『鉄塔武蔵野線』
『鉄塔武蔵野線』
著者:銀林みのる
出版社:ソフトバンククリエイティブ(ソフトバンク文庫)
発行年:2007年9月26日
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(内容紹介)
夏休みも半ばを過ぎたある日のこと。5年生の見晴は近所の鉄塔で番号札を見つける。その名は〈武蔵野線75-1〉。新発見に胸を躍らせた見晴は、2歳下のアキラを誘い、武蔵野線を遡る。「オレたちは鉄塔を辿っていけば、絶対に秘密の原子力発電所まで行けるんだ」――小学生の頃、誰もが抱いていた気持ちを見事に描き、未知の世界を探検する子供心のときめきを見事に描き出した”鉄塔小説”。
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鉄塔尽くしの小説です。
鉄塔の写真がたくさん載っています。すごい。そういう趣向を思いついて、それを小説として完成させた著者もすごいです。本書の登場人物を、社会人でもなく大学生でもなく、小学生にしたのも、すごいグッときました。一気に冒険感が強くなり、果たして最後の鉄塔まで辿り着くことができるのか……というハラハラ感も出てきます。何より著者自身も鉄塔が好きだったということもあり、鉄塔に対するこだわりや愛着などが文章から伝わってきて、「熱」を存分に受けました。そして、マニアックになり過ぎないような絶妙な鉄塔情報の分量だったので、程よい濃さで満足できました。