう強い偏りがあります。(p.193)

・「確証バイアス」……特定の仮説が頭にあると、証拠を調べようとするとき、「その仮説に合った証拠ばかりに目が奪われてしまう」というバイアスです。(p.215)

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